
赤ちゃんは成長とともに、母乳やミルクから離乳食へと移行します。
離乳食の中でもいくつかのステップを経て離乳の完了を迎えますが、その途中で訪れるのが手づかみ食べの時期です。
「手づかみ食べは成長や発達によい」と聞くけれど、いつから始まるのか、どう進めたらよいかわからないママやパパも多いはず。
そこで今回は、手づかみ食べの開始時期やポイントを詳しく解説します。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
ライター:西須洋文さん
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勤務経験30年以上の元男性保育士です。
現在はWebライターとして、保育士や子育ての経験を活かして子育てや保育記事を中心に、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。
そのほか、音楽教育であるリトミック講師などフリーランスとして活動中。
手づかみ食べは離乳食後期から始まる
赤ちゃんの成長には個人差があるため、いつ手づかみ食べを始めるのかもそれぞれ違います。
周りの子と比べて遅いなどと心配しなくて大丈夫ですが、一般的な発達段階を知識として知るのは大切。
目安として参考にしてくださいね。
手づかみ食べは離乳食後期の9か月頃から始まる
一般的に手づかみ食べは、離乳食後期の9か月頃から始まるといわれます。
具体的には、バナナや茹でたニンジン、蒸かしたサツマイモなど、赤ちゃんの歯ぐきでつぶせる程度の硬さの食材が食べられる頃です。
同じくらいに、おもちゃやボールを手でつかめるようになったり、食べ物への興味も出てきたりするので、赤ちゃんが自分から食べ物に手をのばそうとする姿も見られるでしょう。
とはいえ、積極的に手でつかんで食べる赤ちゃんもいれば、食べ物の触感を「嫌だ」「苦手だ」と感じてやめる子もいます。
手づかみを嫌がる子には無理強いはしなくて大丈夫ですよ。
手づかみ食べはメリットも多い
手づかみ食べには、次のメリットがあります。
- 目、手、口を使うため、協調運動(複数の動作を同時に行う運動機能)の発達につながる
- 自分でやろうとする意欲や自分でできたという自信につながる
- 自分で食べる楽しさを味わい、食事に対してプラスの印象をもつ
離乳食初期は、ママやパパがスプーンで一口ずつ食べさせてあげる必要がありますが、手づかみは子どもが主体的に食べる形になるのもメリットの1つといえるかもしれません。
一方で、食べ物がついた手であちこち触ったり、床に食べこぼしたりなど掃除や片付けの負担が増えて、余計に大変だと感じる人もいるでしょう。
ただ、手づかみ食べの時期はいつまでも続くものではありません。
子どもの成長にとって大きなメリットがあるため、無理のない範囲で経験させられるといいですね。
手づかみ食べの始めどきのサイン
赤ちゃんの発達には個人差があるため、みんなが9か月になったら手づかみ食べをしだすわけではありません。
ここでは、どんなタイミングで赤ちゃんが手づかみ食べを行うのか、5つのポイントを紹介します。
①安定してお座りができる
手づかみ食べをするには、しばらくの間、座っている必要があります。
しっかり座れるようになったことにより、赤ちゃんは自ら食材に手を伸ばして食べようとするのです。
背中や首の筋肉が発達すると、身体のバランスを取って座っていられるようになります。
安定して座れるようになったら、離乳食の時間にママやパパがすぐに食べさせるのではなく、赤ちゃんが自分で手をのばすか様子を見てみましょう。
②乳歯が生え始めている
乳歯の生えているかどうかも、手づかみ食べを始める目安の1つです。
赤ちゃんは下の前歯から乳歯が生え始めると、歯ぐきにむずがゆさを感じます。
それを解消するように、おもちゃを噛んで遊ぶ様子が見られたら手づかみ食べを始めてもよい頃。
ただし、乳歯が生える前から手づかみ食べを始める子もいます。
③離乳食が中期まで進んでいる
離乳食中期になり、舌でつぶせるくらいの硬さの食べ物をモグモグ食べられることも、目安の1つです。
離乳食初期では、手づかみ食べにはまだ早い段階といえます。一般的に、赤ちゃんが手づかみ食べを始めるのは離乳食後期とされますが、離乳食の中期から始まる子もいます。
1日に2回離乳食を食べて食事のリズムが安定し、食べられる食材が増えると手づかみで食べようとする子もいるでしょう。
自分で食べる楽しさを、ぜひ味あわせてあげてください。
④食べ物をすぐに飲み込まずに、左右で噛もうとする姿が見られる
食べ物をすぐに飲み込まず、左右の歯ぐきで噛めることも大事な条件です。
食べ物を口に入れても噛めなければ危険なので、手づかみ食べにはまだ早い段階。
赤ちゃんが食べ物を口に入れた後に、しっかりと噛んでいるかどうかをよく見て判断しましょう。
⑤食べ物をじっと見るなど、興味を持っている
赤ちゃん自身が食べ物に興味があることも、大切なポイントです。
食べ物に興味があれば、自ら手を伸ばそうとします。
食べ物に興味がないのに無理やり手づかみ食べをさせようとすると逆効果になり、食べることが嫌いになってしまうかもしれません。
赤ちゃん自身の意欲を大切にしてください。
食べ物を丸のみしている場合は手づかみ食べNG
自分で食べ物を口に入れても、噛まずに丸のみしていれば窒息や誤嚥(ごえん)につながる可能性があります。
誤嚥とは、食べ物が食道ではなく気道に入ってしまうことをいいます。
手づかみ食べを早く始めようと焦らなくて大丈夫。
食べる様子をよく観察して判断しましょう。
【月齢別】手づかみ食べにおすすめの食材リスト
赤ちゃんが安全に食べやすい、手づかみ食べにおすすめの食材を月齢ごとに紹介します。
生後9か月頃の手づかみ食べおすすめ食材
手づかみ食べを始めたばかりで、歯が生えていない赤ちゃんもいるでしょう。
そのため、手でつかみやすく歯ぐきでつぶせるバナナくらいの硬さの食べ物がおすすめです。
カボチャやニンジンなどを柔らかく茹でたものや、耳をとった食パンをひとくちサイズにしたものも◎。
生後10か月頃の手づかみ食べおすすめ食材
手づかみ食べにも少しずつ慣れ、手でつかめるものが増える頃。
離乳食のリズムが1日2回から3回に整い、食べ物を噛むのも上達します。
そのため、これまでよりも少し弾力性があるパンケーキや卵焼きなどの食材がおすすめです。
リンゴやミカンなどの果物も、皮をむいてあげれば食べられます。
手づかみ食べ用の食材は、赤ちゃんがつかみやすいよう小判型やスティックタイプにするのがポイントです。
野菜はまだ柔らかく茹でることが必要ですが、少し大きめに切ってもよいでしょう。
生後11か月頃の手づかみ食べおすすめ食材
離乳食も終わりに差し掛かり、食べられる食材がさらに多くなる頃です。
赤ちゃんにとって食べやすい形、大きさ、やわらかさにして提供することで、大人とほぼ同じ食材を食べられるようになります。
煮物、やわらかく煮たうどん、豆腐ハンバーグなどがおすすめです。
片付けを楽にする離乳食環境のポイント
離乳食が始まると、後片付けが特に大変と感じるママ・パパも多いです。
ここでは、食べ終わった後にスムーズに片付けをするための、離乳食環境のポイントをお伝えします。
ビニールシートや新聞紙を敷いた上に椅子を置く
特に掃除が大変なのが、床に落ちた食べこぼし。掃除を楽にするために、赤ちゃんを座らせる椅子の下にビニールシートや新聞紙を敷くのがおすすめです。
新聞紙の場合は、そのままゴミ箱に捨てることができるので、後片付けがスムーズに終わります。
食事用のスタイで食べこぼしをキャッチする
つかみ食べを始めた頃は、口に運んでも入らず、食べこぼしてしまうことも。
食事用のスタイをつけることで、食べこぼしをキャッチし、床が汚れることを防げます。
着替えやお風呂の準備を予めしておく
つかみ食べをした後は、手だけでなく、服や髪が汚れてしまうことも。
食べ終わった後にすぐに着替えや入浴ができるよう、予め準備をしておくことがおすすめです。
▼0歳・1歳・2歳が食べてはいけない食材も解説中
子どもの様子に合わせて手づかみ食べを進めていきましょう!
手づかみ食べを始めると、せっかく作った食べ物を手で握りつぶしたり、口に入れずに遊んだりすることもあるでしょう。
余裕がないとつい叱ってしまいがちですが、赤ちゃんは手で食べ物を触りながら食べ物の大きさや形、硬さなどを体験して学んでいます。温かく見守りましょう。
仕事で帰りが遅くなったときなど、食事、掃除、着替えなどに時間や手をかけられないという日は、ママやパパが食べさせるなどして無理をしないことが秘訣。
親子で楽しく食卓を囲むことが何よりの食育です。
赤ちゃんの意欲や満足感を大切に、成長を喜びながら楽しい食事の時間にしてください。
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ライター:西須洋文
勤務経験30年以上の元男性保育士です。
現在はWebライターとして、保育士や子育ての経験を活かして子育てや保育記事を中心に、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。
そのほか、音楽教育であるリトミック講師などフリーランスとして活動中。