全国の小学校・中学校にて取り組まれているGIGAスクール構想により、1人1台の端末で学べる環境が整ってきています。家庭学習でもタブレットを使った通信教育が人気ですよね。
とはいえ、学校でも家でもタブレットを使うとなると、飽きずに続けられるのか、視力が悪くならないかなどの心配も。
タブレット学習のメリット・デメリットや学習を進めるコツについてご紹介します。
この記事のもくじ
タブレット学習の普及率
公立の小中学校で行われるタブレット学習の背景には文部科学省による「GIGAスクール構想」があり、プログラミングやカメラ機能を使っての観察記録、インターネットを使った調べ学習や発表のためのスライド作成などに利用されています。
GIGAスクール構想によるタブレット学習の普及率を調べてみました。
小学校では約9割が利用を開始
文部科学省による令和3年に行われた調査では、全国の公立小学校の84.2%、中学校の91.0%が全学年での利用を開始しています。(※1)
また、文部科学省が令和5年4月に行った調査では、地域差はあるものの、1人1台端末を授業で「ほぼ毎日」「週3回以上」活用している割合が約9割になりました。(※2)
ほとんどの小中学生が端末を使って学んだ経験があるといえるでしょう。
タブレット学習のメリット5つ
学校で進められているタブレット学習のほか、自宅で取り組む通信教育のタブレット学習も人気です。
取り入れるべきかお悩みの方へ、通信教育におけるタブレット学習のメリットをお伝えします。
①楽しみながら学習ができる
タブレット学習では、「読み書き」だけでなく触って操作することで学びが深まったり、計算問題や英単語の暗記をゲーム感覚で進められたりと、子どもが積極的にやりたくなる工夫が盛り込まれています。
紙とえんぴつを使った勉強スタイルに苦手意識のある子どもも、タブレットなら意欲的に取り組めるケースも多いでしょう。
②くり返し学習できる
タブレット学習の中には、間違えたところだけやり直す機能や間違えやすい問題を出題する機能がついているものも。
つまずいても早めにリカバリーできます。
もちろん、同じ問題を何度も解くことも可能です。
子どもが苦手な科目を集中的に学べるほか、長期休暇中にくり返し学習することで学びを深められますよ。
③動画やイラストが多用されていて情報がわかりやすい
多くのタブレット学習には、可愛いキャラクターが動画で解説してくれる、漢字の書き順をアニメーションで確認できるなどの工夫がされているため、わかりやすいところが魅力です。
④複数の教材をタブレットにまとめられる
教科書やドリルなど紙の教材は科目ごとに分かれていますが、すべてが1台にまとまっているのがタブレット学習の魅力です。
長期休暇中に帰省する場合も、タブレットを1台持って行けば復習ができますよ。
⑤自動で採点してくれるため、一人で学習が可能
タブレット学習では自動で採点されるため、保護者が行う必要がありません。
保護者の負担が軽くなるだけでなく、子どもも問題を解いた直後に正解・不正解がわかるのもポイント。
漢字の書き方や計算方法を誤って覚えていた場合、すぐに正しいものへと上書きできます。
タブレット学習のデメリット
子どもを夢中にさせるポテンシャルのあるタブレット学習ですが、学習に不都合な面もあります。
これからご家庭に取り入れるかお悩みの方は、デメリットも踏まえて検討してくださいね。
タブレットで遊んでしまう可能性がある
ご褒美要素としてゲームアプリが入っているタブレット学習もあります。
学習後に遊ぶのはよいですが、勉強を進めずゲームばかりしていては意味がありませんよね。
学習した日にしかゲームができない仕様になっているものや、保護者が時間を管理できるものもあるので、ゲームに誘惑されそうな子どもの場合はその点を考慮して選ぶとよいでしょう。
自分で文字を書く機会が減ってしまう
タブレット学習では指や専用のペンを使うため、えんぴつで紙に書く機会が減ります。
何度もくり返し紙に書いて覚えてほしいと思う保護者には物足りないかもしれません。
目の疲れや視力低下の恐れがある
タブレットを含め、テレビやビデオゲーム、スマートフォンなどの端末を使用する「スクリーンタイム」が増え、屋外での遊びが減ることで、視力低下が増加しているといわれています。
目の疲れや近視を防ぐためにも、
- 画面から30cm以上離れてみる
- 30分に1回遠くを見る
- 外遊びの時間も作る
などを約束するとよいでしょう。
家庭でタブレットや通信環境を用意する必要がある
タブレット学習では教材やアプリの配信、テストの採点などがインターネット上で行われるため、家庭で通信環境を整える必要があります。
Wi-Fiなど無線LANでの接続が必須の通信教育もあるため、確認してから申し込むことをおすすめします。
タブレット学習のデメリットを防ぐための工夫
学習に関係のないアプリをタブレットに入れない
専用の端末を使うタブレット学習であれば、外部のアプリをダウンロードできないものが多いでしょう。
iPadなど一般的なタブレットを学習に活用する場合は、教材以外のアプリはダウンロードしないのがおすすめです。
使用時間を決めておく
目の疲れや視力低下、タブレットの依存を防ぐためにも、使用する時間を決めることが大切です。タブレットを利用可能な時間に制限を設け、長時間の利用を避けるようにしましょう。
ブルーライトカットシートを貼る
タブレット学習では、ブルーライトの影響で目が疲れたり、睡眠の質が低下する恐れがあります。タブレット端末にブルーライトカットシートを貼ったり、ブルーライトを軽減する配色のタブレットを使うなど対策を行いましょう。
タブレット学習と紙の学習はどちらがよい?
タブレット学習にはメリットもデメリットもあるため、子どもに合っているのかを見極めるのは難しいもの。
タブレット学習を選択したら紙学習ができなくなるわけではないため、ぜひ柔軟に考えてみてくださいね。
タブレット学習・紙の学習両方にメリットがある
タブレット学習と紙学習を比べると、双方にはそれぞれ違った特徴があることがわかります。
タブレット学習に見られる効果
- 図形がイメージしやすい
- 写真に写っている対象を思い出しやすい
- 感覚的に学べる
- 飽きにくい
- 興味を持ちやすい
紙学習に見られる効果
- 文章の概要がわかりやすい
- 下線を引きやすい
- 文章が読みやすい
- 内容が頭に残りやすい
- 目に優しい
学習の効果が違うため、一概にどちらがよいとはいえないのです。
タブレットと紙学習の併用がおすすめ
タブレット学習では文字を書く機会が減るため、国語、とりわけ漢字の書き取りは紙学習をプラスするとよいでしょう。
5年生以上なら、英単語の暗記に紙学習を用いるのもおすすめです。
タブレット学習を上手に進めるためのコツ
タブレット学習には楽しく学べる工夫が盛り込まれています。
とはいえ、中には次第に飽きて続かなくなる子も。
タブレット学習のメリットを活かし、デメリットを最小限に抑えるコツをご紹介します。
勉強の様子をこまめに見るようにする
保護者がときどき進捗状況をチェックしてあげましょう。
学習が進んでいないようなら「今日はどの科目をやる?」と声をかけたり、学習に取り組んでいたら「頑張っているね」と声をかけたりするとモチベーションが上がりますよ。
学習に関係のないアプリをタブレットに入れない
専用の端末を使うタブレット学習であれば、外部のアプリをダウンロードできないものが多いでしょう。
iPadなど一般的なタブレットを学習に活用する場合は、教材以外のアプリはダウンロードしないか、時間制限を設けるのがおすすめです。
タブレット操作が苦手な子どもには紙学習も検討
タブレット操作につまずきやすい子、即座に不正解と出されるとやる気が削がれる子など、タブレット学習との相性がよくない子もいます。
タブレットを使った学習は学校でも行われているため、自宅では紙学習を選択してもよいでしょう。
ネットで無料の練習問題をダウンロードするなどして、紙学習も試してみてはいかがでしょうか。
タブレットのメリット・デメリットを理解して学習に生かしましょう!
政府が推進していることからもわかるように、タブレット学習にはたくさんのメリットがあります。
デメリットを最小限に抑え、学ぶ喜びを実感させてあげましょう。
ライター:あまね
チャイルドカウンセラーの資格を持つママライター。
HSC(ひといちばい敏感な子ども)の娘の心に寄り添うため、子ども認知行動療法やアートセラピーを勉強中。
目標は自分だけの仕事部屋を持つこと。
(※1)参考:文部科学省「GIGAスクール構想に関する各種調査の結果」(p.4)
(※2)参考:文部科学省「教育におけるデジタル技術の活用の加速化(参考資料)」(p.3)