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仲本美央教授/親子の時間を育む絵本の読みあい

カラフルな絵や、楽しいお話が繰り広げられる絵本。
パパやママが子どもに絵本を読むことには、どんな意味があるのでしょうか。
絵本に関する研究を続けている仲本美央教授に、絵本と子育ての関係についてお話をうかがいました。

この記事のもくじ

仲本美央さんプロフィール



白梅学園大学・大学院教授
保育士・幼稚園教諭を養成する短期大学を数校経て、現職。おもな研究分野は、保育現場や家庭における絵本を読みあう活動や子どもの言葉。


著書
  • 『発達心理学エチュード』(共著 川島書店 2006年)
  • 『保育内容シリーズ 言葉』(共著 一藝社 2010年)
  • 『子育て支援と保育ママ』(編著 ぎょうせい 2011年)
  • 『絵本から広がる遊びの世界』(編著 風鳴舎 2017年)
  • 『子ども一人ひとりがかがやく個別指導計画』(編著 フレーベル館 2022年)
他多数。

言葉や身振りで絵本に反応する子どもたち



――子どもに絵本を読むお父さん、お母さんは多いと思います。なぜ絵本はいつの時代も子どもたちに愛されるのでしょうか

仲本さん:私は長年、絵本が子育てをどう支えるかという研究をしていますが、最初は「なぜ家庭や保育所で絵本が使われるのか」という理由探しから入りました。
子育ての現場にうかがったところ、子どもは絵本を見てにっこり笑ったり不思議そうにしたりと、絵本への興味が表情に表れていたんです。

子どもたちと絵本を読んでいくと、赤ちゃんなら「あぁ」とか「うぅ」とか、小さな子どもなら「あれだね、これだね」のような言葉を発するんですね。
さらに、食べ物の本なら「パク、ムシャムシャ」と、食べる真似をする行動が現れます。

こういった自己表現や言葉、身振り手振りは成長発達の中で重要な要素で、それを導き出す絵本は子どもの発達を促すきっかけになると思います。


絵本で自然に生まれる親子のコミュニケーション



――大人が子どもに絵本を読むことを「読み聞かせ」とよく言いますが、仲本さんは「読みあい」という言葉を使われていますよね。これは何が違うんでしょうか

仲本さん:「読み聞かせ」という言葉はもちろん大事なんですが、その中で大人と子どもが気持ちを共有させて、お互いにコミュニケーションを取っていく相互性が、子どもの成長を支えていくのではないかということで「読みあい」という言葉を使っています。

例えば、絵本を見ながら大人が「かわいいね」「きれいだね」などと言うことで会話が生まれます。
また、食べる真似をする子どもがいたら、一緒になって遊びます。

そんなふうに絵本を通して大人と子どもが相互にコミュニケーションを取ることが、子どもの成長に効果的だとお伝えしています。
私たち人間は、人とコミュニケーションを取りながら生きていく存在なんですよね。
 

――子どもとの会話が自然に生まれる絵本は、子育てに悩むお父さんやお母さんの助けにもなるんですね

仲本さん:そうですね。
でも絵本で子どもを楽しませようと思う必要はなくて、お父さん、お母さん自身が絵本を楽しむことが大切なんです。

子どもは、お父さん、お母さんが大好きです。
大好きな人が楽しんでいると、子どもも興味や関心が出てきます。
だから「してあげる」というよりも「一緒に楽しもう」という気持ちでいるといいんです。

絵本って、大人が読んでも楽しいんですよ。
例えば、カバーには描かれていない登場人物が、カバーをめくると本の表紙にいたりとか、絵本作家さんのいろいろな想いや工夫が込められているんです。

そういうことを子どもとやり取りしながら読むと、子どもは自分の気持ちを表すことだけでなく、人にも気持ちがあることを学びます。
人間が生きる力として、人との違いを知っておくことは大事ですね。


上手に読まなくちゃと思わなくていい。大人も一緒に楽しむ一人になる



――絵本を読むときのコツはありますか

仲本さん:ある研究では、平坦に読んでも抑揚をつけても、子どもの気持ちは変わらないという結果があるんです。

以前、絵本を読むのが上手な実習生が、子どもたちに絵本を読んだことがありました。
だけど子どもたちからは、「実習生の読み方は、大好きな先生の読み方とは違う」という反応が返ってきたそうなんですね。

子どもの中で、この人と読みたい、この人の声で聞きたい、といったこだわりがあると思うんです。

お父さん、お母さんが楽しみながら読めば、子どもは読んでいる人の気持ちを感じ取っていきます。
絵本を読むということは、大人と子どもが一緒になって時間を作り上げることなんですね。
そういうふうに思えば、「上手に読まなくては」というプレッシャーもなくなるのではないでしょうか。

ひとつだけ注意をするとしたら、過剰に表現しすぎて子どもの世界を壊さないようにすることでしょうか。
子どもが想像する力を信じるということですね。
 

――絵本を読むのがなかなか進まないときもありますが

仲本さん:進まなくても、その時間を楽しめることの方がいいんです。
大好きなページをじっくり見たいという子どももいるかもしれませんよね。

子どもは毎日新しい体験をしているので、例えばある日子どもがチューリップを見てきれいだなと思ったら、チューリップのページをずっと見たくなるのは当たり前なんです。

子どもがこだわる背景を探りながら一緒に時間を楽しむことが、子育てのいい時間になるのかなと思います。

同じ本を何度も読みたがる子もいますが、そういうときは何度も読めばいいんです。
私は「絵本を味わう」という言葉を使っているんですが、子どもにとっては毎日味わいが違うんですよね。


子どものこだわりに向き合う



――どんな絵本を選べばいいのかわからないお父さん、お母さんも多いと思います。子どもに合わせた選び方はありますか?

仲本さん:私たちも大人もそうですが、人から与えられるよりも自分で選ぶほうが、好きなものを探し当てられますよね。
図書館や本屋さんで、大人が絵本を選ぶ姿を見せていくと、子どもは本を選ぶことを覚えます。
たくさんの絵本の中から子どもが自分で選んだ本を、まずは一緒に読んでみるんです。

色にこだわりのある子もいれば、厚手の紙の絵本など触感にこだわりのある子もいて、選ぶ絵本は人それぞれなんですね。
そのこだわりを大事にしてほしいです。
 

――大人が絵本を選ぶ場合はどうでしょうか

仲本さん:おすすめは、日常生活につながっている内容の本ですね。
犬が好きな子なら、犬の絵本を見せると「ワンワンだな」って、ふだんの生活を思い出しながら見ます。
乳児期なら、食べ物や乗り物、動物とか。
子どもが生活で楽しんでいたことに関する絵本を探すといいと思います。
 

――絵本よりも図鑑が好きな子どももいますね

仲本さん:図鑑が好きならそれでいいと思います。
その子にとっては、図鑑の中に物語があるんです。
昆虫を探して採った物語とか、また探したいと思う物語とか。

お父さん、お母さんは「なんでこの子はカブトムシに興味があるのかな?」というように、子どもに向き合って本を見てもらえたらいいなと思います。

子育てでいちばん大切なのは、その子が自分自身で生きていくように支えながら、その子の幸せを見つけていくことだと思うんです。
子どもの意向で絵本を読めば、子どもと向き合うためのひとつのきっかけになるんです。


まとめ


絵本と子育ての関係について研究されている仲本美央さんから、たくさんのヒントをいただきました。
楽しく絵本を読みあいながら、親子一緒の時間を育んでいけたらいいですね。

 
 



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