赤ちゃんのおくるみについて「本当に必要?」「使うと寝かしつけが楽になるのかな?」と気になって検索しているママやパパもいることでしょう。
最新の研究では、おくるみの使い方によっては安全面での注意が必要であることがわかってきました。
今回は、赤ちゃんが安心して過ごせるおくるみの巻き方と注意点について解説します。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
助産師:古谷 真紀(ふるや まき)さん
自治体や企業等と連携した産前産後ケア事業担当を歴任後、妊娠中から産後のママパパ&赤ちゃんのための講座運営や相談事業に従事している。
日本と海外で異なるおくるみの文化
おくるみは赤ちゃんを包むための布で、昔から世界各地で使われてきた育児用品です。
日本では、1枚の柔らかい布で赤ちゃんをやさしく包むスタイルが一般的で、抱っこやおんぶをしながら家事や農作業を行う文化のなかで発展してきました。
海外ではスワドル(Swaddle)とも呼ばれ、服のように着せるタイプもあります。
おくるみの役割とは?
明治時代以降になると、日本には欧米の育児の文化が取り入れられ、おくるみは防寒や寝具としての役割も持つようになりました。
現在では、赤ちゃんへ安心感を与えたり、眠りやすくしたり、体温調節を助けたりする目的で使われています。
一方、欧米では古くから「手足をまっすぐ育てる」という考え方から、赤ちゃんの全身を固定するように巻く方法が行われていました。
17〜18世紀頃になると、子どもの自然な成長を尊重する考え方が広まり、おくるみをきつめに巻く伝統的な使い方は次第に減少していきました。
現在では、日本でも海外でも、赤ちゃんが手足を自然に動かせるように巻くことが大切であることが最新の研究でも裏付けられています。
おくるみを巻くときの注意点
おくるみは赤ちゃんが安心して眠れるように助けてくれますが、使い方を間違えると身体に負担がかかることがあります。
以下の点に気を付けて安全に使いましょう。
- 赤ちゃんは必ず仰向けの姿勢で寝かせます。
- 厚着をさせたり、毛布をかけたり、帽子をかぶせる必要はありません。
- 汗をかいているときや暑そうにしているときは、はずしましょう。
おくるみを巻くことで深く眠ったり、原始反射(モロー反射など)を抑えたりする効果が得られる反面、体調に変化があっても目を覚ましにくくなる可能性があり、窒息やSIDS(乳幼児突然死症候群)との関連も指摘されています。
特に、生後数か月経ってからおくるみを使う場合は注意が必要とされています。
おくるみを使用するのであれば、新生児期(生後28日未満)から使い慣れておくほうが安全かもしれないとする研究もあります。
股関節への影響にも気を付けて
また、特に注意したいことは、赤ちゃんの股関節への影響です。股関節とは両脚の付け根にあり、太ももの骨である大腿骨と骨盤がつながる関節のことです。
赤ちゃんの両脚をまっすぐ伸ばしたり、全身をおさえるように巻くと、発育性股関節形成不全のリスクが高まることがあります。
発育性股関節形成不全は、股関節が部分的にずれたり不安定になったりすることで、脱臼を引き起こす病気です。
その結果、痛みや歩きにくさが生じ、将来的には関節の変形につながる可能性があります。
赤ちゃんの自然な姿勢
赤ちゃんはO脚で、カエルのように両脚をM字型に開いている姿勢が正常です。
おくるみを巻くときは、赤ちゃんが自然な姿勢を保てるように、股関節の周りに十分なゆとりを持たせましょう。
おくるみ自体が禁止されているわけではありませんが、赤ちゃんの月齢や発達に合わせて、素材や巻き方に注意して使うことが大切です。
おくるみに適した素材やサイズ
おくるみは、薄くて軽い素材がおすすめです。例えば、モスリンやガーゼ、薄手の綿(コットン)は通気性がよく、どの季節でも体温の調整に役立ち、静電気も起こりにくいです。
一方で、厚手の毛布や布団、フリースやファー、ボアなどは赤ちゃんを温めすぎてしまう可能性があるため、おくるみには向いていません。
赤ちゃんの月齢だけでなく、赤ちゃんの体重や身長に合わせたサイズを選ぶことも大切です。
正しいおくるみの巻き方と注意点
おくるみを巻く圧は、きつくてもゆるくてもいけません。赤ちゃんの胸と布の間に大人の指が2〜3本入る程度の余裕をもたせることが理想です。
また、両脚を自由に動かせるように、股関節の部分はゆったりと包んであげましょう。基本的な巻き方と注意点を守ることができれば、多少のアレンジはかまいません。
上半身だけを軽く巻いても、おくるみの安心感はしっかりと得ることができます。
おくるみの巻き方
- 布を平らな場所にひし形に広げ、上の角を内側(手前)へ折り返します。
- 赤ちゃんを仰向けに寝かせて、肩の高さを折り返し部分に合わせます。
- 片腕をやさしく下ろして、布を反対側へ巻き付けます。
- 反対側の腕をやさしく下ろして、もう片方の布の端を身体に巻きつけます。
- 足元の布はゆるくねじるか折りたたんで、赤ちゃんの背中側へ軽く挟み込みます。
- 両脚が自由に動かせるかを確認します。
おくるみに関するQ&A
Q.おくるみはバスタオルで代用できますか?
A.薄めのバスタオルで代用することは可能です。長方形のタオルは半分に折って正方形にすると、より包みやすくなります。
Q.おくるみを使うのはいつまで?
A.おくるみは、赤ちゃんが寝返りを始める前までが使用の目安です。仰向けから横向きになろうとする、身体をひねる、足で蹴って移動する、手足を使っておくるみから抜け出そうとするなどの様子が見られたら、使用をやめましょう。
赤ちゃんは昨日までできなかったことが突然できるようになることがあります。少しでも寝返りの兆しがあれば、安全のためにおくるみの使用は卒業することをおすすめします。
Q.赤ちゃんがおくるみを嫌がる場合はどうすればいいですか?
A.生地が硬く伸縮性が不足していたり、きつく巻かれたりすると、赤ちゃんは不快に感じておくるみを嫌がったり泣いたりする可能性があります。
新生児特有のモロー反射などの原始反射に反応して目が覚めやすかったり、おくるみに慣れるまで嫌がったりすることもあります。
赤ちゃんの様子をよく観察しながら巻き方を調整して、お腹が空いているなどおくるみ以外にも原因がないか確認しましょう。
Q.おくるみは授乳に影響しますか?
A.おくるみを巻いたまま赤ちゃんが深く眠ると、空腹のサインが見えにくくなったり、泣く回数や頻度が減ることで、ママやパパが授乳のタイミングを見逃してしまうことがあります。
特に生まれて間もない新生児期は頻回な授乳が必要です。授乳回数が減ると結果的に母乳の作られる量が減り、母乳育児を続けることが難しくなることがあるので気を付けましょう。
Q.おくるみを巻いてもなかなか眠ってくれないのはなぜ?
A.おくるみが必ずしも寝かしつけに有効とは限りません。おくるみを巻くのに時間がかかったり、赤ちゃんが嫌がったりするときは、抱っこや環境調整など別の方法を試しましょう。
正しく使って、安全におくるみを活用しよう
おくるみは、正しく使うことで赤ちゃんに安心感をもたらし、子育ての負担を少しだけ軽くしてくれる便利なアイテムです。
ただし、巻き方や使用する時期を間違えると赤ちゃんの発達や安全に影響を与える可能性があります。
赤ちゃんが自然な姿勢を保てているか、快適に過ごせているかを確認しながら、安全に取り入れましょう。
【参考文献】
Swaddling: Is it Safe for Your Baby? American Academy of Pediatrics(2026年5月閲覧)
Good Night, Sleep Tight: How to Swaddle Your Baby American Academy of Pediatrics(2026年5月閲覧)
Understanding Hip Dysplasia Infant & Child - Hip-Healthy Swaddling International Hip Dysplasia Institute(2026年5月閲覧)
赤ちゃんの股関節脱臼 ー正しい知識と早期発見のためにー 日本小児整形外科学会(2026年5月閲覧)
イラスト:Ryoko Ishiyama
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