「放任主義の子育て」と聞くと、子どもをほったらかしにしているようなイメージをもつかもしれません。
しかし、「放任」と「ほったらかし(放置)」はまったく違います。ママやパパが干渉しすぎず、子ども自身の意思を大切にしながら自主性や主体性を伸ばすのが放任主義の子育てです。
今回の記事では、プロフェッショナル心理カウンセラーの浮世満理子さん監修のもと、放任主義とはどのような子育てなのか、メリットやデメリットなども含めて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
メンタルトレーナー/プロフェッショナル心理カウンセラー・アイディア高等学院学院長 浮世満理子さん
トップアスリートから経営者まで幅広い分野のメンタルトレーニング、カウンセリングを行うかたわら、心のケアの専門家の育成を目指し、アイディアヒューマンサポートアカデミーを設立。
また、子どもの可能性を引き出し、生きる力を育てる、アイディアメンタルトレーニング個別塾、アイディア高等学院も開設。著書、講演、マスコミ出演など多数。
放任主義の子育てとは
放任主義の子育てとは、子どもの自主性を育むために、親が意図的に手や口を出さず見守る教育方針のことです。
ママやパパが教えたり、手伝ったりするほうが時間がかからないことも多いですが、子どもを信じあえて手や口を出さず見守ることで、責任感や自発性、自主性などの非認知能力(IQやテストの点数のように、数値で測ることができない内面の力) を育むことにつながると考えられています。
育児放棄(ネグレクト)との違い
放任と聞くと、育児放棄(ネグレクト)を思い浮かべる人もいるでしょう。
しかし、放任主義の子育てと、育児を放棄するネグレクトは異なります。放任主義は子どもの成長を考え、必要以上に手や口を出さずに見守る子育てです。
一方、ネグレクトは、子どもに必要な援助や介助を行わない児童虐待です。放任主義では、子どもの安全や生活に必要な援助を行いながら、できることは子ども自身に任せます。
ネグレクトでは、食事や身のまわりの世話など、子どもに必要な養育を十分に行わない点が大きく異なります。
放任主義で育てるメリット
ここでは、放任主義で子どもを育てるメリットを4つ紹介します。
メリット①自発的に行動ができる
ママやパパがあれこれと世話を焼きすぎたり先回りして指示ばかりしていると、子どもは自分で考えて行動する機会が減ってしまいがちです。
こうした状況が続くと、自分の考えに自信が持てず、大人に言われないと行動できなくなる可能性もあります。
一方、放任主義で子育てをすると、親や先生から言われる前に自分で気付いたり考えたりしながら行動する機会が増え、自発的に行動する力を育むことにつながるでしょう。
メリット②好奇心が旺盛になる
子どものペースを尊重し、親が余計な口出しをしないため、家庭内はのびのびとした雰囲気に。
子どもは親の顔色をうかがうことがなく、自分の気持ちのまま、さまざまなことに興味をもちやすくなり、さらに興味をもったことに挑戦しようとする意欲も育ちやすくなります。
メリット③自己肯定感が高くなる
放任主義の子育ては、子どもの考えや行動をできるだけ否定せずに、見守ることを大切にします。
パパやママに見守られながら、自分で思ったことにチャレンジする経験を重ねることで、自己肯定感の向上につながるでしょう。
また、自己肯定感が高まることで、たとえ失敗しても再度挑戦しようとする前向きな気持ちも育ちやすくなります。
メリット④協調性が身につく
放任主義で育てられた子どもは、自分の意思を大切にしてもらう経験を通して、他人の意思や考えも尊重できるようになるといわれています。
自分とは異なる考え方があると理解することから、社会生活の中で人と協力したり、違う意見に耳を傾けたりする力を育むことにつながります。
放任主義で育てるデメリット
放任主義で育てるデメリットも理解しましょう。ここでは、3つのデメリットを紹介します。
デメリット① 愛情不足と感じることも
親からあまり干渉されずに育つことで、子どもはママやパパが自分に興味や関心をもってくれないと感じ、愛情不足だと受け止めてしまうことがあります。
友だちの親が子どもに声をかけたり、手助けしたりする様子と比較して、「自分は親に愛されていないのでは」と感じることもあるでしょう。
デメリット② 必要なサポートまで不足してしまう可能性
子どもを放任しすぎるリスクは、周囲に放任主義が理解されず、子どもをほったらかしにしている冷たい親だと思われることです。
そして、自分ではそのつもりがなくても、必要なサポートまで控えてしまう可能性があります。周囲に理解をされにくい場合でも、子どもの自主性を尊重することは大切です。
しかし、放任主義のつもりでも、加減を間違えて「ほったらかし育児」になってしまうのは避けたいものです。また、基本的には子どもを放任していても、場合によっては親の力が必要なこともあります。
放任主義の子育てをしていても、必要に応じて子どもに手を差し伸べるなど、柔軟な対応をすることが大切です。
デメリット③ 社会とのギャップに戸惑う
家庭内では自分の意思が尊重されるため自分の思うようにのびのびと生活できても、集団生活などでは家庭と同じようにはいかないこともあります。
社会にはさまざまなルールがあり、周囲に合わせることが求められる場面もあるからです。そのため、家庭と社会のギャップに戸惑い、ストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
放任主義で子どもを伸ばすポイント
放任主義の子育てのメリットとデメリットを理解したうえで、子どもを伸ばすポイントをしっかりと理解しましょう。
社会的なルールやマナーを教える
放任主義の子育てで自分の意思を尊重されても、すべて子どもの思うようにいくわけではありません。
社会生活の中で子どもが困ったり周囲に迷惑をかけたりしないよう、社会的なルールやマナーを教えることも大切です。
なぜルールを守らなくてはいけないのか、守らないとどのようなことが起こるのかをきちんと説明し、子ども自身が理解し納得できるように伝えましょう。
叱るべきときはきちんと叱る
危険なことや人を傷つけるようなことをしてしまった場合など、叱るべきときはきちんと叱ることも必要です。
ただし、決して感情的に叱りつけることはせず、してはいけない理由を落ち着いて伝えましょう。叱ったあとは子どもの気持ちをフォローし、親の愛情を伝えることも大切です。
干渉せずとも行動は把握しておく
子どもに干渉しないといっても、子どもの様子や行動を見守り、把握しておくことは大切です。
そして、子どもの力ではどうにもならない困った事態が起きたときには、必要に応じて声をかけ、助言や援助をしましょう。
親子の信頼関係をしっかり築く
親子の信頼関係がしっかりとできていれば、子どもは親から見守られていると感じやすくなります。
放任主義の子育てでは、親子の信頼関係を築いておくことが大切です。
子どもの意思を尊重しながらも親子の会話やスキンシップを大切にし、日頃から愛情を伝えることを心がけましょう。
子どもの失敗を受け入れる
子どもが失敗したときに責めたり否定したりしてしまうと自信を失くし、子どもの挑戦する意欲が低下してしまうことがあります。
子どもの失敗を受け入れて、励ましの言葉をかけましょう。解決策を一方的に教えるのではなく、一緒に考えたりヒントを出したりしながら、失敗から学べるように温かく見守ることが大切です。
子どもとの信頼関係をしっかり築きましょう!
放任主義の子育ての土台は、親子の信頼関係です。ママやパパに信頼されている、愛されているという実感があることで、子どもはやりたいことに挑戦し、毎日をのびのびと過ごしやすくなります。
反対に、ママやパパが子どもを信頼していないと、子どもの意思を尊重することは難しいでしょう。
子育てに絶対の「正解」はありません。放任主義の特徴やメリット・デメリットを知ったうえで、家庭に合った子育ての方法を考えてみてはいかがでしょうか。
【こちらの記事も読まれています♪】
★「叱る」と「怒る」の違いは?効果的な叱り方
★子育てのイライラが止まらない原因
★上の子のストレスサインには何がある?
文:西須洋文

気になるキーワードで探す
年齢×ジャンルで探す