自分の子どもが児童館や保育園などでほかのお友達におもちゃを貸せないとき、親は困ってしまいますよね。
無理にでも取り上げてほかのお友達に貸すべきなのか、自分の子どもが飽きるまで待つべきなのか、どう対応したらよいのでしょうか。
お友達と仲よく遊べず困ってしまう、成長とともに貸せるようになるの?
「お友達と遊んでいても、おもちゃを貸せずにケンカになってしまう」「ほかのお友達と仲よく遊べず悲しい」と悩んでいるママやパパも多いでしょう。
親としては、お友達におもちゃを貸せるようになってほしいと思うかもしれません。
成長して自然に貸せるようになるのを待てばいいのか、それまでに子どもにどういった声かけをしたらよいのか分からず、不安になってしまいますよね。
夢中で遊んでいるものは貸せなくて当たり前
そもそも1~2歳頃では、お友達におもちゃを貸せなくて当たり前です。
この時期の子どもは独占欲や所有欲のかたまり。
それが満たされないと意欲まで削がれてしまいます。
子どもが夢中で遊んでいるときは、「貸して」と言われてもすぐに渡すことはできません。
1~2歳頃の子どもは一緒に遊んでいるように見えても、実はまだまだ頭の中は1人遊びをしている段階です。
子ども同士のやりとりが十分に成立しているわけではありません。
1~2歳頃は、子ども同士や親以外の人との関わり方をこれから学んでいく時期なのです。
その子に合った、気持ちの切り替え方法を探して
1~2歳頃の子どもはお友達と一緒に遊ぶことはまだ難しい年齢ではありますが、貸してほしいお友達がいるのにずっと自分だけ遊んでいていいわけではありません。
おもちゃの貸し借りや順番など、みんなで遊ぶうえでのルールを教えていきましょう。
子どもがおもちゃを貸せないときは、頭ごなしに「貸しなさい」と叱るのではなく、「いまは貸したくないのかな?」「もっと遊びたいよね」と、まず気持ちを代弁し共感します。
共感することで、子どもが自分の気持ちを理解してもらえたと落ち着いておもちゃを貸せることがあります。
相手の子に話しかけるのも有効です。
「同じおもちゃで遊びたいのね、でも『順番』だから少し待てる? 待っていてくれてありがとう」というように。
すると子どもは「あれ? ママがほかの子と話しているぞ、なんでだろう?」と人の気持ちを理解しようとする力が芽生えます。
それでも貸せない場合は、ママやパパが促して遊びを一度終わらせましょう。
おもちゃはみんなで順番に遊ぶものというルールがあることを教え、貸すことができたときは「貸せてえらいね」とたくさんほめましょう。
ママやパパにほめられると満足し、そのうちに2人で仲よく遊びだすこともあります。
またスムーズにお友達におもちゃを貸せないときのために、その子に合った気持ちの切り替え方を知っておくと便利です。
親が気持ちの切り替えができるほうに子どもを誘導するとよいでしょう。
公園に行く、ダンスをする、歌を歌うなど、その子に合ったやりかたを模索してみてください。
貸すときに泣いて嫌がっても、子どもの気持ちの切り替えは案外早いもの。
すぐほかの遊びに夢中になり、親の方が拍子抜けしてしまうことも。
子どもの興味をひくぬりえやシールなどをカバンに常備しておくと、役立ちますよ。
焦らずにまずは共感してみて
おもちゃを貸すのを嫌がる子どもをなだめるのは、親も大変です。
つい叱ってしまいそうになりますが、まずは子どもの気持ちに共感してください。
「いつになったら貸せるようになるのだろう」と、不安になるかもしれませんが大丈夫。
みんなで遊ぶときのルールを教えていくことで、成長とともに子ども同士で解決策を見出すことができるようになっていきますよ。
監修:信野 操
第8期認定子育てアドバイザー(看護師・千葉市幕張本郷子育てリラックス館リーダー)
文:山村智子
イラスト:Ryoko Ishiyama