
弟や妹が生まれて、上の子の赤ちゃん返りに悩まされるママやパパもいるでしょう。
年子などで子ども同士の年齢が近かったり、上の子のイヤイヤ期と重なったりしたらさらに大変。
どのように上の子と接したらよいのでしょうか。
赤ちゃんのお世話でママも余裕がない
甘えてくる上の子の相手もしてあげたいけれど、生まれたばかりの赤ちゃんのお世話をするママには余裕がありません。
それどころか、限られた時間と体力のなかで子どもたちのお世話をしなければなりません。
上の子のワガママや癇癪(かんしゃく)には、ついイライラして叱ってしまうこともあるでしょう。
一方で上の子をかまえずに申し訳ないと感じたり、どう対応してよいか分からなかったり、戸惑うことも多いと思います。
いきなりお兄ちゃんやお姉ちゃんにはなれない
ママが時間をかけてお母さんになるように、上の子もいきなりお兄ちゃん・お姉ちゃんにはなれません。
上の子は弟や妹が生まれ、突然ママとの時間が減ってしまって、「何がおきているの?」と大きな不安を感じています。
そして自分が赤ちゃんだった頃、同じようにお世話されていたのに本人は覚えていません。
そのため「赤ちゃんばかりずるい!」と嫉妬し、親の愛情を確かめようとしているのです。
まずは不安を解消し、ポジティブな場面で「お兄ちゃん・お姉ちゃん」と呼びかけて
まずは上の子の不安を解消してあげましょう。
「あなたも赤ちゃんの頃は、ママはこうしてあげていたのよ」「今ももちろんあなたのことはかわいいし、大好きよ」と根気よく言葉にして伝えてあげます。
ときには上の子とふたりきりの時間をつくるとよいでしょう。
そしてママに余裕があれば、できるかぎり上の子の要望に応えてあげてください。
「抱っこして」なら抱っこをして、「ミルクを飲みたい」というなら、飲ませて満足させてあげましょう。
自分が大切にされている実感から不安は軽減し、次第に赤ちゃん返りも落ち着いていきます。
ママも余裕がないときには、ワガママを言う上の子に対しイライラしてつい「お兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ!」と叱ってしまうことがあるでしょう。
しかしそもそも上の子は、お兄ちゃん・お姉ちゃんとは何かをまだ知りません。
下の子の面倒をみてくれたときや、興味本位でも赤ちゃんを優しくなでているときなどに、「さすがお兄ちゃん(お姉ちゃん)だね!」とほめてあげると、その嬉しさから“お兄ちゃん・お姉ちゃん”としての意識が育っていきます。
また、「これからお兄ちゃん先生ですね」と言って胸に目印となるシールを貼るなど、プライドを持たせてあげるのもいいですね。
「ママとのつき合いは弟や妹より長いんだ!」と思えるようになると、嫉妬心や独占欲も軽くなるでしょう。
ママやパパが上の子に愛情を伝えても、上の子はすぐに弟や妹の存在を受け入れることは難しいかもしれません。
しかし、そうしたことを伝え続けることで次第に心も成長し、赤ちゃん返りもおさまっていくでしょう。
周りにも頼って赤ちゃん返りを乗り切って
赤ちゃんと子どもを同時にお世話するのは、本当に大変なことです。
妊娠中から助けてくれる人やサービスを見つけておいて、パパだけでなく周囲の人にも遠慮することなく頼って乗り切りましょう。
監修:榎本可世子
第37期認定子育てアドバイザー(保育士、幼稚園教諭・元保育園園長、子育てアドバイザー養成講座講師)
文:山村智子
イラスト:Ryoko Ishiyama