食物アレルギーのなかでも、小児期に多いといわれているのが鶏卵です。
食物アレルギーの心配から、離乳食で卵をいつから、どのようにあげ進めていけばよいか悩んでいるママやパパも多いのでは。
今回は、卵の離乳食の進め方と注意点、卵を使った離乳食のレシピを紹介します。
ご家庭での離乳食の準備に役立ててくださいね。
この記事のもくじ
離乳食の卵はいつから始める?
ネットでは、離乳食で卵を開始する時期が、離乳食初期と書かれていたり、中期と書かれていたり、情報が入り混じっていて迷ってしまうことがあるかもしれません。
2019年に改定された厚生労働省策定の「授乳・離乳の支援ガイド」では、卵の情報が更新され、これまで中期(生後7~8か月頃)からとされていた卵を与え始める時期が、離乳初期(生後5~6か月頃)に前倒しされました。
今回は、新ガイドに沿って離乳食で卵を食べ始めさせる時期やその際の注意点を紹介します。
生後5~6か月の離乳食初期に固ゆでした卵黄から始める
離乳食で卵を与え始めるのは、生後5~6か月頃の離乳食初期が目安です。
卵はたんぱく質の重要な供給源である一方、アレルギーに配慮が必要な食材ですが、近年の研究から開始を遅らせてもアレルギー発症を抑えられるわけではないことがわかっています。
そのため、新ガイドでは初期から利用できる食材に位置づけられました。
卵を離乳食に取り入れる際は、卵黄を少量から始めて赤ちゃんの様子をよく観察していきましょう。
卵黄から始めるのは、卵白よりアレルギーを起こしにくいとされるためです。
また、卵は加熱することでアレルギーのリスクが低くなるため、初めは固ゆでにした卵黄から試してみましょう。
卵白や全卵は段階を踏んであげるように
卵黄を与え始めて問題がなければ、量を少しずつ増やしていきます。
赤ちゃんが卵黄を半分から1個程度食べられるようになったら、次は同じように固ゆでした卵白も与え始めてみましょう。
アレルギーの原因となる成分は卵白の方に多く含まれるため、焦らずゆっくり食べさせてあげましょう。
全卵を1/3個分ほど食べられるようになったら、生後9~11か月頃からは全卵の1/2量まで食べさせてもよいでしょう。
塊のままでは食べにくいので、細かくつぶすか切ると食べやすくなりますよ。
離乳食の卵の進め方と調理方法を解説
すでにお伝えしたように、「授乳・離乳の支援ガイド」では卵を与え始める時期が離乳食の初期に改訂されました。
ここでは、生後5~6か月頃からの卵の進め方と調理方法を紹介します。
離乳食初期(生後5~6か月頃)|火を通した卵黄からあげる
野菜や豆腐、白身魚に慣れてきたら、卵黄を与え始めます。
固ゆでした卵黄をすりつぶし、耳かき1杯の量から始めて、卵黄1個を目標に、1日1回から、1~2か月かけて徐々に量を増やしましょう。
また、ゆで卵はすぐに黄身と白身に分けないと、白身のアレルゲンが黄身に移行するので注意してください。
離乳食中期(生後7~8か月頃)|固ゆでした卵白を試してみる
離乳食の中期頃に、卵黄1個分がおおむね食べられるようになったら、卵白を試していきます。
卵黄の場合と同じように、固ゆでの卵白を裏ごしし、耳かき1杯の量から始めて、その後の様子を見ていきましょう。
卵白に問題がなければ、数日かけて徐々に量を増やしてください。
赤ちゃんにアレルギーの症状がなければ、全卵の約1/3個が食べられるようになります。
離乳食後期(生後9か月以降)|全卵1/2個に挑戦
全卵の量をだんだんと増やし、全卵の1/2個まで与えていきましょう。
まだゆで卵のような塊では食べにくいので、引き続き細かくつぶしたり、おかゆや軟飯に混ぜたりして与えるのがおすすめです。
卵は水分量が少なく口のなかでばらけやすいので、量が増えたら何かに混ぜたり、とろみをつけたりすると食べやすくなります。
離乳食で卵をあげるときの注意点
卵はアレルギー反応が起こりやすい食材です。
そのため、ほかの食材に比べて注意したい点があります。
ここでは離乳食で卵をあげるときの注意点を紹介します。
かかりつけの病院が開いている時間に試す
赤ちゃんに初めて卵を与えるときには、平日の午前中など、小児科の診療時間内の時間帯に試しましょう。
ママやパパは、万一アレルギー反応が出た場合に備えて、食べさせた量や時間などをメモしておきましょう。
赤ちゃんの様子に違和感があれば迅速にかかりつけの小児科や病院を受診してくださいね。
完全に火を通してからあげる
卵を調理する際は、しっかりと加熱して、固ゆでにすることが大切です。
卵に含まれるアレルギー物質は加熱することで構造が変わり、赤ちゃんがアレルギー反応を起こしにくくなります。
安心して食べさせるためにも、最初は卵を熱湯で20分ほどゆでた「固ゆで卵」にしましょう。
食べさせた後はアレルギー反応がないかをよく観察する
卵アレルギーは、食べた直後から数時間後にも症状が現れる場合があります。
かゆみや、じんましん・湿疹、嘔吐や下痢が症状の一例です。
かかりつけの病院が開いている時間に余裕をもってスケジュールを組み、赤ちゃんの様子をじっくり見守りましょう。
アレルギー反応が出た場合は、迅速に病院に行けるように準備をしておきましょう。
卵を使った離乳食のおすすめレシピを栄養士が紹介!
ここでは卵黄、卵白、全卵に分けて、卵を使った離乳食のレシピを紹介します。
【卵黄を使ったレシピ】(離乳食初期~)
卵黄とほうれん草のおかゆ
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【材料】
- つぶしがゆ 80g
- 卵黄 耳かき1杯分~
- ほうれん草 5g
【作り方】
①卵を熱湯で20分ほどゆでる。卵黄(分量分)をさじですくい、すりつぶす。
②鍋に湯を沸かし、ほうれん草をやわらかくゆでる。冷水にとって冷まし、水気を軽くしぼって、みじん切りにする。
③つぶしがゆを入れた器に、ほうれん草、卵黄を混ぜる。
【卵白を使ったレシピ】(離乳食中期~)
卵白のふわふわスープ
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【材料】
- にんじん 5g
- 卵白 1/2個※
- 豆腐 20g
- だし汁 50cc
- しょうゆ 少々
【作り方】
①にんじんの皮をむき、やわらかくなるまでゆでる(または電子レンジで加熱する)。にんじんはみじん切りにし、豆腐は5~8mm角に切っておく。
②卵白を溶きほぐしておく。
③鍋にだし汁を入れて沸騰させ、にんじんと豆腐を入れて加熱する。
④豆腐が温まったら、卵白を入れて菜箸でかき混ぜる。
⑤卵白にしっかりと火が通ったら、しょうゆを入れてひと混ぜし、粗熱を取る。
※卵白の量は、離乳食の進み具合に合わせてください
【全卵を使ったレシピ】(離乳食後期~)
野菜たっぷりの炒り豆腐
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【材料】
- 豆腐(絹ごし) 50g
- にんじん 10g
- 玉ねぎ 10g
- ほうれん草 10g
- 溶き卵 1/2個分
- だし汁 50cc
- しょうゆ 少々
【作り方】
①豆腐をキッチンペーパーで包んで水切りしておく。
②にんじんと玉ねぎは皮をむき、やわらかくなるまでゆでる(または電子レンジで加熱する)。
ほうれん草はやわらかくゆで、冷水にとって冷まし、水気を軽くしぼる。にんじん、玉ねぎ、ほうれん草を細かくみじん切りにする。
③小さな鍋またはフライパンにだし汁を入れ、にんじん、玉ねぎ、ほうれん草を加えて中火で加熱する。
④水切りした豆腐を手で細かく崩しながら加える。
⑤豆腐が温まったら、溶き卵を加え、全体をよく混ぜながら火を通す。
⑥卵が固まったら、少量のしょうゆを加えて味を調える。
卵で離乳食の幅を広げましょう!
離乳食に卵を取り入れる際は、離乳食初期(生後5~6か月頃)から始めることが一般的です。
始める際には、まずは卵黄から少しずつ始め、徐々に段階を踏んで全卵へと進めていきましょう。
万が一、卵のアレルギー反応が出た場合に備えて、病院や小児科が開いている診療時間帯に試すことをおすすめします。
卵を取り入れ、赤ちゃんの離乳食の楽しさとバリエーションを広げていきましょう。
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管理栄養士・ライター:おおすかさとみ
食べることが大好きな2児のママライターです。以前は病院で栄養指導などの栄養管理を行っていました。
特定保健指導も経験しながら、栄養・食事についてわかりやすく伝えていきます。