0～2歳
「指差し」は、赤ちゃんの大事な意思表示の1つです。ママやパパが赤ちゃんが指すものに関心を持って反応を返せば、赤ちゃんの言語能力や社会性にもよい影響が生まれるでしょう。
今回は、赤ちゃんの発達段階に伴って見られる指差し行動の意味や特徴について解説します。ママやパパができるサポート、指差し行動も検査項目に入る「1歳半健診」についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
けいこ豊洲こどもクリニック院長：塚田佳子さん
小児科専門医、子どもの心相談医。けいこ豊洲こどもクリニック院長。
獨協医科大学医学部卒業。同大附属病院勤務等を経て2020年から現職。
2023年にはパークタワー勝どき小児科を開院。
2人の小学生男児の母として、日々、ママ目線で診察中。
発達段階で変わる指差しの意味
発達段階によって指差しが持つ意味も変化していきます。ここで成長の過程で見られる指差しの種類を大まかな月齢とともに紹介します。ただし、月齢はあくまで目安。発達には個人差があり、この順番通りでないケースもあります。
～10か月頃：自発の指差し
10か月くらいになってくると、赤ちゃんは興味のあるものを手や指で示す「自発の指差し」をするようになります。ママやパパも赤ちゃんが示しているほうを見て、「あ、〇〇だね」などとしっかり反応をすれば後の発話にもよい影響が出やすいでしょう。指しているものがわからないときも、赤ちゃんの気持ちを推測して言葉を返すことが大切です。
また、この時期にはママやパパの指差した「方向」も何となく見られるようになってくるので、ママやパパから指さしながら赤ちゃんに話しかけるのもおすすめです。
～1歳頃：叙述の指差し
1歳頃になってくると自分が見つけた対象物を指して、ときには簡単な言葉を交えながら、近くにいるママやパパと対象物とを交互に見るような動作も見られるでしょう。
これは「叙述の指差し」や「共感の指差し」などと呼ばれ、「自分・相手・もの」の三者の関係や、相手と同じものを認識できている証しでもあります。
～1歳2か月頃：要求の指差し
赤ちゃんは1歳2か月頃になると、自分がしてほしいことを指差しで伝えるようになってきます。「要求の指差し」と言われるもので、言葉でうまく伝えられない要求を手の動きで伝えるのです。
～1歳6か月頃：応答の指差し
1歳6か月頃には、大人からの質問に対して指差しで答える行動が見られるでしょう。「ワンワンはどこ？」と尋ねると、犬を指差すといった具合です。「応答の指差し」と呼ばれ、大人の言葉を理解している裏返しでもあるため、指差し行動の完成形とも言われます。
ママやパパができる指差しを促すサポートは？
赤ちゃんの成長に大きな役割を果たしている指差しを促すために、ママやパパができるサポートにはどのようなものがあるでしょうか。
親が見本となって指差しをする
ママやパパが赤ちゃんに話しかけるときに、意識して指差しを取り入れましょう。ただ「お花がきれいだよ、見てごらん」と言うだけでなく、実際にお花を指で示して赤ちゃんの注意をひきながら語りかけるイメージです。
赤ちゃんは親のすることを真似しながらいろいろなことを学んでいます。親が「これはなんだろう」「あれを見てごらん」と指差しながら語りかけることで同じ行動をしやすくなるでしょう。
遊びの中に指差しを取り入れる
遊びの中にも指差しを取り入れてみましょう。手遊びや指先を使った物まねなどをして一緒に遊ぶことで、楽しみながら自然と指差し行動を引き出せます。
おすすめなのは、シャボン玉遊び。赤ちゃんの創造性や言語発達、運動神経の発達を促す遊びでもあります。キラキラと虹色に輝きながらゆっくりと空へ登っていき、はかなく消えてしまうシャボン玉は、赤ちゃんの心をひきつけやすいでしょう。まだ自分でシャボン玉を吹くことができなくても、シャボン玉を追いかけて腕を伸ばす、手の届かない興味のあるものに目を向けるといった指差し行動につながる動きが出やすくなります。
また、絵本を読んだりおもちゃで遊んだりするときに「ウサギさんはどこかな？」「このケーキ、おいしそう！」などと積極的に指差しするのもおすすめです。
赤ちゃんに選択肢を与える
赤ちゃんとの生活の中で、お菓子やおもちゃ・絵本などを選ぶときに、「どっちがいい？」と普段から選択肢を与える方法もよいでしょう。
試すときは名前を呼びかけたり肩をポンと叩いたりしてこちらに注意を向け、どちらがいいか2つの選択肢をしっかりと認識させて問いかけます。落ち着いた環境で質問して、赤ちゃんが答えるのをゆっくり待つことがポイントです。
赤ちゃんが指差しをして何かを訴えていたら、積極的に反応して感情の共有をしましょう。ネコを指差していたら「ネコさんがいるね」と語りかけ、花を指差していたら「お花がきれいに咲いているね」と口に出して反応するのです。
赤ちゃんは自分が指差しをするとママやパパが反応すると学び、何かを伝えたいときに指差し行動が出やすくなります。
1歳半健診で指差しの確認がある
積極的に感情の共有をする
母子保健法で義務付けられている1歳半健診でも、赤ちゃんの発達状況をはかる指針として検査項目のひとつに指差しがあります。
1歳半健診で指差しの確認ができなかった赤ちゃんには、1〜2か月後に指差しができるかどうかの再検査を指示されることもあるかもしれません。
発達には個人差があるため、あくまで可能性があるだけで、指差し行動の有無だけで決まるものではありません。医師はその他の状況も含めて様子を見るのか、必要なサポートにつなぐのか総合的に判断します。
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今だけのコミュニケーションを楽しもう！
指差し行動は赤ちゃんの成長に大きく関わり、発達段階に応じてさまざまな種類があります。言葉でうまく意思が表せない赤ちゃんにとって、指差しは大事なコミュニケーション方法です。
赤ちゃんが指差しをする姿はかわいらしいもの。ママやパパも指差しについて深く理解し、さまざまなサポートをしながら、赤ちゃんとよりよいコミュニケーションができるといいですね。
（文・サカイケイコ）
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