きょうだいの子育てをしていると下の子に手がかかり、上の子が焼きもちを焼くのはよくあることです。
そして、焼きもちを焼いてわがままを言う上の子を可愛く思えないこともあるでしょう。
上の子を可愛く思えないママやパパの状態を“上の子可愛くない症候群”と言うのをご存知でしょうか。
今回は上の子可愛くない症候群の要因や対処法等について、詳しく解説します。
この記事のもくじ
上の子可愛くない症候群とは?
上の子可愛くない症候群とはその名の通り、上の子どもを可愛いと思えない状態のことです。
具体的な内容について解説します。
下の子と比べ、上の子が可愛いと思えない状態のことを指す
上の子可愛くない症候群は、きょうだいの子育てをしている保護者が下の子に比べて上の子を可愛く思えない様子を指します。
最初から上の子を可愛いと思えなかったわけではなく、下の子が生まれてから上の子を可愛く感じられなくなった保護者のことです。
多くの場合は本心から可愛くないと思っているわけではなく、可愛がりたい気持ちはあるのに可愛いと思えず、冷たく当たってしまいます。
そのため、自分を責めてしまう人も多いです。
上の子可愛くない症候群にはママが陥る場合が多いですが、パパにも見られます。
最近は上の子可愛くない症候群という呼称が広まり、呼び名を聞くことで自覚する人も増えています。
上の子可愛くない症候群は医学的な病気ではない
症候群と呼ばれていますが、医学的な病気ではありません。
2人以上の子どもを育てるママやパパに見られる状態で全員が経験するわけではありませんが、多くの人に見られるため、あまり悩みすぎないことが大切です。
上の子可愛くない症候群はなぜ起こる?要因を解説
きょうだいの子育てをしているママやパパの多くが、上の子可愛くない症候群になってしまうのはなぜでしょうか。
上の子可愛くない症候群が起こる主な4つの要因を解説します。
要因①下の子や赤ちゃんは可愛く見えるから
赤ちゃんを見ると、可愛く思うのが人の本能です。
オーストラリアの動物行動学者コンラート=ローレンツによると、“ベビースキーマ”と呼ばれる赤ちゃん特有の行動やしぐさなどにより、人は赤ちゃんを見ると自然に愛着が湧くものだとされています。
ベビースキーマとは、「頭が大きい」「手足が短くずんぐりしている」など、人間や動物の赤ちゃん特有の身体的な特徴のことです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、1人では何もできないため、大人から愛情をもらって守られるために必要な特徴だと言われています。
そのため、ママやパパは生まれたばかりの下の子に愛情を注ぎ、自分でできることが増えている上の子に愛情を注ぎにくくなってしまうことが要因の1つです。
要因②下の子のお世話で疲労が溜まるから
いくら生まれたばかりの下の子を可愛いと感じて愛情を注いでも、1人で何もできない赤ちゃんの子育ては目が離せず、授乳や夜泣きなど特に出産直後はとても大変です。
下の子の育児の疲労が溜まることで余裕がなくなり、下の子の出産前は対応したり受け入れたりできていた上の子の言動に対してイライラしてしまうことがあります。
イライラしてしまう自分自身をよくないと頭では理解しつつも感情ではどうにもならないときもあり、余計に自分を責めてしまう人も多いです。
要因③上の子のイヤイヤ期や反抗期が被るから
上の子の年齢にもよりますが、下の子との年齢差が2~3歳だった場合はちょうどイヤイヤ期の真っ最中、5~6歳の年齢差だと中間反抗期を迎えているなど、ただでさえ手を焼く時期に当たります。
上の子にとっても、大好きなママを下の子に取られてしまったと感じ、寂しさや嫉妬の気持ちが芽生えて、さらに反抗的な態度を取ることもあるでしょう。
下の子のお世話で大変なのに、自分でやってほしいことや手伝ってほしいことをやってもらえず、イライラが募ってしまうケースが多くあります。
要因④上の子に期待しすぎてしまうから
下の子の子育てが大変なときは特に、「いい子でいてほしい」「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だからしっかりしてほしい」などと、上の子に対して期待をしてしまいがちです。
しかし、下の子への嫉妬やイヤイヤ期、反抗期などによって上の子は親の期待通りにはなりません。
下の子が生まれる前よりも手がかかる場合もあるため、親の期待や理想通りにならない上の子に対し可愛くないという感情が湧いてしまうことがあります。
上の子可愛くない症候群の対処法4選
上の子可愛くない症候群のママやパパの多くは、上の子を可愛いと思えない自分自身に罪悪感を抱いています。
しかし、感情のコントロールが難しく悩んでいる人が多いのが現状です。
悩みを解消し、親子ともに笑顔で過ごせるようになる4つの対処法を紹介します。
対処法①夫婦で家事や育児の分担を話し合う
1人で育児を頑張りすぎると、ますます負担が重くなり心身ともに疲弊してしまう悪循環になるでしょう。
そのため、夫婦や家族で協力して子育てをすることが大切です。
夫婦や家族で分担を話し合って決め、どちらか1人の負担が重くならないようにしましょう。
対処法②ファミリーサポートやベビーシッターを利用してみる
家族で協力できればよいですが、「仕事が忙しく帰りが遅い」「実家が遠くて頼れる人がいない」「一人親家庭」など、協力が得られないケースもあります。
家族の協力が難しいときは、ファミリーサポートやベビーシッターを利用するのがおすすめです。
料金はかかりますが、短時間でもサポートを依頼することでリフレッシュでき、穏やかな気持ちで子どもと向き合うことができるでしょう。
対処法③上の子への期待を見直してみる
上の子に期待しすぎてしまうことも、上の子可愛くない症候群になってしまう要因です。
したがって、上の子に対して期待する基準を下げるようにしましょう。
「着替えは1人でしてほしいけど、おもちゃの片づけは手伝おう」などと線引きを決め、ママやパパの期待値や期待する内容の見直しをすることをおすすめします。
線引きを決めたらできるだけ守ることも必要ですが、そのときの状況で臨機応変に対処することがお互いに無理をしないための秘訣です。
対処法④上の子が小さかったころの写真や動画を見直す
上の子を可愛いと思えなくなるのは、下の子が生まれたことがきっかけになります。
下の子が生まれる前は上の子を可愛いと感じ、愛情を注いでいたことでしょう。
下の子が生まれる前の、上の子が小さかったころの写真や動画を見直すことが、上の子への愛情を思い出すために効果的です。
スマホの待ち受け画像にするなど、いつでもすぐに見返せるように工夫するとよいでしょう。
あまりにつらいときは、専門家へ相談を
上の子可愛くない症候群は、真面目で何事も一生懸命にやろうとする人や完璧主義の人ほどなりやすい傾向があります。
そして、真面目な人ほど上の子を可愛いと思えない自分を責めて悩んでしまうものです。
上の子可愛くない症候群は子どもの成長とともに解消されていくことが多いため、時間が解決してくれるでしょう。
しかし、あまりにも悩んでしまい、つらいと感じるときは小児科や心療内科などに相談したり、臨床心理士のカウンセリングを受けたりして専門機関を頼るのがおすすめです。
自分1人で悩んだり解決しようとしたりせず、周りの力を借りながらよい方向に向かうことを願っています。
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ライター:西須洋文
勤務経験30年以上の元男性保育士です。
現在はWebライターとして、保育士や子育ての経験を活かして子育てや保育記事を中心に、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。
そのほか、音楽教育であるリトミック講師などフリーランスとして活動中。