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【医師監修】子どもの花粉症が増えている!? 治療法や予防策を解説

鼻づまりやくしゃみ、目のかゆみが表れる「花粉症」。
近年、花粉症にかかる子どもは増え、特に5~9歳の年齢層において増加傾向です。
乳幼児で花粉症になるケースも珍しくありません。
ハピコワクリニック五反田 院長の岸本久美子さんの監修のもと、子どもが花粉症になったときの治療法や、少しでも症状を軽くするための予防策などをご紹介します。

この記事のもくじ

この記事を監修いただいたのは…
ハピコワクリニック五反田 院長・医師:岸本久美子さん

日本医科大学卒。日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。
3人の子どもの子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医の夫とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。
医療法人社団双葵会八丁堀さとうクリニック副院長、医学博士、日本産婦人科学会専門医。

子どもは花粉症になる?



大人と同じように、子どもも花粉症になります。
特に、両親が花粉症であったり、子どもに食物アレルギー乳児湿疹アトピー性皮膚炎がある場合は要注意です。
子どもの花粉症は年々増えていますが、低年齢化している原因はわかっていません。

スギ花粉症の発症率は、以下のようになります。



年齢 発症率
2008年 2019年
0~4歳 1.1% 3.8%
5~9歳 13.7% 30.1%
10~19歳 31.4% 49.5%
  • 出典元:鼻アレルギー診療ガイドライン

2008年と比較すると、どの年齢層でもスギ花粉症になる子どもは増えています。
2019年では、5~9歳の3人に1人、10~19歳の2人に1人はスギ花粉症です。

0~4歳の乳幼児は、症状をうまく伝えられません。
そのため、ママやパパがこまめに観察し、早めに治療を開始することが大切です。


子どもの花粉症は何科を受診すれば良い?


「子どもが花粉症かも?」と思ったとき、何科を受診すれば良いのか迷うママやパパもいるでしょう。

かかりつけの小児科でも構いませんが、鼻づまりなら耳鼻咽喉科目のかゆみなら眼科を受診しましょう。
またアレルギー科では専門的な検査も受けられます。

鼻づまりやくしゃみなどの原因が花粉症であるとわかると、効果的な治療がおこなえます。


子どもの花粉症の検査や診断


花粉症は、血液検査プリックテストにくわえ、鼻鏡検査皮膚テスト鼻中好酸球検査鼻誘発試験などで診断されます。

問診や症状から花粉症やほかのアレルギーが疑われるときに、子どもに血液検査を行うことがあります。

乳幼児も対象となるプリックテストは、アレルギーが疑われる物質のエキスを1滴皮膚に垂らし、針を押し当て確認するテストです。
即時型のアレルギー検査で、採血より痛みが少ないといわれています。

「子どもが花粉症では?」と気になるときは一度、プリックテストをはじめとした花粉症の専門的な検査を受けられる医療機関に相談してください。


子どもの花粉症の特徴を知ろう



子どもの花粉症の特徴を把握して、対策を立てましょう。


子どもの花粉症の主な症状とは?

子どもの花粉症の主な症状は、鼻づまりやくしゃみをはじめ、目のかゆみなどのアレルギー症状です。
鼻水よりも鼻づまりの症状を訴える子どもが多い傾向にあります。

アレルギー性の結膜炎から目のかゆみがみられます。
目をゴシゴシとこするため、乾燥したり充血したり、皮膚がただれたりすることもあります。

さらに、鼻づまりが原因となり中耳炎や副鼻腔炎のほかに、扁桃腺が腫れるといった症状が子どもの花粉症では出やすいです。

鼻づまりは見た目ではわかりにくいため、いびきや口呼吸はないか口を開けっ放しではないかなどこまめに観察しましょう。

花粉症から受ける日常生活への影響は?

花粉症を放っておくと、勉強するときにボーっとしたり、昼間に眠たくなったり、集中力が低下したりします。

その理由は鼻づまりにより、酸素が不足するからです。
ほかにも、症状により十分に眠れないことも原因と考えられます。
日常生活や学校生活にも影響する恐れがあります。

子どもの花粉症と風邪の見分け方はある?

子どもの花粉症と風邪の見極めは難しいものです。
というのも、症状が似ており、幼い子どもは症状をうまく伝えられないからです。

ただし「かゆみ」は風邪の症状としては表れにくいため、「かゆみ」が花粉症と風邪を見極めるポイントといえます。

ほかにも、風邪との違いは熱が出るか、鼻水、鼻づまりが治らないか否かがポイントといえるでしょう。

子どもの花粉症の治療方法


花粉症の治療方法は、薬物療法とアレルゲン免疫療法があり、早めの治療が大切です。
どのような治療方法があるか知っておくと、子どもが花粉症になったときに役立つでしょう。


主な治療は薬物療法


花粉症の主な治療は薬物療法で、以下のような薬があります。

  • 抗ヒスタミン薬
  • 抗ロイコトリエン薬
  • 漢方薬

抗ヒスタミン薬は、抗アレルギーの薬で花粉症をはじめとする季節性アレルギー性鼻炎や、通年性のアレルギー性鼻炎で使用されます。
抗ロイコトリエン薬は、鼻づまりを抑える効果が期待できます。
漢方薬の効果は、鼻づまりを通したり、鼻の炎症を抑えたりなど種類によりさまざまです。

飲み薬のほか、点鼻薬や点眼薬も使用可能です。
また、薬を組み合わせて処方されることもあります。
ただし、薬物療法は症状を抑えるものであり、花粉症の根本的な治療にはなりません。

アレルゲン免疫療法|免疫舌下療法

免疫舌下療法とは「アレルゲン(アレルギーの原因物質)」を舌の裏に少量ずつ増量しながら投与し、アレルギー反応を起こしにくくする治療法」です。
アレルゲン免疫療法のひとつであり、花粉症の根治を目標にします。
自宅で使用でき安全性が高いとされるのが特徴です。

治療を正しく受けると、1年程度で症状の改善がみられ、3年以上続けると舌下免疫療法を中止したあとも有効性を期待できます。

アレルゲン免疫療法|皮下免疫療法

皮下免疫療法もアレルゲン免疫療法のひとつです。
アレルゲンを皮下に注射して投与します。

ただし、まれに重い副作用がみられるケースがあります。
さらに、注射のために通院が必要です。
そのため、免疫舌下療法ほどは勧められていません。


子どもに使える市販薬の選び方


子どもの市販薬は、大人と比べて限られています。
子どもの花粉症の治療薬として、抗ヒスタミン薬が入ったものがよく使われますが、シロップの薬や点鼻薬を選ぶと、子どもも服用しやすいでしょう。
また、目のかゆみがひどい場合、点眼薬のほかに目を冷やすことも対処法となります。

ただし、2歳未満の場合は、薬の有効性や安全性のデータが限られるため、市販薬は使わず、医療機関や薬局に相談しましょう。


家でできる子どもの花粉症の予防策


子どもが鼻づまりやくしゃみ、目のかゆみに苦しむ姿は見ていられませんよね。
できることなら、少しでも症状を軽くしてあげたいものです。
家でもできる予防策を取り入れましょう。


花粉の飛散状況をチェックする


花粉症対策の基本は、大人と同じように「できるだけ花粉を浴びない」ことです。

スギ花粉は2月上旬から飛び始めます。
気象庁のWebサイトやニュースサイトで飛散情報を確認できるので、飛散量が多ければ、外出を控えましょう。

マスクや眼鏡を着用する

花粉症は、花粉が鼻や目の粘膜に付着すると、免疫システムにより花粉に抵抗するための抗体(IgE抗体)がつくられることで症状が表れます。
そのため、体の中に入らないようにすることが大切です。

幼稚園や学校に通うので外に出なければならないときはマスクや眼鏡を着用し、花粉をブロックしましょう。
花粉症用のマスクや子ども用のメガネもあるためおすすめです。

ナイロン製のアウターウェアを着用する

ナイロン製の洋服は、花粉が付着しにくいです。

ウールのセーターやフリースの素材は避け、ツルツルした洋服を着用してください。
帰宅したときに、洋服や髪の毛をはらったり、洗顔したりして花粉を除去しましょう。
空気清浄機を使用し、室内の空気を清潔に保つことも大切です。

なお、直接肌にふれるインナーウェアは綿素材のものが望ましいでしょう。

ヨーグルトを食べ体質改善する

ヨーグルトを食べると、花粉による目や鼻の不快感を緩和できるという説もあります。
ただし、ヨーグルトを食べて、花粉症が治癒するわけではありません。
あくまでも、花粉症の治療は薬物療法とアレルゲン免疫療法が基本です。

子どもの花粉症は1月末ごろから予防し、快適に生活しよう


花粉症になる子どもは増えていますが、症状をうまく伝えられず、風邪との区別が難しいため発見が遅くなるケースもあります。
2月上旬から花粉の飛散が始まるため、1月末ごろから予防して、快適に生活しましょう。


文:西川正太


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