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【産婦人科医監修】妊娠中の快適な寝方は?快適な睡眠のためのポイントも解説

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とにかく眠かった妊娠初期から一転、妊娠中期、妊娠後期になると、眠れない妊婦さんが増えます。
思うように休息が取れないことで、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。

この記事では、八丁堀さとうクリニック副院長の佐藤杏月さん監修のもと、妊娠中、特に妊娠中期から後期にかけて寝づらくなる理由や妊婦さんにおすすめの寝方、うまく眠るための工夫などについてお伝えします。

自分なりの対策を見つけて、妊娠中の身体と付き合っていきましょう。

この記事のもくじ

この記事を監修いただいたのは…
八丁堀さとうクリニック副院長・産婦人科医:佐藤杏月さん

日本医科大学卒。日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。
3人の子どもの子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医の夫とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。
医療法人社団双葵会八丁堀さとうクリニック副院長、医学博士、日本産婦人科学会専門医。

妊娠中に寝づらいと感じるのはなぜ?


なぜ妊娠中は睡眠に関するトラブルが多いのでしょうか。それには、以下のような理由が考えられます。


お腹の赤ちゃんに圧迫されて寝づらくなる


お腹の赤ちゃんに圧迫されて寝づらくなるケースが考えられます。特に妊娠後期になると、赤ちゃんはぐんと成長し、ママの身体を圧迫します。心地よく眠れる寝方がなかなか見つからず、不眠になりがちです。

胎動で起こされる

赤ちゃんの胎動で起こされるケースもあります。胎内の赤ちゃんは、20分から30分おきに起きたり寝たりを繰り返しているため、ママはゆっくり眠りたい時間でも、赤ちゃんは動き回ります。
ママの眠りが浅くなっているところで赤ちゃんが動くと、目が覚めてしまうこともあります。

息切れや動悸、こむら返りの症状があり寝づらい

妊娠中は子宮に多くの血液を送って赤ちゃんに栄養を届けるため、血液量が増えます。また、それに伴い心拍数も上昇します。このことで動悸や息切れがしやすくなり、眠りが浅くなることがあります。

また、妊娠中はカルシウムやマグネシウムが不足しがちなのでこむら返りが起こりやすくなり、痛みで目が覚めてしまったりそのあと寝づらくなったりすることがあります。

トイレの回数が増え、途中で起きることがある

妊娠週数が進むと、トイレに行く回数が増えます。夜中にトイレに行きたくなって目が覚めるケースもあるでしょう。
尿は腎臓で血液をろ過して作られるので、妊娠中に血液量が増えると作られる尿の量も増えてトイレが近くなりやすいです。また、大きくなった子宮に膀胱が圧迫されることも原因のひとつです。

妊娠中におすすめの寝方「シムス位」


妊娠中の寝方として、お腹の重みを感じにくい「シムス位」があるのをご存知ですか。ここでは、シムス位とはどのようなものなのか、どんなメリットがあるのか、解説します。


シムス位とは?


シムス位とは、19世紀アメリカの婦人科医、J・マリオン・シムズが考案した妊婦でも安眠しやすい体勢のことで、具体的には身体の左側を下にした、うつぶせに近いような寝姿勢です。

左側を下にする体勢は子宮の後ろにある大きな血管の血流を妨げず、息苦しさなどが起こりづらいと言われています。

シムス位のメリット

シムス位で寝るメリットには、「胃腸にかかる負担が軽くなる」「お腹の重さが軽減され、腰痛対策になる」「仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群対策になる」の3つがあります。

  • 胃腸にかかる負担が軽くなる
  • 胃の特性上、身体の左側を下にした体勢をとると、胃酸が食道に逆流しにくくなります。吐きづわりや胸焼けがする場合には、シムス位で眠ることで胃腸の負担が軽くなり、眠りやすくなることがあります。

  • お腹の重さが軽減され、腰痛対策になる
  • 赤ちゃんが大きくなりお腹が出てくると、腰を反らせてバランスを取ろうとしがちなため、腰痛が起こりやすくなります。シムス位は、ややうつぶせの体勢なので、布団にお腹を預けることができ、その分お腹の重みを感じにくくなり、安眠につながります。また、腰にかかる負担が軽くなるので腰痛の緩和も期待できます。

  • 仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群対策になる
  • 妊娠後期に仰向けの体勢で寝ることで「仰臥位低血圧症候群」になるおそれがあります。仰臥位低血圧症候群は静脈が圧迫され、心臓に戻る血液が減少することで起きるもので、頻脈、冷や汗、嘔吐、顔面蒼白などの症状が見られます。仰向けではなくシムス位で眠ることで、仰臥位低血圧症候群対策になります。

シムス位の取り方

シムス位になるには次のような手順をとります。

  1. 身体の左側を下にして横になる
  2. 下になっている左脚を、楽な位置に伸ばす
  3. 上になっている右脚を軽く曲げて左脚よりも前にだし、うつぶせのような体勢になる
  4. 下になっている左手は楽な位置に伸ばす
  5. 上になっている右手はひじを曲げて楽な位置に置く
  6. 心地よい体勢になるように、手足の位置を調節する

両脚の間に抱きまくらやクッションを挟むとより楽な体勢になります。クッションの場合は大小複数を組み合わせて使うとよいでしょう。

妊娠中に仰向け寝やうつぶせ寝をしても大丈夫?


妊娠中の仰向け寝やうつぶせ寝は避けた方がよいのでしょうか。


①仰向け寝の場合


妊婦さんから受ける質問の中に、「仰向け寝はダメなんですか?」というものがあります。
このように言われるのは、妊娠後期のお腹が大きい状態で仰向け寝をすると、血管が圧迫され、先に紹介した仰臥位低血圧症候群を起こすおそれがあるからです。
妊婦の仰向け寝自体がダメなわけではありませんが、妊娠後期には避けた方が無難でしょう。

②うつぶせ寝の場合

妊娠初期のうちのうつぶせ寝は特に問題ありません。「赤ちゃんがつぶされてしまうのでは」と思う人もいるかもしれませんが、お腹の中で赤ちゃんは子宮とその中の羊水に守られているので、つぶされる心配はありません。

妊娠16週から20週くらいになってくると、お腹もふっくらとしてきます。そうすると、うつぶせ寝はママ自身が苦しさを感じやすくなるので、自然とうつぶせ寝以外の寝方で寝るようになってくるでしょう。

快適な睡眠にするためのポイント


ここからは、妊娠中の睡眠を少しでも快適にするために、できることを3つご紹介します。


日中に軽い運動をし、仮眠も短時間にする


習慣的な運動は、睡眠の質の向上に効果があると言われています。産院の医師に相談したうえで、ウォーキングやマタニティヨガなどを生活に取り入れるとよいでしょう。

また、妊娠中は日中に仮眠を取ることもあるでしょう。あまりしっかり寝てしまうと、夜眠れなくなってしまうため、仮眠は短時間にとどめ、夜の睡眠の質を上げる工夫をしましょう。

生活リズムを整える

生活リズムを整えることも有効です。私たちの身体には体内時計があり、睡眠のタイミングを決めるだけではなく、前もってホルモンの分泌や生理的な活動を調節し、睡眠に備えてくれます。
朝同じ時間に起き、夜も同じ時間に布団に入って体内時計を整え、一定の時間になったら身体も眠る準備ができている状態にしましょう。

また人間の身体は、朝起きて日を浴びてから14時間から16時間後に睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がはじまるようにできています。朝きちんと起きて朝日を浴びることが、質のよい睡眠につながります。

ぬるめのお湯で入浴する

お風呂に入ると体温が一時的に上がり、その後体温が下がるタイミングで入眠しやすくなります。おすすめの入浴タイミングは就寝時間の2〜3時間前です。

熱すぎるお湯は交感神経を刺激し目が冴えてしまうため、38℃から41℃くらいのぬるめのお湯につかるのがよいでしょう。
体温の上昇は0.5度程度でも十分な入眠効果が確認されています。

不眠がつらいときは医師に相談をしましょう

妊娠中期や後期などに眠りづらいと感じたら、シムス位を取るなどの工夫をしましょう。よく眠るためには、規則正しい生活をすること、運動すること、入浴で身体を温めることが効果的です。また、不眠がつらいときは無理や我慢をしすぎず、産院の医師に相談してください。

一般に不眠対策に用いられるアロマオイルやハーブティーは、妊婦には禁忌のものもあります。どうしてもということであれば、事前に医師に相談する、お店の方に妊娠中であることを伝えるなどしましょう。
赤ちゃんに会える日はもうすぐです。あなたなりの不眠対策が見つかり、楽しく妊娠生活が送れるよう、応援しています。

文:サカイケイコ


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