
近年、耳にするようになった「ネントレ(ねんねトレーニング)」という言葉をご存知でしょうか。ネントレとは、赤ちゃんが自分で寝られるようにするための練習です。
今回は、Child Health Laboratory代表で医師の森田麻里子さん監修のもと、ネントレはいつから始めるとよいかなど、ネントレの基本的なやり方やポイントを解説します。
ネントレに便利なグッズも紹介するので、ぜひチェックしてみてくださいね。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
チャイルドヘルスラボラトリー代表・医師 森田麻里子さん

東京大学医学部医学科卒。麻酔科医として勤務後、2017年の第1子出産をきっかけに2018年より子どもの睡眠の専門家として活動。
2019年昭和大学病院附属東病院睡眠医療センター非常勤勤務を経て、現在はカウンセリングや育児支援者・医療従事者向け講座、企業と連携したアプリ開発、コンサルタント育成などを行う。
ネントレ(ねんねトレーニング)とは?
育児中に「赤ちゃんがなかなか寝てくれない」「抱っこしていないと寝てくれない」など、赤ちゃんの寝かしつけに苦労しているママやパパは多くいるのではないでしょうか。
抱っこや授乳をしなくても赤ちゃんが自分の力で眠れるようにネントレをすれば、赤ちゃんが夜中に目を覚ましても自力でまた眠れるようになって、ママやパパもラクになるでしょう。
ネントレはいつから始めたらよい?
ネントレの種類にもよりますが、一般的にはネントレを始めるのは、生後6か月以降がよいとされています。
生後3か月頃までは、まだ赤ちゃんも寝たり起きたりを繰り返す時期です。
また、3か月を過ぎても5か月頃までは、寝つくためにママ・パパのサポートが必要なことも多いため、しっかりとしたネントレはおすすめしません。寝室環境や生活リズムを整えて、寝かしつけのサポートを少しずつ減らしていくことが大切です。
生後6か月以降になれば、赤ちゃんの寝る時間や起きる時間、お昼寝の時間などの睡眠のサイクルが整ってきます。夜間授乳の頻度も減り、夜6〜8時間ほどまとまって寝られる子も出てくるため、ネントレを始めるのに適した時期といえるでしょう。
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★赤ちゃんの理想的な睡眠時間は?
赤ちゃんが眠る環境をチェックしよう!
ネントレをスムーズに進めるためには、赤ちゃんが眠る環境を整えてあげることも大切です。
どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
寝床の安全性
普段から赤ちゃんが安全に寝られるよう配慮しているご家庭も多いと思いますが、赤ちゃんを危険から守ることは極めて重要なため、
以下のような問題点はないか改めて寝床の安全性をチェックしましょう。
- 寝返りなどで転落する段差はないか
- 窒息の危険性がある重い掛け布団やブランケット、大きなぬいぐるみやクッションなどを使っていないか
- 布団と壁の間など、挟まってしまう隙間がないか
- 手足を挟んだり、体にからまってしまうもの、尖ったものなどが周囲にないか
特にネントレに取り組む場合は、掛け布団やブランケット、クッション類などは完全に寝床から取り除きましょう。
お布団よりベビーベッドの方が、赤ちゃんの周囲の安全を保ちやすいためおすすめです。
音や光の確認
音や光の刺激で、赤ちゃんは覚醒しやすくなります。寝るときは部屋の明かりを消し、カーテンを閉めるなど、できるだけ暗くしましょう。
また、赤ちゃんが生活音で起きてしまうこともあるかもしれません。
そういったときは、リラックス効果のある音を流しておくのも一案です。川のせせらぎや波の音などもよいでしょう。
また、ママの胎内音に似ているとされるホワイトノイズもおすすめです。
テレビの砂嵐の音やビニール袋のガサガサという音など、一見うるさいように思えますが、赤ちゃんにとっては安心できる音で眠りやすい場合があります。
温度や室温の調節
ぐっすり眠れるようにするには、部屋の温度や湿度を調整することも大切です。
赤ちゃんにとって快適な部屋の温度は、春・夏の場合は25〜27℃、秋・冬の場合は18〜20℃程度です。湿度は50〜60%を目安にしましょう。
湿度が高すぎるとジメジメしてしまい、湿度が低すぎると肌や鼻・喉の粘膜が乾燥してバリア機能が低下し、感染症を引き起こしやすくなってしまいます。
エアコンや加湿器などを使い、温度と湿度を整えましょう。
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★赤ちゃんが寝る時のベストな服装

ネントレの基本的なやり方
ネントレを成功させるための、基本的なやり方をご紹介します。
月齢ごとの睡眠時間を把握して生活リズムを整えておく
ネントレを成功させるためには、赤ちゃんの月齢ごとに必要な睡眠時間を把握し、生活リズムを整えておきましょう。
一般的に生後4〜11か月の赤ちゃんは、お昼寝も含め12〜16時間の睡眠時間が必要です。
もちろん個人差もあるので、睡眠が不足していないか、お昼寝しすぎて夜に影響していないかなど様子を見てください。
また、生活のリズムを整えるには、朝起きる時間や夜寝る時間が毎日できるだけ同じになるよう意識しましょう。
朝にはカーテンを開け、日の光で自然と目を覚ませられるとよいですね。お昼寝のタイミングは生後6か月頃から徐々に整い、生後9か月頃には1日2回、だいたい同じ時間に寝られるようになることが多いです。
寝る前のルーティンを決める
寝る時間の45分ほど前から、赤ちゃんがこれから寝ると分かるようなルーティンを作りましょう。
たとえば、「お風呂に入る」「絵本を読む」「部屋の明かりを暗くする」「子守唄を歌う」といったことが分かりやすいでしょう。
子どもを布団に横にしてから部屋を出る
寝る前のルーティンが終わったら、赤ちゃんを布団に寝かせておやすみを言い、ママやパパは部屋を出ます。
泣いたら時間ごとに入室して短く声掛け・抱っこはしない
部屋を出たあとも赤ちゃんの泣き声がすると、つい心配になってしまいますよね。しかし、すぐに様子を見に行くのではなく、時間を決めて入室しましょう。
その際、赤ちゃんが泣いていても抱っこや授乳はせず、赤ちゃんに触ることも、目を合わせることもしません。落ち着いたトーンで「大丈夫よ」「ねんねだよ」など短い声かけをして、すぐに部屋を出ます。
最初のうちは、3分→5分→…と数分間隔で入室し、声かけして退出するのを繰り返します。
そして徐々に、入室する間隔を延ばしていきましょう。これを、赤ちゃんが泣き止む(寝る)まで繰り返し、起床時間まで、同様に行います。
夜間授乳は必要なら1〜2回タイミングを決めて
もし授乳が必要そうであれば、「◯時を過ぎて最初に泣いて起きたときに授乳する」のようにタイミングを決めて授乳します。
授乳回数が多いと赤ちゃんもまとめて寝る習慣がつかないので、1〜2回にしましょう。
ネントレに役立つ便利グッズ!
ここでは、ネントレに役立つ便利グッズをご紹介します。
遮光カーテン
夜は遮光カーテンで部屋を真っ暗にするのがおすすめです。真っ暗にすることで、赤ちゃんが眠りやすくなります。
ホワイトノイズマシーン
ホワイトノイズマシーンは、手軽にホワイトノイズを流せるアイテムです。物音で起きるのを防ぐためには、寝ている間も流しっぱなしにするのが理想的です。
その場合は音量が大きすぎないように注意しましょう。
就寝時だけ使いたい場合は、だんだんと音量を下げて夜中に消しても大丈夫ですが、音を消してしまうと物音をかき消す効果はなくなります。
ベビーカメラ
ベビーカメラは物音を立てずに、赤ちゃんの様子を別室からでも確認できるアイテムです。
赤ちゃんが泣いていて心配なときや、静かに眠れているかを確認したいときに役立ちます。
スリーパー
寝る前のルーティンのひとつとして、スリーパーを着せるのもおすすめです。
「ねんねしようね」と声をかけながら着せるのを習慣化することで、赤ちゃんは安心して寝る準備ができます。
特にネントレ時はお布団の使用はおすすめできないので、布団代わりに温度や湿度を保ち、赤ちゃんが快適に眠るためのサポートアイテムにもなるでしょう。
焦らずネントレを進めていきましょう!
ネントレの成功の鍵は、赤ちゃんが泣いても慌てず辛抱強く見守り、一貫した対応をすることです。
そのために、まず寝室環境・生活リズムを事前にしっかりと整えましょう。
それでもひどい夜泣きがおさまらず、ネントレする方がママ・パパ、そして赤ちゃんにとってよいと心から思えたときが、ネントレの始めどきです。
ネントレは必ずしなければいけないものではありません。焦らず、ご家族みなさんにとってメリットがあるかどうかを見極めることが大切ですよ。