
「小1プロブレム」という言葉は、小学校に入学する子どもを持つママやパパにとって気になるキーワードではないでしょうか。
子どもたちにとって小学校入学にともなう生活の変化は、大人が思うより大きく初めての壁となる場合があります。
この記事では「小1プロブレム」とは一体何なのか、どのような行動や問題が見られるのかを解説します。さらに、小学校生活にスムーズに移行するための対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事のもくじ
小1プロブレムとは?
小1プロブレムとは、小学校入学による環境の変化に子どもたちが適応できない状態を指します。
子どもによっては小学校の生活がストレスとなり、行動や情緒に問題が出たり、学習面のつまずきなどが発生したりするケースがあるのです。
たとえば、先生の話を聞かない、指示通りに行動しないなどの行動が数か月にわたって続くケースもあります。
小1プロブレムで見られる行動や問題
ここでは、小1プロブレムで見られるおもな行動や問題を具体的に紹介します。
①時間を守れない
小1プロブレムでは、時間の遅れといった問題が出やすくなります。
幼稚園や保育園では、時間がそこまできっちりとしていなかったり、先生が次の活動への声かけをしてくれたりしますが、小学校では自分で時間を見て行動するのが基本。そのため、子ども自身がきちんと時間管理できないと、ついていけなくなりがちです。
家でも朝の支度で持ち物の準備に手間取り、遅刻するなどが考えられるでしょう。
②集中力が続かない
小学校の授業時間はきっちり決まっていて、幼稚園や保育園よりも長く内容も変わるため、子どもは集中力が続かない場合もあります。
授業中に体をゆらゆらさせたり、鉛筆や消しゴムをいじったりするような落ち着かない様子が見られることも少なくありません。
③先生の話や指示を聞けない
子どもが先生の話や指示を聞けないケースも多く見られます。背景には、聞く姿勢や情報処理能力の未熟さが考えられます。
話を聞く習慣がなかったり、指示を理解することが難しかったり、周囲の音に気をとられたりしやすいなど、さまざまな要因があるでしょう。
先生が「教科書のページの問題を解きましょう」と指示を出した際、どこを開けばいいのか、具体的に何をすべきかなど理解できない場合があります。
④自分勝手な行動をする
ルールや協調性をまだ十分に理解できない子どもは、自分の欲求を優先し、自分勝手な行動をとることもあります。
感情をうまくコントロールできなかったり、ほかの人の気持ちを想像できなかったりして、自分の欲求をストレートに伝える傾向があるからです。
友達のものをとったり、順番を守らず割り込んだりしてトラブルになる可能性もあるでしょう。
小1プロブレムが起きる環境の変化
小学校の生活はあらゆる面で幼稚園や保育園とは異なります。どのような環境の変化が、子どもにとって小1プロブレムを引き起こすきっかけになり得るのでしょうか。
遊び中心から勉強中心に
幼稚園や保育園では歌や運動などを組み合わせ楽しみながら文字や社会性を学んでいた子どもたちが、小学校では先生の説明を聞いたり、教科書を読んだりして学習していきます。
遊び中心だった幼児期の学びから教科書を使った学習へと変わるため、学習方法のギャップが、小1プロブレムを引き起こす要因のひとつになると言えるでしょう。
規則や時間を制限される
小学校での時間の制約と規則の厳格化は、子どもにとってストレスとなり、小1プロブレムの要因となる可能性があります。
就学前の自由な時間配分や規制の少なさから一転、小学校では時間割にもとづいた行動やルールが求められ、自分のペースでの行動が難しくなります。
たとえば、休み時間に夢中で遊んでいるときに決まった時間で中断させられる、準備を急かされるなどがストレスとなるでしょう。
集団生活や集団行動に馴染めない
小学校の集団生活では、それまでの園生活以上に集団行動が求められます。
自分の意見をうまく言えなかったり、周りの空気を読むのが苦手だったりすると、集団行動のときに孤立感や不安を抱きやすくなります。
集団生活で友達との関わり方がわからなかったり、グループ活動で役割が見出せなかったりして戸惑う子もいるでしょう。
自分でやることが増える
小学校では時間を守ったり授業に必要なものを準備したり、自分でやらなければならないことが増えます。時間割の確認や宿題なども自分で行わなければなりません。
しかし、子どもは自己管理のスキルが不十分であるため、何をどうするのか混乱してしまうことがあります。 必要な教科書や道具を忘れてしまったり、宿題の内容や提出日を把握できなかったりして困ってしまうケースもあるでしょう。
小1プロブレムを防ぐ対策方法
ママやパパの関わり方次第で、小学校入学前や後に小1プロブレムへの対策が可能です。子どもが新しい生活にスムーズに適応できるように、ママやパパもサポートしましょう。
時間を意識した声かけをする
小学校では区切られた時間での行動が求められるため、入学前から時間を意識しやすいように声かけすれば、時間管理の習慣が身につきやすくなります。
具体的な時間を伝えたり、次の行動の見通しを持たせたりする声かけを工夫するといいでしょう。その際には「早くしなさい!」と急かすのではなく、スケジュールの共有を意識することがポイントです。
同年代と交流する機会をつくる
就学前に同年代の子と交流する機会は社会性や協調性を育み、小学校へスムーズな適応をするのに役立ちます。
遊びを通して、集団生活に必要なルールの順守や協調性といった基本スキルを習得できます。幼稚園・保育園以外にも地域のイベントや児童館の活動に参加させたり、習い事をさせたりするといいでしょう。
生活リズムを整える
就学前に規則正しい生活リズムを整えれば、小学校の時間割に合わせた生活を送る準備となり、小学校での時間管理に子どもが戸惑いを感じにくくなります。
起床・食事・就寝など、毎日できる限り決まった時間に習慣づけ、週末も普段と同じように過ごすのが理想です。特に入学する数週間前からは、小学校入学後の時間に合わせて生活するように心がけられるといいですね。
自己肯定感を高める
ママやパパが子どものいいところを見つけて褒めたり、努力や成長を認めたりして、子どもの自己肯定感を育むことも大切です。
自己肯定感が高いと、子どもは困難な状況にも前向きに立ち向かえ、失敗を恐れずに挑戦する意欲を持ちやすくなります。一方で「自分はできない」と感じると自信を失い、挑戦する気持ちが低下してしまいます。
子どもが何か小さなことでも頑張ってできたときには、「すごいね!」「よく頑張ったね!」と褒めましょう。
親子間でのコミュニケーションを増やしていこう!
小学校入学は、子どもにとって人生の大きな節目であり、期待と同時にさまざまな不安を感じる時期でもあります。
小1プロブレムは、すべての子どもに起こるわけではありませんが、新しい環境への適応には多かれ少なかれエネルギーが必要です。
子どもの小さな変化に気づき、気持ちに寄り添いサポートしていきましょう。日頃から意識的に子どもとの時間をつくり、学校での出来事や感じたことなどを聞いてコミュニケーションをとっていけるといいですね。
ライター:西川正太
大学を卒業後、大学病院の看護師として勤務。心臓血管外科や集中治療室などの領域を経験。
子育て中であり、専門的に子育てをしたいと一念発起し保育士の資格を取得。
医療や保育に関連するコンテンツ作成にも従事。