
妊娠中や産後の入院中にベビーバスを使った沐浴の方法を学ぶママやパパは多いですよね。
しかし、手順を覚えることに気を取られすぎて、沐浴をいつまで続けるのか、沐浴を卒業した後のお風呂の入れ方について教わった記憶がないという方もいるかもしれません。
この記事では、沐浴を卒業した後にも役立つベビーバスを使わない方法や、大人と一緒にお風呂に入るときの方法について詳しくお伝えします。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
助産師:古谷 真紀(ふるや まき)さん

自治体や企業等と連携した産前産後ケア事業担当を歴任後、妊娠中から産後のママパパ&赤ちゃんのための講座運営や相談事業に従事している。
沐浴を卒業する時期の目安は?
昔ながらの沐浴では、ベビーバスにお湯を入れて赤ちゃんを支えながら洗い、最後にお湯をかけるのが一般的です。しかし最近では、ベビーバスを使わずに浴室の床に専用のマットやタオルを敷いて赤ちゃんを寝かせたまま洗い、シャワーでお湯をかけてすすぐ方法を教える病院も増えています。
ママやパパが赤ちゃんのお風呂に慣れてきたら、一緒に浴槽に入れます。浴槽での入浴に適した月齢や年齢は特に決まっていませんが、生まれたばかりの赤ちゃんは免疫機能が低いため、へその緒が取れて完全に乾くまでは、大人とお風呂を分けて感染のリスクを減らすことが大切です。
赤ちゃんのへその緒は、通常1週間ほどで自然に取れます。産婦人科を退院した後、医師の診察は通常1か月健診で行われるため、ベビーバスでの沐浴を卒業するタイミングは、1か月健診が終わるころとされることが一般的です。
赤ちゃんが小さく生まれた場合や早めに生まれた場合、大人が赤ちゃんと一緒にお風呂に入ることに不安を感じる場合などは、生後1か月以降もベビーバスを使った沐浴は続けてもかまいません。赤ちゃんの成長や家庭の状況に応じて、お風呂の方法を工夫してみましょう。
赤ちゃんの身体を洗うときにベビーバスを使わない方法
赤ちゃんの身体を洗うときにベビーバスではなくマット(例:お風呂マット、沐浴マット、バスマット)を使う方法を説明します。この方法はへその緒がまだ取れていない時期にも適していて、大人が一緒にお風呂に入ることに不安を感じるときにも役立ちます。
① 脱衣所と浴室内は季節に合わせて暑すぎず寒すぎない室温に設定します。
②入浴に必要なものをすべて準備します。
- ベビーソープ
- 赤ちゃんを寝かせておくためのマット(バスタオルで代用OK)
- バスタオル(服を脱がせたときに包む用と身体を拭く用)
- 着替え、おむつ
- 保湿剤
- 湯温計(必要時)
③お湯の温度はぬるめの38~40°C(体温に近い温度)に設定します。
赤ちゃんにお湯をかける前に必ずお湯の温度を確認することが大切です。給湯器で設定できない場合や感覚で判断するのが難しい場合は、湯温計を使って確認しましょう。
④ 赤ちゃんをお風呂に入れる準備をします。
まず、赤ちゃんの服を脱がせて、タオルで包み、浴室の床に敷いたマットに仰向けに寝かせます。赤ちゃんの体温を保つために洗う部分だけ出してもよいでしょう。手桶や優しい圧のシャワーでお湯をかけて、赤ちゃんをお湯に慣れさせてから洗い始めます。ベビーソープの泡を手に取り、指の腹を使って優しく洗ってあげましょう。
顔
ベビーソープの泡で包み込むように洗い、上半身を抱き起こして、おでこ部分からさっとお湯をかけてすすぎましょう。必要に応じて、お湯で湿らせたタオルで片目ずつ一方向に拭き目やにを取り除きましょう。
頭
頭全体をお湯で濡らしてから優しく洗い、お湯をかけて十分にすすぎます。
身体
前面は寝たままの姿勢で洗います。皮脂や汗など汚れが溜まりやすい首やわきの下など皮膚の重なる部分は丁寧に洗ってからすすぎましょう。
背中
赤ちゃんの上半身を抱き起こした姿勢で洗い、十分にすすぎましょう。
おまたとおしり
最後に、常におむつを当てている部分(おまたとおしり)を優しく洗い、十分にすすぎましょう。
⑤ 身体をバスタオルで拭き、全身の保湿をします。
おむつを当てて服を着せたら終了です。
沐浴を卒業した後のお風呂の方法(生後1か月頃~生後6か月頃まで)
沐浴を卒業した後、大人と一緒にお風呂に入る方法を説明します。生後1か月頃の寝返りができない時期から生後6か月頃の支えがあればお座りができる時期に役立つ方法です。
なお、大人がひとりで赤ちゃんをお風呂に入れることに自信が持てるようになるまでは、家族に手伝ってもらったほうが安心です。
①所と浴室内は季節に合わせて暑すぎず寒すぎない室温に設定します。
②入浴に必要なものをすべて準備します。
- ベビーソープ
- 赤ちゃんが待機中に使用するマットやバスチェア、バウンサーなど
- バスタオル(服を脱がせたときに包む用と身体を拭く用)
- 着替え、おむつ
- 保湿剤
- 大人用のバスタオルや着替えなど
- 湯温計(必要時)
③お湯の温度はぬるめの38~40°C(体温に近い温度)に設定します。
浴槽のお湯は少なめに張りましょう。赤ちゃんにお湯をかける前や浴槽に入る前に、必ずお湯の温度を確認することが大切です。給湯器で設定できない場合や、感覚で判断するのが難しい場合は、湯温計を使って確認しましょう。
④赤ちゃんの服を脱がせて、タオルで包み、脱衣所や浴室内に置いたマットやバスチェア、バウンサーなどで待機させましょう。
厚めに敷いたバスタオルや座布団で代用してもOKです。
⑤赤ちゃんを待たせている間に、大人は身体や髪を洗います。
赤ちゃんを脱衣所で待たせる場合は、浴室のドアは開けたままにして、時々赤ちゃんに声をかけてあげると安心です。
浴室内で待たせる場合は、お湯はねがかからないように注意しましょう。
⑥赤ちゃんの身体を洗うときは、まず太ももの上で赤ちゃんを抱っこします。
手桶や優しい圧のシャワーでお湯をかけて、赤ちゃんをお湯に慣れさせてから洗い始めます。
このとき、太ももと抱っこした赤ちゃんの間にタオルを挟むと滑りにくくなります。ベビーソープの泡を手に取り、指の腹を使ってまずは顔と頭を洗った後、他の部分も優しく洗いしっかりすすぎましょう。
⑦一緒にお湯に浸かります。
このとき、赤ちゃんを抱っこしたまま浴槽に出入りすることで滑ったり転んだりしないように、大人が先に浴槽に入ってから赤ちゃんを抱き上げましょう。
浴槽から出るときは、まず赤ちゃんを浴槽の外に抱き下ろしてから、大人が浴槽を出ましょう。この方法は、大人が腰をかがめる時間を短くでき、子育て中に起こりやすい腰痛を予防するのにも役立ちます。
⑧お風呂から出たら、身体をバスタオルで拭き、全身の保湿をします。
おむつを当てて、服を着せたら終了です。
お風呂での事故予防
お風呂に入るときは安全を最優先に考えましょう。特に赤ちゃんや子どもにとって、浴室は事故が起こりやすい場所です。お風呂に関する事故を防ぐためのヒントをお話しします。
子どもは静かに溺れます
子どもの中でも0〜1歳が入浴中に溺れる事故が最も多く、ほんの数cmの水深でも事故は発生しています。過去には、親が赤ちゃんと一緒にお風呂に入っている最中にうたた寝をしてしまい、赤ちゃんが溺れてしまったケースもありました。
赤ちゃんや子どもは、自分が水中にいることを理解できず、声や音を出さずにすぐに沈んでしまうことがあります。少しの湯量や短い時間だからといって油断してはいけません。大人は声や音に気をつけるだけでは足りないという認識をもち、溺水事故が起こらないような環境を作ることが大切です。
赤ちゃん用の浮き輪は使わない
市販されている首に付ける浮き輪や足入れタイプの浮き輪は水遊び用の道具であり、お風呂で赤ちゃんを待たせるためのものではありません。親が洗髪をしている間に、浮き輪が外れた赤ちゃんが溺れてしまったり、長時間お湯の中で使用した結果、意識障害を引き起こし、救急搬送された事例もあります。生命に関わる重大な事故を防ぐため使わないようにしましょう。
危険なものは赤ちゃんの手の届かないところに置く
入浴剤、カミソリ、ボトル類のキャップなど、赤ちゃんが掴んだり舐めたりすると危険なものは、赤ちゃんの手の届かないところに置きましょう。
使用する道具や場所を清潔に保つ
ベビーバスを使わずにマットやバスチェアなどを利用する際は、カビや雑菌の繁殖を防ぐため、それぞれの道具に合った方法で洗い乾燥させて清潔に保ちましょう。また、脱衣所や浴室も定期的に掃除と換気をしてカビの発生を防ぐことが大切です。使用する道具や環境の汚れが赤ちゃんの湿疹を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
親子でゆっくりとお風呂に慣れていきましょう
赤ちゃんが生まれたばかりのときは、お風呂に入れることを少し大変に感じることもありますが、慣れてくると親子にとってお風呂の時間がさらに楽しくなります。お風呂が好きな赤ちゃんもいれば、そうでない赤ちゃんもいますが、楽しい時間を過ごすことで少しずつ不安が和らぎ、ママやパパも自信がつくでしょう。親子でゆっくりとお風呂に慣れていきましょう。
【参考文献】
Bathing Your Baby American Academy of Pediatrics(2025年4月閲覧)
Bathing your baby - Start for Life National Health Service(2025年4月閲覧)
消費者庁 御家庭内での子どもの溺水事故に御注意ください!入浴後はお風呂の水を抜く、ベビーゲートを設置するなどの対策を 2021年7月