子どもが爪を噛んでいるのを見ると、ママやパパは「汚いから早くやめさせなければ」と思いますよね。
子どもの爪噛みをやめさせるには、原因を理解し、時間をかけてじっくり向き合う必要があります。
今回はプロフェッショナル心理カウンセラーの浮世満理子さん監修のもと、発達心理学の観点から、考えられる原因や家庭でできる対処法をお伝えします。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
メンタルトレーナー/プロフェッショナル心理カウンセラー・アイディア高等学院学院長 浮世満理子さん
トップアスリートから経営者まで幅広い分野のメンタルトレーニング、カウンセリングを行うかたわら、心のケアの専門家の育成を目指し、アイディアヒューマンサポートアカデミーを設立。
また、子どもの可能性を引き出し、生きる力を育てる、アイディアメンタルトレーニング個別塾、アイディア高等学院も開設。著書、講演、マスコミ出演など多数。
子どもの爪噛みの原因は?
子どもの「爪を噛む」という行動には、言葉では伝えきれない「気持ち」が潜んでいると考えられます。
爪噛みをやめさせるには、まず子どもの気持ちを理解することが大切です。
子どもの爪噛みで考えられる主な原因を解説します。
原因①ストレスや不安、緊張を感じている
子どもはストレスや不安を感じたときや緊張しているときに爪を噛むことがあります。
爪を噛むことで気持ちを落ち着かせようとしているのです。
爪を噛む以外にも、指しゃぶりをしたり髪を抜いたりする行為が見られることもあります。
叱られた、恥ずかしい思いをした、寂しかったなどの経験をはじめ、入学や引っ越し、下の子の誕生などの環境の変化、保育園・幼稚園・学校での人間関係の悩みなど、さまざまなことが爪噛みの原因になります。
ストレスを解消してあげることで解決につながるでしょう。
原因②爪の長さやささくれが気になってしまう
子どもは、伸びた爪が気になって噛んでしまうことがあります。
単純に見た目が気になる子もいれば、伸びている状態を不快に思う子もいるでしょう。
ささくれが目に入り、噛みちぎっているうちに爪まで噛んでしまうケースも。
爪もささくれもまだ自分で切れないうちは、ママやパパがこまめにチェックしてケアしてあげると良いですね。
原因③手持ち無沙汰のときに爪を噛む癖がある
待ち時間など、やることがなく手持ち無沙汰のときに爪を噛む子もいます。
爪を噛むことで刺激を得て、脳を覚醒させているのです。
ただの癖ではありますが、より強い刺激を求めて出血するまで爪を噛んでしまうケースもあり、放置するのは良くありません。
声をかけ外の景色を見せる、簡単なクイズを出すなどして、別の行動へ促してみましょう。
手持ち無沙汰のときは、やわらかいボールや触り心地の良いスクイーズのようなおもちゃを渡したり、一緒に手遊びをしてあげたりするのもおすすめです。
爪を噛んでしまうとどのようなリスクがある?
爪噛みは衛生的ではないため、なるべくならやめさせたいですよね。
さらに習慣や癖になってしまうと、成長に影響を及ぼすこともあります。
具体的なリスクを理解したうえで、習慣になってしまっていないか観察してあげてください。
雑菌による感染症・病気のリスク
爪を噛むことで、指についた雑菌やゴミが口から体内に入ってしまうリスクがあります。
インフルエンザなどの感染症が流行している時期は特に気を付けたいですね。
また、噛みすぎて爪だけでなく皮膚を傷付けて出血してしまうと、そこから雑菌が入り化膿や細菌感染を引き起こすこともあります。
爪や指が変形してしまうリスク
爪を噛むと、短くなりすぎたりガタガタになったりします。
癖が強い場合、縦や横に線が入る、色素沈着するケースも。
また、長期間爪噛みを続けてしまうと、爪の下の皮膚が短くなり指先が丸く変形してしまうこともあります。
見た目を気にして手を隠すようになる子もいるため、変形する前に対処してあげましょう。
爪噛みをしてしまうときの対処法・治す方法は?
病気や変形のリスクがあると聞くと、すぐにでもやめさせたくなりますよね。
ですが、原因がストレスである場合は特にあせりは禁物です。
強引にやめさせようとせず、気持ちを受け止めるところから始めましょう。
方法①すぐに叱らず、状況や気持ちを理解する
子どもが爪を噛んでいるところを見ると、すぐに注意したくなるもの。
ですが、爪噛みは無意識の行為であることが多いため、叱られたからといって癖がなくなるわけではありません。
逆にストレスや不安が強まってしまうおそれもあります。
時間を作り、子どもとじっくり向き合ってみてください。
爪噛みをしていたときの状況や表情から、退屈だったのか、寂しかったのかなど、爪を噛むきっかけがわかれば、次からはその状況を避けられます。
もし子どもが少しでも状況を話してくれたら「おもちゃで遊べなくて嫌だったね」「お友達にそんなことを言われて悲しかったね」と言葉で表してあげましょう。
まだうまく説明できない年齢の子なら、ママやパパに気持ちをわかってもらえたことでホッとするはずです。
方法②スキンシップを取りながら、爪噛みをやめさせる
言葉で爪噛みをやめさせようとするよりも、スキンシップを取りながらさりげなく口から手を離してあげるほうが良いでしょう。
頭をなでたり、背中をさすったり、抱きしめたりしながら子どもの手を取り、そっと包み込んであげてください。
優しく指や爪をなでられると、子どもは自分が爪を噛んでいたことに気づくことがあります。
その気づきが、爪噛みをやめる第一歩になるかもしれません。
方法③爪を短く切ってあげる
伸びている状態が気になって噛んでしまう子もいるため、常に短く整えてあげるのも1つの方法です。
噛む部分がなければ、噛みたい気持ちが起こりにくくなります。
ただ爪を切るだけでなく、やすりできれいに整えてあげたり丁寧に保湿してあげたりと特別なネイルケアをしてあげることで、噛みたい気持ちを抑えられることも。
スキンシップの一環として取り入れてみてください。
小学校に上がる前の子なら、可愛いテープやシールを貼って物理的に噛めないようにするのも良いでしょう。
方法④専用のマニュキュアを塗る
なかなか爪噛みをやめられない場合や、ママやパパが「ついきつく叱ってしまう」とお悩みの場合は、口に入れると苦い味のするマニキュアを塗る方法も検討しましょう。
専用のマニキュアは子どもの体内に入っても無害な成分で作られているため、安全です。
ぬるま湯やアルコールなどで簡単に落とせるタイプが多いため、安心して使えますよ。
きつく叱るのはNG。余計にストレスになることも
ママやパパがきつく叱ってしまうと、子どもはさらに不安や緊張を抱くようになり、爪噛みなどのストレス行動が悪化してしまうケースも。
強引に口から手を離す行為も避けたほうが良いでしょう。
無理にやめさせようとせず、自分で気づくように促しつつ、原因となるストレスを取り除きながら見守ってあげてくださいね。
爪を噛まずに我慢できたときに「約束を守れてえらいね」と褒めてあげることも効果的ですよ。
あせらず、ゆっくりと対応していきましょう
子どもの爪噛みをやめさせるために大切なのは、ママやパパがあせらないこと。
特にストレスが原因で爪を噛んでしまう子の場合は、対応次第で悪化してしまうおそれがあります。
子どもが自然に爪噛みをやめられるようになるまで、時間をかけてゆっくり向き合いましょう。
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文:あまね