脳科学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生に子どもたちに重要な生活習慣について3つのポイントを教えていただきました。
16万人の脳画像を見てきた瀧先生。元気な子に育てたいパパやママは気になるのではないでしょうか?
この記事のもくじ
瀧 靖之(たき やすゆき)先生
医師、医学博士。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター
副センター長、東北大学加齢医学研究所教授。
東北大学発スタートアップ株式会社CogSmart代表取締役。
著書:『生涯健康脳』『賢い子に育てる究極のコツ』
メディア出演:「主治医が見つかる診療所」、NHK「NHKスペシャル」、NHK「あさイチ」、TBS「駆け込みドクター!」など多数。
子どもたちに必要な生活習慣とは?
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元気な子に育ってほしい!3つの重要な生活習慣
ダイナミックに成長していく子どもの脳。大人の関り方も大切ですが、日々の生活習慣もとても大きな影響をあたえます。
ポイントは「コミュニケーション」「食事」「睡眠」の3つです。
コミュニケーション
コミュニケーション…つまり会話をすることは脳の発達においてとても重要です。
会話するとき、私たちは常に相手の表情、仕草、声の抑揚を読み取り、今どういう気持ちか、どんな言葉を投げかければ不快にさせないかを判断しています。
会話を繰り返すことによって「共感性」が育ちます。
「共感性」とは相手の気持ちを理解して適切な行動を取る能力のことです。
共感性の未熟な若者が増えている?
実は、今の20歳は昔の20歳と比べ「共感性」が未熟と言われています。
相手の気持ちや空気を読む能力がだんだん下がってきていて、世界的な問題になっています。
原因はインターネットやSNSの普及にともない、文字だけでのコミュニケーションが増えたことだと言われています。
本来相手の顔を見て話すことで「共感性」は育ちます。
しかし、文字だけのコミュニケーションでは、相手の深い気持ちを視覚感覚で得る機会が失われてしまいます。
今やネットは必要不可欠なものですが、対面でのコミュニケーションが少ないと大きな問題につながる可能性があります。
「SNSを多用するほど幸せを感じられず孤独感が増す」「リアルなコミュニケーションを好む子どもは幸福感が大きい」という報告もあります。
親、友だち、先生…、さまざまな人との対面でのコミュニケーションが、とても大切ということを知っておきましょう。
食事
脳は非常に多くのエネルギーを使って成長していきます。子どもは大人よりも1.5~2倍ほど脳でエネルギーを使うため、食事によるエネルギー摂取がとても大切です。
特に重要なのは朝食。
朝食習慣がない子は、学業成績が落ちるというデータがあります。
朝食では、砂糖の多く入った甘いシリアルや菓子パンは避けましょう。こういった食べ物は血糖値を急激にあげてしまい、その結果すぐに燃料切れになってしまいます。
それよりも白米や普通のパンなど、ゆっくり時間をかけて血糖値をあげるGI値の低い食べ物がいいでしょう。
甘い菓子パンやお菓子はおやつの時間に食べるのであれば問題ありません。
また、栄養の偏りがないように、さまざまな品目をとることも大切です。
睡眠
睡眠には、脳科学的に重要な2つの目的があります。
1つ目の目的は、ものを覚えるためです。
私たちの脳は、寝ることで記憶が固定されます。徹夜でものを覚えてもすぐ忘れてしまうように、睡眠を削ると記憶力は落ちます。それは、「海馬」と呼ばれる記憶をつかさどる脳の領域の「神経新生(新しく神経細胞が生まれること)」が、寝不足だと抑えられてしまうからです。
2つ目の目的は、感情をコントロールするためです。
寝ることで不安やストレスが取り除かれます。感情のコントロールには、充分な睡眠が必要なのです。
子どもは、8~9時間ほどの睡眠が必要だと言われています。無理に睡眠時間を削るようなことは控えましょう。
コミュニケーション、食事、睡眠。どれも当たり前のことですが、当たり前のことをしっかり行うことが脳の発達にはとても重要です。
キッズアライズのまとめ
子どもたちに重要な生活習慣について3つのポイントを教えていただきました。
忙しい毎日でも、親子での対話、しっかり朝食をとることや充分な睡眠といった基本的なことを改めて大切にしていきたいですね。
オンラインでの習い事や授業が普及し、子どもたちにとってもネットでのコミュニケーションはなくてはならないものになりつつあります。
けれど、相手の顔を見て表情や声のトーンから気持ちを感じ取る、心の通ったコミュニケーションの機会を奪うことのないように意識していかなければと感じるお話でした。
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