産後は赤ちゃんが中心の生活となり、出産という一大イベントを終えたママは自分の体を労わる時間すら無くなってしまいます。
そんなついつい後回しにしてしまいがちなママの体が、今どんな状態なのかを分析し、赤ちゃんとの産後の生活をより豊かにするための情報を提案してくれる産後ケアアプリ「mamaniere(ママニエール)」について、詳しくお聞きしました。
この記事のもくじ
キッズアライズ編集部が気になるベビー・キッズ関連サービスをご紹介。今回は、産後のママの体や心の状態を分析して、お勧めのケアやサービスを紹介してくれるコンシェルジュアプリ「mamaniere(ママニエール)」です。
誰もが不安な子育てを、少しでも楽しいものにしたいという想いがつまったアプリです。
mamaniereとは
ポーラ独自の分析技術を使い、30秒間顔写真を撮影するだけで、体と心の状態をチェック。
産後のママの今の状態に合わせたケアやサービスを紹介する無料のコンシェルジュアプリです。
2023年7月のリリース後、経済産業省令和5年度「フェムテック等サポートサービス実証事業」に採択されたほか、BabyTech® Awards Japan 2023 「妊活と妊娠部門」にて大賞を受賞。iPhone/Android対応アプリ。
「mamaniere」についてお聞きしました!
お聞きした方:株式会社ポーラ mamaniere事業責任者 馬場 喜美子さん
30秒、顔を撮影するだけで産後のママの状態を分析
――「mamaniere」は、産後のママのどんなことがわかるアプリでしょうか
馬場さん:自分の顔を30秒撮影することで肉眼では捉えにくい、血流の影響によって変化する肌色パターン(心臓の鼓動とともに秒単位で変化)を捉えて分析し、体の疲労傾向、心拍数のほか、交感神経と副交感神経のどちらが優位な状態かなどを分析します。
そして、それぞれの状態に合わせたケア方法を紹介しています。
さらに数問の問診の回答と合わせることで、ママの今の状態を「アクティブパワー」として表示します。
自分では、まだもう少しがんばれると思っていても「アクティブパワーが30%」と表示されるのを見ることで、客観的に「自分は疲れているみたいだ」と気付くことができますよね。
ただ、分析結果で疲れていることをお知らせすることが一番の目的ではなく、なかなか休めないママに、もう十分にがんばっているから休んでいいんだよという労いを出したいというのが目的でもあります。
その時々のママの状態にあったケアを紹介することで、ママ自身に自分を労わってもらいたいのです。
産後鬱ではないけれど、予備軍のママたちにアプローチ
――確かに、産後は赤ちゃんが優先になり、ママへのケアは後回しになりがちですね
馬場さん:私も出産した時、お化粧どころか化粧水をつける余裕すらなくなって、産後ってこんなに大変なんだって驚きました。
赤ちゃんの成長は早く、多くの方がこの時期だけだと思い、あきらめがちです。
結果として、産後女性の心身のケアは必要にもかかわらず、ケアができていない状態です。
実際、産後女性を対象とした調査では、8割以上が心身の不調を訴えていました。
多くの産後のママたちにインタビューをして感じたのは、産後鬱ではないけれど1~2歩手前でギリギリ保っているという人たちがあまりにも多いという点です。
そういうママたちに自分の状態を知ってもらい、「まずは休んでもいいんだよ」というマインドのセットをしてもらって、自分自身が心身ともに健康である状態で育児ができる環境を作りたいと思いました。
――まずは自分の状態を知ることが大切なんですね
馬場さん:「mamaniere」で分析された結果は客観的な情報です。
改めて自分の状態を外から見ることができます。
加えて、パパや祖父母といった周囲の家族にも、自分の不調を説明しやすくなります。
周りの家族もどのくらい疲れているのかが数値でわかるので、体を休めたほうがいいのか、気分転換する時間を作ってあげたほうがいいのか、フォローもしやすくなります。
どんな対策をとればいいか、建設的に話し合いができて、コミュニケーションのきっかけにもなると思います。
ケア情報は、赤ちゃんのいる協力スタッフやママ社員が実際に確認
――分析後に案内されるケア情報には、どんなものがありますか?
馬場さん:ママが少しでも楽に、楽しく子育てできる情報を心掛けています。
休憩が必要なママには、ながらストレッチや緊張状態を落ち着かせるための呼吸法、家事の代行サービス、こっそり手抜きできるアイデアなどの情報を。
気分転換が必要なママには子どもと楽しくお出かけできるように、赤ちゃん連れが可能なお店や場所の情報などを。
ママが1人で息抜きできる情報もあります。
――馬場さんお勧めのケア情報はありますか?
馬場さん:ストレッチ系などは私も実際に試していますし、お店や場所は協力スタッフや社員が実際に足を運んで確認してから掲載しているので、どれもお勧めです。
その中で簡単なのに効果があると感じたのは、時短ヘアケアのコツで「とにかくオイルを付けておけばなんとかなる」というものです。
実際にやってみたら、寝癖もニュアンスっぽくなって「これ、いい!」と思いました(笑)。こういう本当に気楽な情報もたくさんありますし、やっぱり気になる赤ちゃんのケア情報ももちろん載っています。
アプリでは居住地を設定するので、住んでいる場所に近いサービスを紹介するなど、世の中に溢れているママや赤ちゃんのための情報とママたちをマッチングさせることができるのも「mamaniere」の特徴です。
なによりも、家庭や育児の在り方は多種多様です。
その中で家族が一番快適で幸せになれるプランの提案が必要だと思うので、様々な情報を今後も紹介し続けたいです。
赤ちゃんとの時間を「今だけ我慢」する時間ではなく、より豊かな時間に
――現在はiPhone版のみですが、android版の予定はありますか? また、パパも利用できるのでしょうか
馬場さん:嬉しいことにandroid版への期待の声をたくさんいただき、現在、開発中です。
年内にはご案内したいと動いています。
※インタビューの内容は2024年1月時点でのものであり、2024年4月25日現在Android版はリリース済みです
パパの利用に関しては、アクティブパワーのチェックだけであれば男女関係なく分析ができます。
子育てに参加するパパが増える一方で、ママのようにコミュニティが豊富でない分、パパの産後鬱も課題になってきています。
現在は、分析結果に合わせて紹介されるケア情報がママ向けのものばかりですので、ゆくゆくはパパ向けの情報を発信できる「パパニエール」も作っていきたいです。
そして、産後のママとパパが心と体に余裕をもって生活を送れる社会を創るために、このアプリをインフラのような存在にしていきたいですね。
――キッズアライズを見ているママやパパにメッセージをお願いします
馬場さん:一番伝えたいのは「赤ちゃんも、あなたも、大切」という点です。
赤ちゃんは成長が早く、悩みは1ヶ月でガラリと変わります。
それだけに今の悩みは「今だけ我慢すればいい」と無視されがちです。
でも私たちは、今のママの悩みに寄り添いたいのです。
養育する側が健康でなければ子育て環境は悪化します。
ママ自身が自分のことも大切にすることで、赤ちゃんとの時間を楽しんでほしいと思います。
赤ちゃんを育てるすべてのママのケアを
化粧品メーカーであるポーラがなぜ産後ケアのアプリをリリースしたのか。
そこには、同社のケアへの思想がありました。
創業者が妻の荒れた手をケアしたいとハンドクリームを開発したことが始まりだったポーラだからこそ、赤ちゃんを育てる人たちへのケアへと繋がったのかもしれません。