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【大学教授監修】小学校英語教育の現状と、親ができる教育サポート

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2020年に小学校において英語が5・6年生で教科化されてから、3年が経ちました。
神田外語大学の田中真紀子教授監修のもと、小学校の英語教育の現状や早期に英語を始めることのメリット、小学校英語教育の課題、また親ができるサポートについてご紹介します。

この記事のもくじ

この記事を監修いただいたのは…
神田外語大学教授:田中真紀子さん

神田外語大学外国語学部英米語学科教授。
神田外語大学児童英語教育研究センター(CTEC)センター長。
上智大学卒業後、上智大学大学院よりMA(修士号)、カリフォルニア大学サンタバーバラ校よりMA(修士号)、同大学よりPh.D.(博士号)取得。教育学博士。
主な著書に『小学校英語内容論入門』(共著・研究社)、『英語のプレゼンテーションースキルアップ術』『小学生に英語の読み書きをどう教えたらよいか』
『絵本で教える英語の読み書きー小学校で実践したい英語絵本の指導法』(研究社)などがある。

外国語活動の必修化、外国語の教科化ってどういうこと?


2020年、「新小学校学習指導要領」により、3・4年生で「外国語活動」が必修化、5・6年生で「外国語」が教科化されました。
これは2011年に行われた、「(5・6年生を対象とした) 外国語活動の必修化」以来の、日本における英語教育の大きな変革であり、グローバル化の進む社会で子どもたちが活躍する可能性を広げる一歩となりました。

3・4年生では、「聞く」「話す」を中心とした外国語活動で、楽しく英語に慣れ親しむことを目的とした授業が開始されます。
5・6年生になると、「読むこと」と「書くこと」が加わり、総合的に教科としての学習が始まり、通知表への成績評価も行われます。

これまで中学生から教科として学習が開始されていた外国語を、小学5年生からスタートさせることに戸惑いがある親御さんもいるかもしれません。
一方、習い事で早くから英語教育を開始する家庭も増えていることを考えると、今回の改革に期待を寄せる方も多いのではないでしょうか。


新学習指導要領で英語教育の何が変わった?


2020年の「新小学校学習指導要領」で、小学校の英語教育にどんな内容が加わったのか見ていきましょう。
 



外国語活動とは?

3・4年生で始まる外国語活動では、年間35単位程度、積極的にコミュニケーションを図ること日本と外国の言語や文化の違いについて理解を深めることを目的として学習がスタートします。

授業の特徴

歌やダンス、ゲームなどを交えて行われるため、抵抗なく英語に親しむことができます。
「聞く」「話す」を中心として、数字やアルファベット、自己紹介や挨拶、簡単な質問などを学び、クラスメイトとの会話を楽しみます。
英語教師のほか、外国人講師を交えた授業も行われ、ネイティブの英語にも自然に慣れていきます。

外国語の教科としての授業とは?


5・6年生では、外国語の授業が教科化され、年間70単位程度、「聞く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」「読む」「書く」の4技能5領域を学習していきます。

授業の特徴

教科書が導入され、読み書きが始まりますが、これまでの英語教育と大きく違うのは、文法などがメインではなく、コミュニケーション能力の育成を目標として授業が進められていくことです。
自分のことや身の回りの出来事などを題材に、英語でやりとりや発表ができるようになることを目指します。
最終的には、コミュニケーションを通じて習得した知識や技能を、読み書きやプレゼンテーションに応用して、中学校の学習へと繋げていくことが大きな目標となります。

教育改革による小学校英語教育のメリットと課題


早期に英語教育が行われることのメリットと、小学校英語教育の課題をご紹介します。
 


早期に英語を始めることのメリット

幼いころから英語に慣れ親しむことで

  • 正確な発音を身につけられる
  • 英語脳や英語耳を身につけられる
  • 外国人講師などとの交流を通じて異文化の理解を深められる
  • グローバル化に対応しやすい

といったメリットが挙げられます。
 

▼英語の早期教育についての記事はこちら


また、小学校から段階的に楽しく英語の学習が行われることで、中学校でいきなり外国語の授業が始まるよりも英語に苦手意識を持つ生徒が減るのではないかという意見もあります。
子どもたちが世界へ飛び出すチャンスを広げると同時に、世界で生き抜く力の基礎を身につけることも期待されます。


小学校の英語教育の課題


小学校での英語教育に期待が高まる一方、課題も指摘されています。
例えば、英語が教科の一部となることで“勉強”ととらえてしまい、英語が嫌いになる可能性が考えられ、そのような英語嫌いをどのように防いだら良いかという点が一つあります。
また小学校での学習が、うまく中学校につながらず、中学校に入って英語でつまずきが起きてしまう子どもたちもいます。
小学校で英語の音声に慣れても、英語を読んだり書いたりすることが不十分なために、中学校での読み書きの学習についていけなくなってしまうのです。

2011年の外国語活動の必修化、そして2020年の外国語の教科化に伴い、英語教育が本格的に始まったとは言え、音声や文字の学習は十分だとは言えません。
音声指導や文字指導、そして小中連携の問題は、今後文部科学省や教育関係者が改善していかなければならない課題ですが、このような現状のなかでも、親が子どもたちにできるサポートがたくさんあります。

親ができる英語教育サポート


英語ができる子どもに育てるには、まず子どもが英語を好きになることがとても大切です。
好きという気持ちはもっと知りたいという興味や関心、動機をもたらしますので、英語でたくさん楽しい経験をさせてあげることが大前提です。

親のサポートは、小学校の英語教育が始まってから行うのではなく、幼児期から英語の音楽やテレビに触れさせておくことが大切です。
子どもは音声の微妙な違いを聞き分け、発音をマネする能力に優れています。
小さいうちから日本語とは異なる英語の音声をたくさん聞くことで、英語のリズムや音韻体系、抑揚などが吸収され、正確な発音を身につけられます。
 

しかし、テレビやYouTubeの動画を見せておけば英語ができるようになるかと言えば、特に言語をコミュニケーションの手段として身につけたい場合は、そう簡単にはいきません。
生身の人間、すなわち、親や周りの大人が子どもに語りかけながら英語に慣れ親しませることが言葉の習得には重要です。

幼児期にできるサポート

図鑑や絵本などを子どもと一緒に見て、例えば、「これは、lionだよ。Roar! 」などと鳴き声も一緒に言いながら動物の名前を教えてあげます。
また、身振りや手振りを交え、登場人物などの感情を表情で表しながら読み聞かせをしてあげると、動きや感情が言葉と結びついてお話の内容が理解され、語彙や文法も自然と身についていきます。
さらに、子どもに「このあとどうなっちゃうかな」「カエルさんはどう思っているかな」などとやり取りをしながら読み聞かせをすると、考える力や心の育成にもつながります。

このようにして知的好奇心を持たせ、英語の単語やお話が少しずつ理解できるようになり、楽しい経験が積み重なると、英語が好き、英語は楽しいという感情を持てるようになります。
ここから少しずつ、英語圏の子どもたちが読み書きを学ぶために活用している指導法「フォニックス」を使ったカードゲームなどを、遊びを通して行い読み書きのサポートをしてあげます。

3・4年生にできるサポート

初めての外国語活動に期待を膨らませている子どもたちが多いため、苦手意識を持たないためにも家庭での英語学習を強制せずに、楽しい活動やたくさん絵本を読んであげ、お話について語ったりして、英語の絵本に興味を持たせてあげましょう。

5・6年生にできるサポート

読み書きがスタートし、自分自身でもっと英語の勉強をがんばりたいと考える子も出てきます。
そんなときは子どもと話し合い、ワークブックの活用や、英会話塾への通学、児童英検などへ挑戦するなど、個々の英語へのモチベーションに合わせてサポートしましょう。

各家庭が子どもに求める英語の習得レベルはさまざまです。
日常会話程度はできるようになってほしいと考える家庭もあれば、将来的にグローバルに活躍できるレベルを望む家庭もあるでしょう。
いずれにしても、今後は国語や算数と同じように、小学校で習うレベルの英語学習を家庭で教えられる環境が大切になってきます。
また、家庭で学校では教えきれない部分の教育サポートを行うことで、子どもの語学力をさらに伸ばすことができるでしょう。

その子に合う学習法を探してみて

2020年の「新学習指導要領」の改正により、小学校の英語教育レベルは格段に上がりました。
しかし、学校の授業だけでは、将来的に満足のいく英語力を習得できるとは限りません。
そこで大切なのが家庭でのサポートです。
英語を使ったたくさんの楽しい経験を通して英語に興味を持たせたら、子どもの希望や将来を見据え、その子に合ったサポートをしてあげましょう。

文:Tomomi


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