離乳食はいつから始めるのか、どのように進めるのか情報を集めるうちに、なんだか大変そうと感じているママやパパもいるのではないでしょうか。
今回は、離乳食の始めどきのサインや進め方の基本について解説します。
月齢を示して解説していきますが、早く生まれた赤ちゃんの場合は、修正月齢を当てはめて参考にしてくださいね。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
助産師:古谷 真紀(ふるや まき)さん
自治体や企業等と連携した産前産後ケア事業担当を歴任後、妊娠中から産後のママパパ&赤ちゃんのための講座運営や相談事業に従事している。
【離乳初期】いつから始める?離乳食を開始するときのポイント
授乳を続けながら食べることにチャレンジしていく過程で与える食事を離乳食と呼び、開始する時期は生後5~6か月頃が適しています。
これは、生後6か月頃から母乳やミルクだけでは不足するエネルギーや栄養素を食事で補う必要があるからです。
離乳食を開始する前にみられるサイン
開始のタイミングは、月齢だけで判断するのではなく、赤ちゃんの食べるための発達が進んでいるかどうかが決め手となります。
離乳食を開始するよりも前の時期(生後2〜4か月頃)に、食べるための前準備として以下のようなサインがみられるようになります。
- 指しゃぶり
- 手でおもちゃを握ってくわえる
- 口にくわえたおもちゃをなめる
これらのサインは、口と舌とあごを動かし、食べ物の大きさなどを感じるための準備なので、無理にやめさせる必要はありません。
離乳食の開始に適した時期と始めどきのサイン
生後5〜6か月頃になって、以下のようなサインがみられたら、離乳食の始めどきです。
- 首のすわりがしっかりしている
- 5秒以上座れる(支えがあれば座れる)
- 大人の食べているものに興味を示す
- スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる
この時期は、支えがある状態で一定の時間座ることができればOKです。
大人が食べていると声を出す、よだれが出る、口をもぐもぐと動かす様子があれば、食べているものに興味を示しているといえます。
【離乳初期】離乳食を1日1回食べる頃の発達
離乳食を1日1回食べる頃の発達と食べやすい環境を整えるポイントについて、もう少し詳しく解説します。
身体と心の発達
この時期は、支えがないと座り続けることは難しいので、背もたれなどを使って座る姿勢を安定させましょう。
身体と顔を少し上向きに傾けて、口を開けたとき、舌が床と平行になるくらいの角度に調整すると飲み込みやすく、ママやパパもスプーンで与えやすいでしょう。
大人のひざの上に抱っこする場合も、赤ちゃんの姿勢を少し後ろへ傾けると飲み込みやすいです。
食べることへの興味や意欲が増していく時期なので、手で食べ物やスプーンなどの食器を触りたがることもあります。これは自然な行動なので、できる限り見守りましょう。
口と舌の発達
赤ちゃんをみていると本能的に食べられそうに感じますが、実は食べることを日々少しずつ学んで習得していきます。
この時期は、口に入ったものを舌を前後に動かして、のどへ送り飲み込みます。
上唇の形は変わらず、下唇が口の中に入り、左右の口角(口唇の端)はあまり動きません。
スプーンでの与え方のポイント
赤ちゃん用スプーン(持ち手が長く、くぼみが浅く小さい)の先端から1/3から1/2程度を目安に盛り、下唇の中心にスプーンの先端を当て、上唇を閉じて口の中に取り込むのを待ちます。
口唇を閉じたら水平に引き抜き、飲み込むのを確認してから、次のひとくちをあげましょう。
スプーンを口の奥まで入れたり、上唇や上あごにこすりつけて引き抜くと、赤ちゃんが口唇を閉じて食べ物を取り込む動きの発達を妨げてしまいます。
【離乳初期】離乳食に適した固さや形状
固さは、口に入れたらそのまま飲み込める軟らかさが目安です。
すりつぶす or 裏ごしする or ブレンダーを使うなどの方法でなめらかにしましょう。
形状について、ペースト状、ポタージュ状、プレーンヨーグルト状などさまざまな表現がありますが、スプーンを傾けたらボタッと落ちる程度が目安です。
食材や調理方法によって、固さや形状の仕上がりは異なるので、なめらかさが足りない場合は、お湯や出汁を加えて調整しましょう。
1回分の量と栄養
離乳食の最初のひとくちは、おかゆでも野菜でもどちらでもかまいません。
ご家庭で準備しやすいものを1回あたり小さじ1杯分から始めて、毎日少しずつ増やしましょう。1週間ほどで小さじ2〜3杯分食べられれば十分です。
さらに慣れてきたら、加熱後にすりつぶした豆腐や白身魚、卵黄なども与えてOKです。開始1か月後には、主食(つぶしがゆなど)は小さじ10杯程+おかず(野菜や豆腐など)は各食材を小さじ4〜6杯程を目安に食べられる量を増やしていきましょう。
赤ちゃんは初めての食べ物やスプーンなどの食器を警戒することもあります。
栄養の8〜9割を母乳やミルクからとる時期なので、バランスや量は気にせずに、楽しく食べることに慣れさせていくことが大切です。
赤ちゃんも食べたくないときはあるので、無理強いはせず、翌日またチャレンジしましょう。
調理方法と味つけのポイント
炊く・ゆでる・煮る・蒸すなど加熱して、軟らかくした食材をすりつぶす調理方法が基本です。
調味料や油は消化の負担になるため使わず、なめらかさが足りないときはお湯や出汁を加えるとよいでしょう。
離乳食に関する情報に、10倍がゆから開始と書かれていることがありますが、舌ざわりがなめらかな状態であれば、7倍がゆや5倍がゆから開始してかまいません。
自宅で調理する場合は、加熱や水分量の加減によって仕上がりは異なります。米粒が気になる場合は、裏ごしなどでなめらかにしたつぶしがゆを準備しましょう。
おかゆは、市販されているレトルトの白がゆや、お湯で溶く粉末状やフリーズドライの製品を活用してもよいです。ちなみに、米粉をお湯で溶くだけではおかゆの代用にはならないので、必ずおかゆ用として市販されている製品を使いましょう。
【離乳初期】離乳食を1日1回食べる頃のタイムスケジュール
離乳食を開始しても、授乳の回数や時間帯は今まで通りに続けて、午前あるいは午後の授乳の前に食べさせましょう。
WEBやSNSなどによる情報の影響で、量や回数など細かいルールを守らないといけないという誤解が生じている部分がありますが、数字はあくまでも目安です。
どのくらい食べるかは赤ちゃん本人が決めます。
赤ちゃんの食欲に応じて、量や回数を調整して大丈夫です。あまり食べないときがあれば、食べそうなときにもう1回与えてみましょう。
離乳食の開始を遅らせても食物アレルギーの発症は減らせません
離乳食を始めるとき、食物アレルギーに不安を感じ、進め方を悩むママやパパもいることでしょう。しかし、アレルギーを恐れすぎていると何も食べられなくなってしまいます。
食物アレルギーを気にする場合、より安全に離乳食を進めるためには、離乳食の開始を遅らせないことが大切です。少しずつ食べ慣れさせていくと、身体の免疫機能が働き、その食べ物が敵ではないと覚えていきます。
ちなみに、離乳食を開始する前に血液検査をしても、食物アレルギーの有無やどのくらい食べられるかはわかりません。
食物アレルギーについて心配な場合は、小児科医やアレルギー専門医へ直接相談しましょう。
赤ちゃんの食べる準備が整ってきたら離乳食を始めましょう
生後5~6か月頃に食べる準備が整ってきたサインがみられたら、離乳食を始めましょう。
離乳食を開始する時期や進め方に悩むときは、お住まいの地域の保健センターの栄養士や保健師、助産師または小児科へ相談してくださいね。
▼準備できてる?離乳食に必要なものチェックリスト
▼離乳食に関する記事はこちら!
【参考文献】
・授乳・離乳の支援ガイド 実践の手引き(2019年改訂版)第2版 公益社団法人母子衛生研究会 2021
・向井美惠 乳幼児の摂食指導 デンタルハイジーン21(8) 2001 694-710
・大山牧子著 子どもの偏食外来 いつもの小児科外来や健診で役立つヒント 診断と治療社 2023