前回の記事では『賢い子供に育てるコツとは?』の前半、「子どもの脳の発達とは?」という内容でご紹介しました。この後半では「子どもたちの各年齢において行うといいこと」を教えていただきました。
この記事のもくじ
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瀧靖之先生
医師、医学博士。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長、東北大学加齢医学研究所教授。東北大学発スタートアップ株式会社CogSmart代表取締役。
著書:『生涯健康脳』『賢い子に育てる究極のコツ』
メディア出演:「主治医が見つかる診療所」、NHK「NHKスペシャル」、NHK「あさイチ」、TBS「駆け込みドクター!」など多数。
賢い子供に育てるコツとは?
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子どもたちの各年齢において「行うとよいこと」とは?
子どもの脳は、原始的なことからより人間らしい領域へと順に発達のピークをむかえます。その時期に合わせて、いつなにをしていくと脳の発達を促すために効果的なのかをお伝えします。
生まれてすぐ~ 愛情いっぱいの関わりを大切に
感覚に関わる機能が育ち、人としての基盤を築く時期です。
この時期には、愛着形成が最も大切になります。愛着形成とは、特定の大人に愛情を持って関わってもらうことで生まれる絆や信頼です。
目と耳、身体のさまざまな感覚から愛情を感じられるように、親が笑顔で関わり優しい声かけをしていきましょう。
生後6か月~2歳 絵本の読み聞かせをして語彙力UP
母語(日本語)の習得がどんどん進む時期です。この時期にして欲しいのが絵本の読み聞かせです。膝にのせて愛情いっぱいに読んであげましょう。読み聞かせを通して、日本語の単語、響き、抑揚、さまざまなことを獲得していきます。未就学の時に獲得した語彙数(知っている言葉の数)の多さが就学後の学力の向上にもつながります。
忙しい時には、映像に頼ってしまうこともあるかと思います。けれど子どもの言語獲得には音だけではなく、身振りや手振り、そして表情と結び付けて伝えることがとても大切です。親子でのあたたかいコミュニケーションの中で読んであげるのが一番です。
2歳~3歳 図鑑を使って知的好奇心を高めよう
自分と人の違いを認識し、知的好奇心が芽生える時期。この時期には、いろいろなことに興味を持たせ、より深めていくことが大切です。子どもはたくさん見たり聞いたりすることで興味を持つことができるので、いろいろなものに触れられる環境を用意しましょう。
おすすめは、図鑑を読むことです。昆虫、星、草花、動物、どんなものでも構いません。
ただ図鑑を買い与えるだけでなく、親が積極的に図鑑を手に取り一緒に見ると効果的です。
子どもは、大人の模倣をすることでさまざまな能力を獲得していくからです。
そして図鑑で見たものが現実の世界でもちゃんと存在しているというのを体感することで、他のことへの好奇心も強くなっていきます。実際に、親子で自然体験をしてみてください。
3~5歳 全身運動をして脳に刺激をあたえよう
運動に関わる領域「運動野」の発達のピークの時期。この時期に、さまざまな運動や楽器演奏をすると脳の発達にいい影響があります。ひとつのスポーツにこだわらず、どんな動きでも大丈夫です。全身を動かす遊びをさせましょう。手先指先をつかった楽器演奏もいいですね。
運動をすることで、記憶に関わる「海馬」という脳の領域が育ち、暗記力がアップします。また「偏桃体」の興奮や活性を抑えるため、不安やストレスを抑える効果もあります。
そのためこの時期にたくさん運動をすることは、心と身体の発達にとても役立ちます。
6歳~ 第二言語の獲得をめざそう
「臨界期」と言われるこの時期は、第二言語の獲得にぴったりの時期です。
この時期に英語学習をスタートするといいですね。
読み書きよりも、まずは聞くこと、話すことから取り組みましょう。特に聞くことを大切にしてください。
いつからはじめても脳は発達する
脳の発達にはピークをむかえる順番があります。けれどピークを越えたら発達が終わってしまうということではありません。
脳には可塑性(変化する力)があるため、いつからはじめても成長する力を持っています。
発達のピークに比べると時間はかかってしまいますが、いくつになっても新しいことに挑戦することはできますよ。
キッズアライズのまとめ
日々の子育てで取り組めることが多く、とても参考になりましたね。絵本や図鑑を手に取る機会を増やし、親子の触れ合いを大切にしながら楽しく子育てをしていきたいと思うお話でした。
3歳以降に全身運動や楽器演奏をすることが、記憶力に関わるということもとても興味深かったです。のびのび元気いっぱいに遊ぶことも、賢い子を育てる上でとても大切な時間なのですね。早期教育に焦る気持ちが軽くなり、親子で笑顔になれる時間が増えそうです。
また、脳はいつからでも変化する力を持っているということで、発達のピークを越えた子どもや大人にとっても希望をもてるお話でした。親自身も新しいことにチャレンジして、子どもの好奇心を刺激していきたいですね。
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