ひらがなは、学びの基礎となる文字。
「子どもにはできるだけ早く読み書きできるようになってほしい」と望むママやパパも多いかもしれません。
特に、同じ年齢のお友達が読み書きできていると知ったら、なおさら。
今回は、「読み書きをいつから教えるべき?」「何歳までに覚えさせればいい?」とお悩みの方へ、ひらがなを教えるタイミングやコツをお伝えします。
この記事のもくじ
読み書きができるようになるのは何歳頃?
幼稚園教育要領や保育所保育指針では「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の姿」に「言葉による伝え合い」を挙げています。
その具体例として、文部科学省の資料では下記のように記しています。
幼稚園や保育園では、日常の中で文字と触れ合ううちに読み書きできるようになるのが理想とされているようです。
また、下記は文部科学省のデータを抜粋して表にまとめたものです。
文字・数・思考の育ち(年少児~年長児・学年別・子どもの性別)(%)
この表を見ると、年中(4~5歳)頃には自分の名前を読み書きできるようになる子が多いようですね。
読み書きの能力には個人差がある
データ上では年長児までにひらがなの読み書きを習得する子が多いですが、実際には個人差が大きく、「何歳までに覚えられる」と決まったものではありません。
4歳くらいで読み書きできる子もいれば、小学校入学後から学び始めスムーズに習得する子もいます。
自分からすすんで練習する子もいれば、習い事を通して習得する子もいるでしょう。
あっという間に覚える子もいれば、ゆっくり身につけていく子もいます。
同じ年齢の子が読み書きできるからといって、焦る必要はありません。
ひらがなは就学前に習得するのがベター
ひらがなの習得には個人差がありますが、できれば就学前に自分の名前だけでも読み書きできるとよいでしょう。
なぜなら、小学校での生活は、幼稚園・保育園と大きく違うもの。
遊び中心から勉強中心の生活になり、戸惑う1年生が多いからです。
入学前から少しでも勉強の習慣を身につけておくと、戸惑いを減らせます。
ひらがなは1年生の国語で学びますが、他の教科でも文字に触れること、入学後しばらくしたら連絡帳を書くようになることを考えると、少しでも読み書きできたほうがスムーズです。
▼小学校入学準備についての記事はこちら!
ひらがなの読み書きを教えるタイミングは?
早い子では2歳頃からひらがなを読み始めるといわれますが、「2歳や3歳から教えるのがベスト」というわけではありません。
子どもには、それぞれ読み書きを学び始める“タイミング”があります。
子どもが文字に興味を持ったとき
ひらがなの読み書きを教えるタイミングは、子どもが興味を持ち始めたとき。
興味がなければ、ママやパパが一生懸命教えても身につきません。
無理に教えようとすると、子どもが勉強を嫌いになってしまい、逆効果ともいわれています。
年齢に関係なく、興味を持ったときが教えるベストタイミングといえるでしょう。
クレヨンやカラーペン、スプーンやフォークを上手に使えるようになったとき
4歳頃の幼児は、手先が器用になります。
クレヨンやカラーペンでお絵かきを楽しめるようになったり、スプーンやフォークを下から持って食事したりできるようになれば、次は鉛筆や色鉛筆を持って線や文字を書くようになるチャンスかもしれません。
描く力がついたとき
5歳や6歳頃は、言語能力が大きく発達する時期。
文字に興味を持ち始める子が多いといわれています。
また、お絵描きが上手になる時期でもあるため、絵や図形の延長で文字を書き始めるかもしれません。
ひらがなに興味を持ちやすくなる方法
大人が読み書きを教えたくても、子ども自身に興味がなければ習得は難しいでしょう。
子どもがひらがなに興味を持つために、ママやパパができることをお伝えします。
看板や駅名などを探す
街には、ひらがなを含めた文字があふれています。
幼稚園・保育園の行き帰りなどに一緒に看板を探したり、電車が好きな子なら駅名や路線名を一緒に読んでみたりすると興味を持つかも。
子どもの好きなものに絡めて、日常的に文字に触れるとよいですよ。
絵本を一緒に読む
絵本は、文字で物語を紡いだもの。
大人と一緒に読むことで、たくさんのひらがなに触れられます。
おすすめは、向き合うより並んで読むこと。
子どもが文字を目にしやすくなります。
難しい場合は、読み聞かせだけでもOK。
ママやパパが楽しそうに読み上げる姿は、子どもが文字に興味を抱くきっかけになります。
手紙を交換する
お友達から手紙をもらうことがあったら、読み書きに興味を持たせるチャンス。
もちろん、ママやパパと手紙の交換をするのもおすすめです。
返事を書くのが難しいときは、ひらがなシールを活用したり、親が書いたお手本をなぞったりするだけでもよいでしょう。
ママやパパが文字を読んだり書いたりする姿を見せる
最近は紙面で文字を読んだり書いたりする機会が減っています。
ママやパパが本や新聞を読んだり、ノートに文字を書いたりする姿を子どもに見せることも大切です。
読み書きを教えるときのコツ
子どもに読み書きを教えるときは、苦手意識を抱かせないようにするのがポイントです。
教え方のコツをご紹介します。
1文字ずつよりも単語で
「あ」「い」「う」……と1文字ずつ教えるよりも、「あり」「いと」など意味のある単語で練習するほうが、子どもは興味を持ちやすいもの。
イラストや写真を添えると、興味を引きやすいですよ。
鉛筆で書かなくてもOK
大人は「文字を書く=鉛筆でノートに書く」と考えがちですが、まずは幼児用カラーペンなどでギザギザ線や丸を描くことから始めるとよいでしょう。
ママやパパが隣で文字を書いて一緒に遊ぶと興味をもつかも。
鉛筆を持つ練習をするなら、太めの三角鉛筆や補助用具を利用するのも◯。
かるたやアプリなど遊びを取り入れる
家族も一緒になって、遊びながら取り組むのもよいでしょう。
ひらがなが書かれた積み木やかるた、知育アプリもおすすめ。
100円ショップのしりとりカードやシールブック、お風呂で使えるグッズなど、読み書き用の知育玩具を活用するのもよいですね。
手作りできるものでいえば、数字の代わりにひらがなを使った“ひらがなビンゴ”はいかがでしょうか?
添削しない
子どもの学習意欲を奪うリスクがあるため、添削するのはおすすめしません。
やり直しをさせられるのは誰でも嫌なもの。
消しゴムも使わなくてOKです。
よく書けているものに花丸を描いたりスタンプを押したりしましょう。
子どものモチベーションを上手に上げてくださいね。
読み書きを学び始めるタイミングは子ども次第
小学校入学後の生活を少しでもスムーズに始められるように準備したいですよね。
ですが、「ひらがなの読み書きはいつから教えるべき」と焦るのは禁物。
子どもが読み書きに興味を持つまでは、遊びながらひらがなに触れる機会を増やし、そのタイミングを待ちましょう。
監修【保育士・幼児教育研究家:川本真規子】
私立幼稚園主任を経て、Flounder kid's roomを主宰、親子講座や就園前教室等を実施。
現在は名古屋市の教育委員会、保健所等にて親子講座を行なう一方、児童発達支援施設にて読み書きやソーシャルスキルトレーニング、音楽療法、造形遊び等の療育を行なっている。
文:あまね