子どもが生まれても働き続けたいと考えるママの中には、産休育休の取得後に本当に職場に復帰できるのか、保育所に入れなかったらどうなるのかと不安に感じている人も多いかもしれません。
実は育児休業は、保育所に入れなかったり産後体調を大きく崩してしまったりしたとき、延長することが認められています。
この記事では、そもそも育休とはどのような制度なのか、いつまで延長できるのか、どうすれば延長できるのか解説します。
育休制度をよく知ることで、産後に関する不安を減らしていきましょう。
この記事のもくじ
育児休業とは
育児休業は、原則として1歳未満の子どもを養育するための休業です。「育児・介護休業法」という法律で定められており、該当する子が1歳6か月を迎えるまでの間に勤務先との契約が満了することが明らかでない場合、それまでの雇用期間に関係なく取得できます。
また「育児休業」と似た名前の制度に、「育児休暇」があります。育児休業は法律で定められた制度であり、勤務先の就業規則に関係なく条件を満たしていれば取得できます。それに対して育児休暇は各企業が独自に定める育児支援のための休暇制度です。
育児休業はどのくらい延長できる?
育児休業は原則として1歳に達する日までですが、職場復帰できない理由があるときには最長2歳に達する前日まで延長できます。
以下、詳しく説明していきましょう。
1歳の誕生日前日までの取得
出産したママは、産後休業の終わった産後57日目(8週間と1日目)から、子が1歳の誕生日を迎える前日まで育児休業を取ることができます。
育児休業の期間は「1歳を迎えるまで」と定められていますが、法律上は、誕生日の前日の午後12時に歳をとると定められています。よって、最初の申請では1歳の誕生日前日までが育休の最長期間となります。
1歳6か月までの延長
1歳の誕生日に保育所に預けられないなど、何らかの事情で職場復帰できる見込みがないときには、1歳6か月に達する日の前日までは育児休業を延長できます。
育児休業を延長する場合には、改めて職場復帰できない理由を証明する書類を添えて申請し直す必要があります。申請をしなければ、育児休業は延長されません。
2歳の誕生日前日までの延長
1歳6か月を迎えてもやはり職場復帰が難しいとき、申請すれば2歳の誕生日前日まで育児休業を延長できます。この場合は、子が2歳になる日までの間に契約満了とならないことが条件です。
2歳の誕生日前日まで育休を延長するときにも、理由を証明する書類を添えて申請し直す必要があります。
長期の休業がキャリア形成の観点から望ましくないとされる場合、勤務先から早期の復帰を勧められることがあります。これは、育介指針でハラスメントに当たらないとされています。ただし、復帰のタイミングはあくまでも勤務先と労働者との話し合いで決めるもの。キャリア形成をどう考えているのか、育児とどのように向き合っていきたいのか、しっかりと話し合いましょう。
パパも育休は取得できる?
もちろん、パパもママと同じように1歳の誕生日の前日まで育休を取得できます。
パパとママ両方が育休を取得するときには「パパママ育休プラス」という制度が適用になり、パパとママの育休の取り方次第では、子が1歳2か月に達するまで育休が使えるようになります。
また、従来の育休に加えて、2022年10月からは「産後パパ育休」という制度が整備されました。これは子の出生後8週までの間に最大4週間の育休を取れるというもので、分割取得や休業中の就業が可能、2週間前までの申請で取得できるなど、ママの産後の状況に応じて柔軟に対応できるところが特徴です。
育児休業を延長する適応条件
ここまで育休の延長には何らかの理由が必要であるとお伝えしてきました。では、育休の延長の適応条件にはどんなものがあるのか見ていきましょう。
適応条件①保育所に入所できない
育休延長の適応条件で最も多いのが、保育所に入所できないというケースです。ここでいう保育所とは、認可保育所であり、いわゆる認可外保育所は含まれませんので注意しましょう。
適応条件②病気や精神上の障害
育休終了後に子を保育する予定だった配偶者が病気や精神上の障害を負ったときにも、育休の延長が可能です。その場合には医師による診断書が必要になります。
適応条件③配偶者の死亡
育休終了後に子を保育する予定だった配偶者が死亡した場合にも、育休を延長できます。
適応条件④婚姻の解消
育休終了後に子を保育する予定だった配偶者との婚姻関係が解消され、配偶者と子が同居しなくなったときにも、子を引き続き養育する側は育休の延長が可能です。
適応条件⑤妊娠・出産
子が1歳になる時点で、6週間以内に出産予定である、または産後8週間を経過していない場合、育休を延長できます。 育休中に妊娠した人は該当する可能性があるので、計算してみてください。
延長が認められないケースもある
育休の延長に必要な書類が揃えられないときには、延長が認められません。また、書類があっても、日付が育休期間と合わないときには認められないので注意しましょう。
申請に必要な書類や手続き
育休の延長の申請は、希望する日の2週間前までに行うこととなっています。ここでは育休の延長に必要な書類をご紹介します。
育児休業期間変更申出書
育休を延長するには、職場に育児休業期間変更申出書を提出します。育児休業期間変更申出書は、休業開始予定日の2週間前(1歳6か月までの延長であれば1歳の誕生日の2週間前)までに提出することになっています。
書類の様式や必要な添付書類は各職場の内規で定められているはずなので、育休を延長せざるを得ないとわかったら早めに担当者に相談しましょう。
育児休業給付金支給申請書
育休を延長したら、育休手当をもらう期間も延長できます。そのためには、育児休業給付金支給申請書の再提出が必要です。育休に入るときにも提出していますが、育休期間が変更になるため、改めて提出する必要があります。多くの職場で、担当者に提出すれば手続きをしてもらうことが可能となっています。
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保育所の入園不承認通知書
保育所に入れないことを延長の理由とする場合、自治体が発行する保育所の入園不承認通知書が保育所に入所できなかったことの証明になります。
また、2025年4月からは、育児休業給付金の延長手続きが変わり、保育所等の利用申込書の写しが必要となるので注意してください。
延長を証明する確認書類
延長を証明する確認書類は、延長の理由によって異なります。育休を延長したい場合には、職場の担当者に早めに確認するようにしましょう。
育児休業を延長する場合は、早めに会社に伝えて手続きをしてもらいましょう!
1歳の誕生日の時点で職場復帰できなかったとしても、2歳の誕生日の前日までなら育休は延長できます。
多くのママが制度をうまく活用したり、パパと協力したりして、子の成長を近くで見守りながらも、職場復帰を果たしています。また、職場復帰した子育て中のパパやママを支援する制度も少しずつ整ってきています。
まずは育児休業の制度や延長の方法をよく把握しましょう。そして、育休終了後復帰につなげられるように準備をしつつも、子育てを存分に楽しみましょう。
ライター:サカイケイコ
3児の母。おかあさんだからって好きを諦めない、をモットーに、仕事に家事に育児に趣味に全力投球中。
2024年の目標はボディラインを整えること。トレーニングの時間をどう作るか、考えています。