赤ちゃんのお世話に欠かせない歯磨き。
しかし、歯磨きはいつから始めればよいのか、どんなポイントに気を付ければよいのか不安を感じるママやパパも多いですよね。
そこで今回は、桜堤あみの歯科院長の網野重人さん監修のもと、赤ちゃんの歯磨きデビューについてわかりやすく紹介します。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
桜堤あみの歯科院長・小児歯科専門医:網野重人さん
1995年、昭和大学歯学部卒業 同窓会賞受賞。昭和大学小児歯科学教室勤務。
1999年、昭和大学大学院卒業 歯学博士取得、昭和大学小児歯科学教室助手(現小児成育歯科学教室助教)。
2002年、昭和大学歯学部 兼任講師、世田谷区の一般歯科医院の院長就任(医療法人 理事)。
2008年に桜堤あみの歯科を開院し現在に至る。
日本歯科専門医機構認定 小児歯科専門医。
赤ちゃんの歯磨きデビューのタイミングは?
赤ちゃんの歯が生えると新しい発見に嬉しくなる一方で、どのタイミングで歯磨きを始めるべきかなど悩むことが多いでしょう。
ここでは、赤ちゃんの歯磨きをスムーズにスタートできるようにするための事前準備や歯磨きデビューの時期をご紹介します。
歯磨きデビューに向けた事前準備も大切
最初の乳歯が生える前から、赤ちゃんが歯磨きに慣れるようにすることも大切です。
生後数か月の段階からガーゼで優しく口の中を拭く習慣を付けると、実際の歯磨きがスムーズになるからです。
たとえば赤ちゃんのお世話のときに口周りに触れたり、朝、洗顔の代わりに顔をガーゼで拭くときに一緒に口の中もガーゼで触るなどします。
口の中を拭くことが快適であると感じられるように、赤ちゃんが機嫌のよいときにケアしてくださいね。
下の歯が生えたら歯磨きデビューのタイミング
赤ちゃんの歯磨きデビューは、赤ちゃんの歯が生え始めたタイミングです。
最初に出てくる下の前歯が生え始める目安は、生後6か月頃です。
乳歯が生え始めると、むし歯のリスクも増えるため、早めのケアが重要になります。
ただし、この時期はまだ歯磨きに慣れていないので、優しくゆっくり行うのがポイントです。
やわらかいガーゼやシリコン製の指ブラシを使用するとよいでしょう。
赤ちゃんの歯磨きのやり方は?
赤ちゃんの歯が生え始めると、どのようにケアすればよいのか悩むママやパパも多いでしょう。
ここでは、赤ちゃんの歯磨きをスムーズに始めるための具体的な方法をご紹介します。
まずはガーゼや市販のシートを使って歯を軽くこする
下の前歯が生え始めたら、ガーゼや市販の赤ちゃん用の歯磨きシートを使って歯を軽くこすることからスタートしましょう。
ガーゼの場合は、ぬるま湯で湿らせてから指に巻き、赤ちゃんの歯を優しく拭きます。
市販の歯磨きシートは、小分けになった袋から出してすぐに使えて便利です。
歯ブラシよりもやわらかいガーゼやシートを使うことで、赤ちゃんの歯ぐきを傷つけずにケアできます。
赤ちゃんが慣れてきたら徐々に歯ブラシに挑戦してみる
ガーゼやシートでのケアに赤ちゃんが慣れてきたら、徐々に歯ブラシに挑戦してみましょう。
赤ちゃん用の歯ブラシは、小さなヘッドとやわらかい毛先が特徴です。
歯ブラシを使う際は、無理に力を入れず優しく磨きます。
特に歯ぐきの近くはデリケートなので、そっと磨くように心がけましょう。
乳歯ブラシと仕上げブラシを用意し、使い分ける
歯磨きが習慣化してきたら、乳歯ブラシと仕上げブラシを用意し、使い分けることをおすすめします。
乳歯ブラシは、赤ちゃんが自分で持って磨くためのものです。
小さなヘッドとやわらかい毛先で、赤ちゃんの口にフィットするデザインになっています。
さらに、のど突きを防ぐためのプレートがついているアイテムもあるため安心です。
仕上げブラシは、ママやパパが最後に仕上げ磨きをするためのブラシです。
こちらもやわらかい毛先で、大人が持ちやすいようにハンドル部分が設計されているため、赤ちゃんの歯と歯ぐきを優しくケアできます。
泣いて嫌がる!歯磨きをスムーズに進めるコツ
歯磨きをするとき、赤ちゃんが泣いて嫌がることもあるでしょう。
とはいえ、歯磨きはむし歯予防や口の中の健康を守るために欠かせません。
ここでは、赤ちゃんが泣いて嫌がるときに、歯磨きをスムーズに進めるための具体的なコツをご紹介します。
コツ①まずはふれあい遊びから、口に触れられることに慣れる
赤ちゃんが歯磨きを嫌がる場合、まずはふれあい遊びなどで口に触れられることに慣れさせていくとよいでしょう。
たとえば、ママやパパが指で頬を撫でたり、笑顔で口の周りを軽くタッチするだけでも、赤ちゃんは口に触れられることに慣れることがあります。
楽しく遊びながら口の周りを触れるようにすると、歯磨きへの抵抗感を減らせるでしょう。
コツ②ルーティーンの中に歯磨きを取り入れ、習慣化する
歯磨きの習慣化のためには、毎日ある程度決まった時間帯の、同じタイミングで歯磨きを行ってルーティーンにすることが大切です。
授乳や離乳食の後に毎回行うのが理想ですが、授乳回数が多いときなどは都度行えないこともあるでしょう。
その際は、夜寝る前など決まった時間に必ず歯磨きのタイミングを作るようにすると、赤ちゃんの生活リズムに組み込みやすくなります。
また、ルーティーン化するために、歯磨みがきタイムを楽しいイベントにできるとよいですね。
歯磨きの歌を歌ったり、好きなキャラクターの歯ブラシを使ったりするのもおすすめです。
赤ちゃんが歯磨きに対してポジティブなイメージを持てるようにしましょう。
コツ③上唇小帯に歯ブラシが触れないようにする
赤ちゃんが歯磨きを嫌がる原因のひとつに、歯ブラシが上唇小帯(上唇の内側の中央にある筋)に当たることがあげられます。
というのも、上唇小帯は敏感で、ここに歯ブラシが触れると赤ちゃんは痛みを感じるからです。
赤ちゃんの上唇を持ち上げながら上唇小帯に指を添え、歯ブラシが当たらないようにしましょう。
コツ④歯磨きが終わったらたくさん褒める
赤ちゃんが歯磨きを終えたら、たくさん褒めましょう。
褒められることで、赤ちゃんは自分がよいことをしたと認識し、歯磨きに対してよいイメージを持てるからです。
笑顔で「よくできたね!」「すごいね!」と声をかけてください。
さらに、抱っこして優しく撫でたりスキンシップを交えて褒めたりすると、赤ちゃんも嬉しく感じるでしょう。
むし歯を予防するために!赤ちゃんの歯磨きの注意点
赤ちゃんの歯が生え始めると、むし歯予防のために正しい歯磨きが欠かせません。
ここでは、赤ちゃんの歯を健康に保つための歯磨きの注意点を詳しく説明します。
無理やり歯磨きを続けることはしない
赤ちゃんが歯磨きを嫌がる場合、無理やり続けるのは避けましょう。
無理に歯磨きを続けると、赤ちゃんは歯磨きに対して恐怖心や嫌悪感などを抱くようになり、歯磨きをしなくなる恐れがあるからです。
赤ちゃんが歯磨きを嫌がる場合は、一度中断して気分転換を図り、落ち着いてからチャレンジすることも必要です。
歯磨きを始めたばかりの頃は、短時間で終えることを心がけ、少しずつ慣れるようにしてくださいね。
必ず赤ちゃんに合ったケア商品を用意する
赤ちゃんの歯や歯ぐきは非常にデリケートなため、赤ちゃん専用のケア商品を使用しましょう。
赤ちゃん用の歯ブラシは、ブラシの部分がやわらかく、毛の長さは5.5mm程度の短めのものがおすすめです。
また歯ブラシを選ぶときには、口の小さい赤ちゃんでも使いやすいように、月齢に応じたサイズと形状かどうかもチェックしましょう。
赤ちゃんに合ったケア商品を使うことで、歯磨きがスムーズに進みやすくなるでしょう。
歯磨き粉はうがいができるようになってから使用する
赤ちゃんに歯磨き粉を使用するのは、うがいができるようになってからにしましょう。
赤ちゃんはうがいがうまくできないため、歯磨き粉を飲み込んでしまう可能性があります。
うがいができるまでは、水だけで歯を磨くか、赤ちゃん専用のフッ素入り歯磨きジェルを使用するのもひとつの方法です。
歯磨き粉を多少飲んだ程度では健康に害がないことがほとんどですが、歯磨き粉を使っていて気になる症状が出たときには病院を受診してください。
歯磨きを習慣化させていきましょう!
赤ちゃんの歯磨きデビューは、下の前歯が生えてくるタイミングが目安です。
最初は、やわらかいガーゼや市販のシートを使い、歯磨きに慣れてきたら徐々にやわらかい歯ブラシに移行し、仕上げ磨き用のブラシも活用します。
歯磨きを習慣化するために楽しいルーティーンを作り、歯磨きを嫌がらないように工夫することも忘れないでくださいね。
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文:西川正太