
乳児期を過ぎ子どもが話せるようになると、興味や好奇心が広がる成長段階で、疑問に感じたことをなんでも質問する「なぜなぜ期」が訪れます。
ママやパパがすぐに答えられないような難しい質問を受けたり、忙しいときに質問攻めにされたりして困ることもあるでしょう。
今回の記事のテーマは「なぜなぜ期」です。なぜなぜ期を迎えた子どもの接し方や上手な答え方など、詳しく解説します。
この記事のもくじ
なぜなぜ期とは?
なぜなぜ期とは成長した子どもが身の回りのいろいろなものごとに興味をもち、疑問に感じたことを大人に質問する時期です。
心理学では「質問期」と呼ばれ、個人差はありますが、2歳から6歳頃に見られます。
人物や事象など身近なものや目に入るもの何にでも興味をもち、「どうして夜は眠くなるの?」「どうして水は冷たいの?」など、ありとあらゆる質問を繰り返すのが特徴です。
大人にとっては当たり前の事柄や、逆に思いもよらない内容を質問されるので、答えに困ったり面倒に感じたりするママやパパもいるでしょう。
第一質問期と第二質問期がある
なぜなぜ期(質問期)は、「第一質問期」と「第二質問期」の2つがあります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
第一質問期
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「なになに期」や「命名期」とも呼ばれ、ものの名前を知りたがる時期です。
この頃は質問されても、ものの名前を教えるだけなので難しい対応はほとんどありません。
第二質問期
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「なぜなぜ期」とも呼ばれ、言葉だけではなくものごとの意味や目的、要因などに興味や関心が向き、より深く知りたい気持ちが芽生える時期です。
すぐには答えを出せないような問いかけをされたり、何度も質問をされたり、大人は手を焼くことがあるでしょう。
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なぜなぜ期で身につく力
なぜなぜ期には、脳が著しく発達し、思考力や想像力が育まれていきます。
そのため、関わり方がとても重要です。大人が丁寧に関わることで、子どものさまざまな力が身についていきます。
なぜなぜ期で身につく代表的な力は、次の3つです。
思考力が身につく
身近なさまざまなものごとに興味を感じて質問するのは、知的好奇心が育っている証拠。
疑問に思うことを質問して、ママやパパなどの大人に答えてもらううちにさらに興味が広がり、ものごとの意味や理由、仕組みなどを考えたりほかのものと比較したりするようになります。
こうして、自分で考える経験を積むことで伸びるのが思考力です。
探求心や学習意欲が身につく
疑問に感じたことに対する理解が深まることで、知識が増えます。
知識が増えるのは子どもにとって嬉しいことです。嬉しい気持ちがもっと詳しく知りたいという意欲につながり、探求心や学習意欲が身につきます。
コミュニケーション能力が身につく
ママやパパにたくさんの質問を投げかけるのは、親子のコミュニケーションです。
「知りたい」と思ったことを大人にうまく伝えようと言葉を発したり、その疑問に対する大人の答え方を学んだりするうちに、子どもはコミュニケーション能力を身につけていきます。
そのやり取りのなかでママやパパがしっかりと対応し、子どもと密度の高いコミュニケーションを重ねることで、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
子どもに質問されたときの上手な答え方
なぜなぜ期の子どもがもつ疑問は多岐にわたり、大人も答え方を工夫しなければなりません。
質問によって具体的な回答の仕方は異なりますが、上手な答え方のポイントがあります。
答えられる内容ならその場で答える
一番大切なことは、質問されたらその場で答えることです。
子どもは知りたい欲求があって質問しています。忙しさや面倒さから回答を後回しにすると、せっかく芽生えた興味や関心が薄れてしまうので、非常にもったいないです。
すぐに答えが思いつかず即答が難しい場合は、「わからない」「知らない」などの一言で済まさずに、「難しい質問だから、よく考えてみるね」「○○だと思うけど、今度調べてみよう」と伝えておいて、後からしっかりと対応してください。
子どもと一緒に調べてみる
子どもは大人が予想もしないようなことに疑問をもつため、どう答えていいか困ってしまうときもあるでしょう。
そんなときは「ママも知らないことだよ。一緒に調べてみよう」と誘い、スマホで検索したり図鑑で調べたりするとよいでしょう。
大人でも知らないことがあることや、わからなければ自分で調べる方法があることを知る機会にもなります。
「どう思う?」と逆に質問してみる
子ども自身が考えてみることも大切です。
「どうしてかな?」「どう思う?」などと、逆に子どもに質問を返し、考える経験をさせてみましょう。
子どもが自分で答えを導き出せたらほめることが大切ですが、それがうまくいかなかったり、間違えたりしても、自分で考えて行動したことを認め、励ましてあげてくださいね。
子どもにわかりやすいように工夫する
子どもの質問に答えるときは、わかりやすい説明を心がけましょう。
たとえば、「夏はどうして暑いの?」と聞かれたとき、「地球の自転軸の傾斜による、日射角度と日照時間の変化」などと言っても伝わりませんが、
「地球はちょっと傾きながら、太陽のまわりをぐるーっとまわっているんだ。夏のあいだは、太陽の光がたくさん当たるから暑くなるんだよ」などと説明すれば、子どもも納得しやすいでしょう。
このように、専門用語をやさしい言葉に置き換えたり、身近なものにたとえたりして、答え方を工夫するとよいでしょう。
子どもに質問されたときのNGな答え方
子どもに質問をされたときの対応を誤ると、思考力や探求心などの成長に影響が出る可能性があるほか、
子どもの心に傷を残す場合もあるため、丁寧に対応することを心がけましょう。
ここでは、特に注意が必要な答え方のNG例を3つ紹介します。
真剣に答えない
忙しいときに些細な質問をされると、面倒に感じることもあるかもしれません。
しかし、忙しいときでも聞こえないふりをしたり、無視したりせずに真剣に答えましょう。
ママやパパが自分と真剣に向き合ってくれることは、子どもにとって嬉しくかけがえのない経験になります。
子どもの質問をバカにする
子どもが疑問に思うことは、大人にとっては当たり前のことも多くあります。
しかし、「そんなこともわからないの?」「そんなの○○に決まっているじゃない」などと、バカにした態度や言葉を返すのはよくありません。
子どもが純粋に疑問に感じて知りたいと思う気持ちを尊重し、丁寧に対応しましょう。
先回りして答えを伝える
子どもは自分の聞きたいことをうまく言葉にできず、つっかえたり時間がかかったりすることもあります。
忙しくて時間がないときでも、先回りして答えることなく、最後まで話を聞きましょう。
たどたどしかったり言葉を間違えたりしたとしても、自分の気持ちを言語化し、表現することも成長には欠かせない経験。
その大切な機会を奪わずに見守り、認めることが大切です。
なぜなぜ期を通して成長につなげましょう!
なぜなぜ期は子どもの成長にとって大切な時期であり、大人が丁寧に関わることで思考力や探求心、コミュニケーション能力などが身につくだけではなく、自信や意欲にもつながります。
忙しいときに質問されたり、同じことを何度も聞かれたりすると、大変に感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、「なぜ?」が止まらない時期はほんの数年です。やがてわが子が質問しなくなったとき、寂しく感じたり、懐かしく思い返したりする日がくるかもしれません。
この時期の子どもの気持ちを大切にして、大きな成長につなげましょう。
ライター:西須洋文
勤務経験30年以上の元男性保育士です。
現在はWebライターとして、保育士や子育ての経験を活かして子育てや保育記事を中心に、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。
そのほか、音楽教育であるリトミック講師などフリーランスとして活動中。