赤ちゃんを迎えて1か月。
慣れないお世話にママの疲労もピークにさしかかるころでしょう。
そんな時期に行われる産後1か月健診では、どんなことをするのでしょうか。
健診の主な内容や費用、持ち物や服装などについてご紹介します。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
助産師:古谷 真紀(ふるや まき)さん
自治体や企業等と連携した産前産後ケア事業担当を歴任後、妊娠中から産後のママパパ&赤ちゃんのための講座運営や相談事業に従事している。
産後1か月健診ってどんなことをするの?
産後の1か月健診は、ママの身体とこころの状態を確認するための健康診査(健診)です。
母体の回復状況だけでなく、子育てに関する悩みや心配事を相談できる場です。多くの場合、出産した医療機関で行います。
最近は、2週間健診を実施する医療機関も増えつつありますが、今回は母親の診察を主な目的とする1か月健診の内容について解説します。
問診
医師の問診では、産後の心身の回復状況や授乳をはじめとする子育ての状況などを確認します。
悪露の量が減らない、会陰切開や帝王切開の傷が痛むなど、気になる症状があれば相談しましょう。
血圧や体重の測定、尿検査
妊婦健診と同じように、体重と血圧の測定、尿検査(尿たんぱく・尿糖の確認)を行います。
診察
診察では、子宮の回復状況や悪露の状態、会陰切開後の傷の確認をします。
妊婦健診と同じように、膣鏡という診察器具を挿入して確認する検査や経腟超音波検査によって診察します。
帝王切開で出産した場合は、お腹の傷が順調に治っているかを確認します。
その他に、乳房の状態などを確認します。
悩みや気分の落ち込みがないか
問診や質問票を使いながら、産後のこころの状態について確認します。
産後1か月を迎える頃は、赤ちゃんを中心にした生活に、親の身体とこころが追いつかなかったり、睡眠不足になったり、イライラや疲れがたまりやすかったりと、気持ちに余裕をもてないことがあります。
誰にでも起こりうる産後うつを予防するためにも、日々思っていることや感じていることをぜひ1か月健診で話しましょう。
持ち物と準備
産後の1か月健診で必要となる主な持ち物を紹介します。
- 母子健康手帳
- 健康保険証
- 産婦健康診査受診票(自治体が公費負担の対象としている場合のみ)
- 問診票(事前に渡されている場合のみ)
- 健診の費用
- 交換用のナプキンorおりものシート
赤ちゃんを連れて受診する場合は、赤ちゃんに必要なもの(着替えやおむつなど)や授乳時に必要なもの(哺乳びんやミルクなど)、移動する際に使用する抱っこひもやベビーカーなどの準備もお忘れなく。
赤ちゃんのお世話をパパや家族へ任せる場合は、授乳のタイミングなどについて事前に話し合っておきましょう。
その他に、メモ帳とペン、おくすり手帳、水分補給のための飲み物などを持っていくといいでしょう。
自分の体調や赤ちゃんのことについて相談したいことがあれば、それについて記録した日記やメモ、アプリを登録したスマホなどを忘れずに持参しましょう。
費用はかかる?
産後の健診にかかる費用は、保険診療外のため自費、つまり自己負担となりますが、自治体の定める公費負担の対象となっています。
費用は医療機関によって異なりますが、5000円前後に設定しているところが多いです。
自治体の発行する産婦健康診査受診票を医療機関へ提出することで、費用の助成を受けることができます。
助成される上限額を超えた場合や受診票にない健診項目の費用は、助成の対象外のため自己負担となります。
また、薬の処方など保険診療を受けた場合は、健診とは別に費用が発生します。
里帰り出産などで居住する地域以外の医療機関で健診を受けた場合は、後日、居住する自治体へ申請すると払い戻し(償還払い)を受けることが可能です。
健診にかかる費用について、詳しく知りたい場合は、健診を受ける医療機関へ問い合わせましょう。
また、自治体による公費負担の制度については、居住する自治体の公式ホームページあるいは担当窓口等へ確認しましょう。
(※2023年4月時点の情報)
どんな服装がいいの?
産後の1か月健診では、妊婦健診の時と同じように、下着を脱いだ状態で診察台に座ります。
ズボンの場合はズボンと下着を、スカートの場合は下着を脱いで、スカートを履いたまま腰上にたくし上げて診察台に座ります。
膝下までの靴下やストッキングは脱がなくてよいですが、腰回りまで覆うタイツやストッキング、レギンスを履いている場合は脱ぐ必要がありますので、着脱しやすい服装で行きましょう。
腹部の診察や、赤ちゃんを連れて行った場合の授乳に備えて、ワンピースやオールインワンではなく、上下が別々になっている服装のほうが安心です。
1か月健診後にできるようになること
産後の1か月健診で、心身の回復が順調であることが確認できたら、妊娠前の生活へ少しずつ戻していきましょう。
1か月健診を受ける頃、おりものの量が減っていれば、お風呂はシャワーだけで済ませるのではなく、湯船に浸かってよくなります。
体調がよければ、赤ちゃんのお世話を他の人に任せて、買い物や美容院などへ外出することも可能となります。
また、産後のセックスは、産後6週間ほど経過して、心身ともに受け入れられる状態になれば、再開してよいです。
産後は月経が再開していなくても、いつ排卵するかわかりませんので、産後に適した方法での避妊を心がけましょう。
次の妊娠を考えている場合は、1か月健診で医師へ相談してみましょう。
産後の回復が順調であれば、1か月健診で、今回の妊娠出産における定期的な産婦人科への受診は終了です。
産後の身体とこころはそれぞれのスピードで回復していきます。
無理はしないように、パパや家族、自治体で受けられる子育て支援サービスなどに頼りながら過ごしましょう。
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ママの身体とこころを大切に
産後の1か月健診は、ママの身体とこころの状態を確認するために行います。
赤ちゃんのことばかりを優先してしまいがちですが、産後のママが順調に回復しているか、日常生活へ戻すことができるかを確認するための大切な健診ですので必ず受けましょう。
ライター:山村智子
4歳の男女双子と0歳の男の子の3児の母。ドタバタ育児の合間にライターをしています。せっかちでおっちょこちょいな性格なので失敗も多いですが、目標は「肝っ玉母ちゃん」。笑って過ごす日々を心がけています。
【参考文献】
・公益社団法人日本産婦人科学会 産婦人科診療ガイドライン産科編2020
・厚生労働省 「2022年最近の母子保健を取り巻く状況」 2022年10月
・一般社団法人日本家族計画協会発行『ママパパ学級テキスト 親子健康手帳』