自分で作ったブロックが動く。子どもはもちろん、大人でも楽しくなってしまうような「ユカイなパチパチブロックキット」が話題です。
開発者は自らも、ロボットコンテスト「ロボコン」に出場していたロボット好きな方。小学生向けのロボコンの公式キットを手掛ける中で、もっと手軽にロボットに触れてほしいとの思いから生まれたおもちゃでした。
この記事のもくじ
キッズアライズ編集部が気になるベビー・キッズ関連のグッズやサービスをご紹介。
今回は、子どもと遊べるロボットのおもちゃ。「知育玩具」とまとめてしまうには、本格的過ぎるのではともいえる技術を備えつつも、ブロック遊びの要領で組み立てて遊べる「ユカイなパチパチブロックキット」。
プログラミングで自由に動かすこともできる「ロボット」なのに、手頃な価格帯の嬉しい商品です。
ユカイなパチパチブロックキットとは?
フレームと呼ばれるブロックと2種類で3つのモーターを使い、自由な形に組み立ててスイッチで動かすことができるロボット玩具。配線の位置を変えることでモーターの動きが変わるため、数種類の動かし方が簡単に実現できます。また、プログラミングすることで、さらに動きをコントロールすることも可能です。
ユカイなパチパチブロックキットの魅力をお聞きしました!
お聞きした方:ユカイ工学株式会社 エンジニア 和田 義久さん
ブロック遊びの感覚でロボットが作れる
-「ユカイなパチパチブロックキット」(以下「ブロックキット」)のほかに「ユカイな生きものロボットキット」などがある「kurikit(クリキット)」シリーズですが、それぞれどのような位置づけでしょうか
和田さん:最初に発売したのは小学生版のロボットコンテスト用のキットとして開発した「ユカイな生きものロボットキット」です。自由な発想で柔軟にモノづくりを楽しんでもらうのが狙いでした。
しかし、小さなプラ段ボールを自分で切って自由に形を作る、という最初の工程で手が止まってしまう子が一定数いたんです。そこで、そうした子たちにも気軽に取り組んでもらいたいと、より形を作りやすいブロックのキットを開発しました。
-ブロック玩具と同じ感覚でロボットが作れるので、始めやすいですね
和田さん:市販のブロックとも互換性があるので、建物にしたり、乗り物にしたり、人形を付けたりできます。モーターの駆動力には余裕があるので、多少ブロックが追加されて重くなっても大丈夫です。
-親子や友達など複数人でも遊べますか
和田さん:ワークショップでは1人1つずつ用意し、お互いに好きな形を作って、どれが早いかの競争をしました。かなり盛り上がりましたね。
こういった遊びは子どもだけに与えがちですが、親も一緒に考えながら楽しむ姿は子どもにとっても刺激になると思います。
-その他には、どのような遊び方がありますか
和田さん:僕たちとしては、どんな遊び方をしていただいてもいいと思っています。
モーターに興味を持つ子、動きを楽しむ子、ブロック遊びが好きな子、ブロックで幾何学模様を作ったり、色を塗ったりして嬉しそうにしている子など、子どもによって反応は様々。それもすべて子どもの個性なので、自分の中の「好き」を、クリキットを通して見つけてもらえたら嬉しいです。
2種類のモーターがロボットの可能性を広げる
-「ユカイなパチパチブロックキット」の開発で、こだわったのはどんなところですか
和田さん:2種類のモーターを入れたことです。キットにはモーターが3つ入っていて、うち2つは一般的な、ぐるぐると回って前に進むことができる回転モーターです。
もうひとつは、90度右に回ったら次は左に90度回るなどの角度がコントロールできる角度モーター。人間の関節のような動きを再現できるため、ロボット工学の世界では重要なモーターです。
-角度モーターがあると、どんなことができるのでしょうか
和田さん:直線のブロックを付けて、しっぽのように動かすことができますが、応用編でゴム鉄砲なども作れます。
また、モーターを動かすための基板は、4つのモーターを制御できるスペックがあるため、「ブロックキット」を複数用意していただけると、二足歩行のロボットを作ることも理論上は可能なんです。かなりの技術と知識が必要ですが、そういう拡張性にもこだわりました。
-これだけのスペックを備えたロボット玩具が、1セット1万円以下とかなりリーズナブル。この予算でここまで作り込むのは大変だったのではありませんか
和田さん:角度モーターがあるとロボットとしての楽しさが倍増するため、単に動いておしまいではない発展性を持たせたかった。予算的な制約こそあるものの、これは絶対に入れたいと思いましたね。
小さなころからの“好き”と“興味”が進化し、ロボット工学の道へ
-クリキットシリーズの開発のきっかけを教えてください
和田さん:小学生ロボコンを立ち上げる話をいただき、小学生でも簡単にロボット作りができるキットを開発することになったのが最初です。
とはいえ、自分の経験が一番大きいですね。小さいころからモノづくりが好きで、ブロック遊びや秘密基地づくりなどをしていました。そのうち、ラジコンなどのモーターを使ったおもちゃに興味を持ち、もっと自由に自分で動かしたいと思うようになったんです。
そういった思いを持つ子が気軽に体験できて、クリエイティブにモノづくりができる人が増えてほしいという思いからキットを作りました。
-ブロックやラジコンは、多くの子どもが一度は楽しむ遊びかと思います。そこから、どのようにロボットへと興味が進んでいったのでしょうか
和田さん:読書も好きで、ロボットが活躍する小説が好きだったんです。そして、機械を自動に動かすにはプログラムが必要だと知り、やってみたいと思うようになりました。
ちょうどその頃、ブロックでつくったロボットを動かすキットを親戚からお下がりでいただき、親がパソコンも揃えてくれたことが大きかったですね。
-ロボット玩具の場合、遊びをきっかけにモノづくりやプログラミングに興味を持ってもらいたいと思うママやパパもいるかと思います
和田さん:子どもが興味を持つものは本当に千差万別。いろんな体験をする中で自分の好きなものが見えてきます。
僕自身、親からは兄と同じものを与えられていたのに、僕はモーターやロボットに興味を持ち、兄は音楽や芸術のほうに興味を持ちました。おそらく「コレが好き」というものを見つけたら、親が誘導しなくても自らのめり込んでいくと思います。
このキットは、その体験・きっかけのひとつです。あくまでもおもちゃのひとつと思って気軽に遊んでいただき、いつの間にかロボット工学やプログラムの世界を体験ベースで触れているツールとして開発しました。
色々な体験が子どもの個性を刺激し、興味を育てる
-キッズアライズを見ているママやパパにメッセージをお願いします
和田さん:ロボット玩具といっても、親がロボットに詳しい必要はありません。一緒に箱を開けて、「これってどうなっているんだろうね」とお子さんと考えて、楽しみながら作ってほしいですね。
遊んでいると、子どもが好きなポイントが見えてくると思います。それがロボットに関係のないことでも、その興味を持ったポイントを褒めてあげてほしいです。僕は、親にそうやって褒めてもらい、どんどん楽しくなっていったので。
まずは気軽にトライして、子どもの個性を見つけるツールのひとつになれれば嬉しいです。
子どもがロボットにもっと興味を持ったら?
◎障害物を自動で回避させたい、自分の思った通りに動かしたいと思ったら…
→クリキットシリーズのビジュアルプログラムを使うと、比較的簡単にプログラミングが可能です。
◎ロボットで物を掴む、運ぶなどの仕組みや動きに興味を持ったら…
→より自由度の高い、「ユカイな生きものロボットキット」にトライ!小学生ロボコンに使用されているキットなので、コンテストで全国の小学生と競うこともできます。
キッズアライズのまとめ
小さい中に、ロボット工学の楽しさがギュッと詰まった「ユカイなパチパチブロックキット」。とはいえ、「ロボット」や「プログラミング」などと身構える必要もなく、どんな遊び方で楽しんでもいい、懐の大きなおもちゃでした。
取材協力
ユカイなパチパチブロックキット
定価:9,900円(税込)
ユカイ工学