「あれ、うちの子また手を見ている」と、赤ちゃんを見ていて心配になったことはありませんか。
これは、ハンドリガードと呼ばれる動作で、赤ちゃんが生まれて初めて自分に手があると気づき始めたサインです。
この記事では、けいこ豊洲こどもクリニック院長・塚田佳子さん監修のもと、ハンドリガードとは何か、いつから始まるのか、ママやパパとしてどう関わればよいか解説します。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
けいこ豊洲こどもクリニック院長:塚田佳子さん
小児科専門医、子どもの心相談医。けいこ豊洲こどもクリニック院長。
獨協医科大学医学部卒業。同大附属病院勤務等を経て2020年から現職。
2023年にはパークタワー勝どき小児科を開院。
2人の小学生男児の母として、日々、ママ目線で診察中。
ハンドリガードとは?
ハンドリガードとは、赤ちゃんがまじまじと自分の手を眺めたり、口元へ運んで感触を確かめたりする動作のことです。
「hand(手)」と「regard(じっと見る)」を組み合わせた言葉で、日本語では「手の凝視」とも呼ばれます。
ハンドリガードはいつからいつまで?
ハンドリガードが見られるのは、おおむね生後2か月を過ぎたころから生後6か月に入るころまでです。
始まりは、赤ちゃんの視力が少しずつ発達し、近くのものにピントが合うようになってきたころと重なる傾向があります。
また、首すわりや寝返りが安定してくると周りに興味を持つようになるため、自然に回数が減っていくのが特徴です。
ハンドリガードが見られる時期には個人差があるため、周りと比べず赤ちゃんのペースで見守りましょう。
ハンドリガードで見られるしぐさ
ハンドリガードでは以下のようなしぐさが見られます。
- 手を顔の前に持ってきて、じっと見つめる
- 指をグーパーしたり、ひらひら動かしたりする
- 両手を合わせてくっつけたり離したりして遊ぶ
- 手や指を口に持っていってなめる
授乳後のご機嫌なタイミングで、赤ちゃんが自分の手にふと気づいて、じっと見つめる場面などが代表例です。
手を見つめたり、動かしたりする理由
赤ちゃんがハンドリガードを行うのには、心身の発達に関わる重要な理由があります。ここでは大きく4つの理由を紹介します。
見る力や認識する力を育てるため
ハンドリガードには、視力と脳の連携を自然に育てるという重要な役割があります。
生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01~0.02程度であるとされており、ほとんど見えていません。
生後2~3か月ごろに近くにある顔や手の形がぼんやりと見え始めます。そのタイミングで目に飛び込んでくる手が、ようやく自分のものであるとわかるようになります。
体を動かす力を伸ばすため
ハンドリガードには、自分の体を意志でコントロールする感覚を少しずつ育てるという役割もあります。
赤ちゃんにとって最初は偶然動いているように見える手も、繰り返すなかで少しずつ自分の意志でコントロールできるようになっていきます。
たとえば、最初は手がひとりでに視界を横切るだけだったのが、やがて「見たい」と思った方向に手を動かせるように変わっていくのです。
この積み重ねが、おもちゃをつかんだり、スプーンを持ったりする力へとつながります。
興味や関心を広げるため
ハンドリガードは、知的好奇心や観察力を育てるための大切な行動でもあります。
赤ちゃんが早い時期から興味を向ける対象のひとつが、「自分の手」です。「これは何だろう?」とじっくり観察し、動かしては見つめ、見つめては動かすといった繰り返しが、あらゆることへの探求心のスタートになっています。
自分の体のことを知るため
ハンドリガードには、「これは自分の体だ」という感覚を育てるという役割もあります。
赤ちゃんは、自分と外の世界の境界線がはっきりしていません。手を見て、なめて、動かすことを繰り返すことで「この手は自分のものなんだ」という感覚が芽生えてきます。
この気づきこそが、自分の体を動かす力へとつながっていくのです。
ハンドリガードが見られたら心がけること
赤ちゃんがハンドリガードを始めたら、ママやパパは環境を整えるとよいでしょう。環境づくりで意識したいキーワードは、「清潔」と「安全」です。
赤ちゃんの手を清潔に保つ
ハンドリガードが進むにつれて、赤ちゃんが手を口に入れる機会も増えてくるため、手の清潔を保つことが大切です。
よだれで濡れたままにしておくと、手首や指のあいだが赤くなることがあります。授乳後やおむつ交換のとき、外出から帰ったあとなど、区切りのよいタイミングでやわらかいガーゼで拭いてあげましょう。
乾燥が気になる季節は、拭いたあとにベビー用の低刺激保湿クリームをうすく塗ると、肌トラブルを防ぎやすくなります。
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★赤ちゃんのおむつかぶれの原因は?
爪の長さをこまめにチェック
爪が伸びていると、顔や目の周りを引っかいてしまうことがあるため、定期的なケアが必要です。
赤ちゃんの爪が伸びるスピードは大人よりも早いため、2〜3日に1回を目安にチェックする習慣をつけておくと安心です。
赤ちゃん用の爪やすりなどを使い、深爪にならないよう少しずつ整えましょう。授乳中や熟睡しているタイミングだと体が動きにくく、ケアしやすくなります。
おもちゃはやわらかい素材のものを選ぶ
自分の手を認識し始めると、次第に周囲のものにも手を伸ばすようになります。そのため、次の発達に向けて、安全なおもちゃを近くに置くとよいでしょう。
このころは、顔に当たっても痛くない布製など、やわらかい素材のおもちゃを選びましょう。かたいおもちゃは、顔や手に当たったときに危険があります。
また、小さな手でも握りやすい太めのリング型ガラガラや、音が鳴るもの・鮮やかな原色のものは視覚・聴覚への刺激になるためおすすめです。
誤飲防止のため、口に入らないサイズかどうかもあわせて確認しましょう。
ハンドリガードと同時期に見られる発達のしぐさ
ハンドリガードが見られる生後2か月過ぎから6か月に入るころまでは、体全体の発達が一気に進む時期。ハンドリガード以外にもさまざまな動作が同時に現れます。
指しゃぶり
指や手を口に入れて吸う指しゃぶりは、ハンドリガードと同時期によく見られます。吸うことで精神的な安心感を得るだけでなく、口の中の感覚を確かめる役割もあります。
この時期の指しゃぶりは自然な発達の一部であるため、無理にやめさせる必要はありません。清潔を保つことを心がけながら、温かく見守りましょう。
【指しゃぶりについて解説♪】
★指しゃぶりはいつまでOK?
拳しゃぶり
拳しゃぶりは手全体を口に入れようとする動作です。
口周りの筋肉を刺激するため、結果的に離乳食に向けた準備にもつながるといわれています。
「そんなに入るの?」と驚いてしまうこともありますが、赤ちゃんの口周りの筋肉が育っているサインでもあります。成長の証と捉えて見守りましょう。
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フットリガード
フットリガードは、赤ちゃんが自分の足先を見つめたりつかんだりする動作です。
ハンドリガードから少し遅れて見られることが多く、自分の体への気づきが手から足へと広がっていく過程で見られます。
足を持ち上げる動作は腹筋や背筋への刺激につながり、自然と赤ちゃんのトレーニングにもなっているのです。
自分の体のことを知る大切なステップ
ハンドリガードは、赤ちゃんが自分の体に気づき始める大切なステップです。小さな手を見つめるその時間は、脳と体の連携が育まれていく成長の瞬間といえます。
「手を見つけたんだね」と声をかけてあげることで、赤ちゃんはより安心してこの気づきを楽しめるでしょう。
この時期が終わるころには、寝返りや物をつかむなど、次の発達ステップが待っています。毎日の小さな変化を見守りながら、成長を一緒に楽しんでくださいね。

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