子どもの自我が芽生え始める2歳前後の時期に訪れるイヤイヤ期。子育て中のママやパパの中には、イヤイヤ期を迎えたわが子に手を焼いている人が多いでしょう。
成長の過程の一時期だとはわかっていても「いつまで続くのか?」「ほかの子よりひどいのではないか」など、心配に思う人も多いものです。今回はイヤイヤ期の時期や、イヤイヤ期の子どもに接するコツを解説します。
この記事のもくじ
イヤイヤ期とは?
イヤイヤ期とはその名の通り子どもが言葉や態度で「イヤ(だ)」と反応する時期で、第一次反抗期とも言われています。具体的な年齢は、1歳後半から3歳くらいです。
イヤイヤ期は多くの子どもが通りますが、程度には個人差があり、中にはほとんど見られない子もいます。
イヤイヤ期は成長過程のひとつ
イヤイヤ期は、自我や自立心の発達によるもので、成長過程のひとつです。子どもは単にわがままを言ったり駄々をこねたりしているのではありません。
イヤイヤ期の子どもは、やりたい気持ちはあるのにうまくできなかったり、自立心と甘えたい気持ちのバランスがうまく取れなかったりします。
そして、感情のコントロールが難しいことや、言葉で伝えることができないため、「イヤ」という言葉で表現をしているのです。
イヤイヤ期はいつから始まる?いつまで続く?
イヤイヤ期の捉え方は親によってさまざまです。子どもの自己主張に過度に反応するママやパパもいれば、特に気にせず大らかに受けとめるママやパパもいるでしょう。
したがって、イヤイヤ期の始まりから終わりは親自身の捉え方や感じ方によっても異なります。
イヤイヤ期はおおよそ1歳半頃から3歳頃まで続く
イヤイヤ期の始まりや終わりには個人差がありますが、早い子は1歳半頃から始まり、前頭前野が発達する4歳頃に減少していきます。
中でも2歳頃は「魔の2歳児」、続く3歳頃は「悪魔の3歳児」とも呼ばれ、イヤイヤ期のピークとなります。この時期を乗り越えると徐々に落ち着いていきます。
子どもがイライラしていると親もイライラしがちですが、イヤイヤ期を「今だけのこと」だと受けとめることは、子どもの「イヤ」という態度や反応に対応するうえで役立つでしょう。
【1歳】イヤイヤ期特徴
1歳ごろのイヤイヤ期は歩けるようになることで、たくさんのことに興味や関心をもつことで自立心が芽生える時期です。この時期に見られる特徴は下記があげられます。
- 「これをやりたい」が、自分の思うようにできず癇癪を起こす
- 「何とかしてほしい」という欲求からイヤイヤを主張する
【2歳】イヤイヤ期特徴
2歳のイヤイヤ期は自我がより明確になり、「魔の2歳児」と呼ばれるように自己主張が一気に強くなります。食事や着替えなどを自分でやりたがり、大人の助けを嫌がる場合もあるでしょう。この時期にみられる特徴は下記の通りです。
- 食事や着替えを嫌がるようになる
- 親の言うことを聞かなくなる
- 自分の気持ちをうまく言葉で表わせず癇癪を起こす
【3歳】イヤイヤ期特徴
3歳を過ぎると、自分でできることが多くなる半面、うまくできないことに対してまだ自分で気持ちをコントロールするのが難しい時期でもあります。「3歳だから、もう大丈夫」といった認識とのズレが、イヤイヤ期につながることもあるでしょう。
- おもちゃや身の回りのものを投げたり、泣きわめいたりする
- 相手を叩いたり、気持ちを抑えきれず手が出てしまう
イヤイヤ期の子どもの接し方のコツ
イヤイヤ期の子どもと接するのは大変ですが、コツを知っておけばうまく対処できるでしょう。ここでは、イヤイヤ期の子どもと接するコツを4つ紹介します。
コツ①子どもの気持ちを代弁する
イヤイヤ期の子どもは、言いたいことがあっても自分の気持ちをうまく伝えることができません。
そのため、親が子どもの気持ちを理解し言語化することで落ち着く場合があります。
「イヤ」という子どもに「ダメ」という言葉で返すのではなく、気持ちを理解して「○○したかったんだよね」「○○がイヤだったのね」などと代弁することを心がけましょう。
コツ②代替案や選択肢を提示してみる
子どもの思うようにさせられないときは、代替案や選択肢を示しましょう。「それは危ないからできないけど、○○なら大丈夫」「○○は無理だけど、△△か□□ならできるよ。どっちにする?」など、理由を説明したり子ども自身に考えさせたりすることで納得できることもあります。
代替案を受け入れたり自分で選択ができたときは、子どもを褒めたり感謝の気持ちを伝えたりしましょう。今後、子どもが嫌なことや大変なことを乗り越える力になるでしょう。
コツ③スキンシップをとって気持ちを落ち着かせる
言葉ではなく、抱きしめたり頭をなでたりスキンシップをとることも有効です。子どもは自分の感情がどうにもならないときに親に抱きしめてもらうと気持ちを受けとめてもらえたと実感でき、落ち着いていきます。
ときには、抱きしめようとしても暴れて無理なこともあるかもしれません。スキンシップをとることが難しいときは無理をせず、気が済むまで泣かせたり、しばらくそっとしておいたりするのも1つの方法です。
イヤイヤが起こったときのNG対応
子どもに「イヤ」と言われたときに忙しかったり疲れていたりするとつい、「ダメ」だと否定したり脅すような言葉を使って言うことを聞かせたりしようとしがちです。
しかし、否定したり脅したりすることは、子どもの気持ちを理解していない行動です。そして、子どもは恐怖心から自分の気持ちを我慢して抑え込むようになる可能性もあります。
また、「いいかげんにしなさい!」という言葉をよく言いがちです。感情のコントロールが難しいイヤイヤ期の子どもは、「いいかげんにしなさい」と言われても何をどうしたらよいかわからず、戸惑う一方でしょう。
親も子どももどうにもならない状況のときは、しばらくそっとしておくことも1つの方法ですが、ママやパパの姿が見えなくなると子どもは不安からパニックになることもあります。子どもの近くを離れず、子どもから見える場所で見守るようにしましょう。
イヤイヤ期がしんどいときの対処法
イヤイヤ期は子どもの成長過程の1つで一時期だけのことだとわかってはいても、連日子どもの「イヤ」が続くとしんどいと感じてしまうのも無理はありません。ここでは、イヤイヤ期がしんどいときの対処法を、3つ紹介します。
家庭での家事・育児の分担を見直す
イヤイヤ期の子どもの子育てを1人で抱え込んでしまうと、大変なストレスになります。
家族で協力することが可能であれば家事や育児の分担を見直し、ママやパパのどちらか1人の負担が重くならないようにする方法を考えましょう。
保育園の一時保育やベビーシッターなどのサービスも活用する
家族間での協力が難しい場合は、保育園の一時保育、ベビーシッター、ファミリーサポート、家事代行などの外部のサービスを利用するのもおすすめです。
短時間でもイヤイヤ期の子どもと離れて過ごすことで、ママやパパは心身ともにリフレッシュでき、また新たな気持ちで子どもと向き合えるでしょう。
時間に余裕をもって行動する
できるだけ時間に余裕をもって行動することも、イヤイヤ期の子どもと向き合ううえでは有効な方法です。時間に余裕があると、気持ちにも余裕ができます。
反対にいつもせかせか急いでいると子どもへの対応も余裕がなくなり、きつく当たったりつらく感じたりしてしまいます。
イヤイヤ期の間はすべて完璧にするより、何か省いても時間に余裕をもつことを心がけましょう。
イヤイヤ期がしんどいときは周囲に頼ることも大切
イヤイヤ期は過ぎてしまえばあっという間ですが、その最中は親子ともにストレスを溜めがちで、「一時的なこと」と思えないこともあるでしょう。
つらく感じたり、子どもにきつく当たってしまったりするようであれば無理をせず周囲に頼りましょう。
子育て経験のある友だちに話を聞いてもらったり、専門機関に相談したりすれば心が軽くなることもあります。
イヤイヤ期を懐かしく感じられる日がくることを楽しみに、親子ともにイヤイヤ期をうまく乗り切りましょう。
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ライター:西須洋文
勤務経験30年以上の元男性保育士です。
現在はWebライターとして、保育士や子育ての経験を活かして子育てや保育記事を中心に、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。
そのほか、音楽教育であるリトミック講師などフリーランスとして活動中。