視力を測る検査は、3歳児健診で初めておこなわれるのが一般的です。そのため、赤ちゃんはきちんと見えているのか不安になるママやパパもいるのではないでしょうか。
この記事では、砧ゆり眼科医院院長・中山百合さんの監修のもと、赤ちゃんの視力や見え方について月齢別に紹介します。また、よくある赤ちゃんの目の見え方に関する心配事についても、考えられる原因をご紹介します。
体の成長と同じように視力の発達も人それぞれですが、おおよその目安を知っておくと、赤ちゃんの成長を見守る際の安心につながるでしょう。
この記事のもくじ
この記事を監修いただいたのは…
砧ゆり眼科医院院長:中山百合(なかやま ゆり)さん
眼科専門医。砧ゆり眼科医院院長。
専門は小児眼科全般、斜視・弱視。信州大学卒。横浜市立大学医学部附属病院眼科、神奈川県立こども医療センター眼科、国立成育医療研究センター眼科での勤務を経て、2014年に砧ゆり眼科医院を開院。
小児眼科に関する正しい知識の普及・啓発に取り組み、オリジナル漫画『ミミズク小児眼科物語』の原作・監修も務める。
【月齢別】赤ちゃんの視力はどのくらい?
生まれてすぐの赤ちゃんの視界はぼやけていて、ほとんど見えていません。
生後数週間から数か月の間で、赤ちゃんは目の使い方を少しずつ身に付けていきます。ここでは、赤ちゃんの月齢による一般的な視力や見え方の目安を解説します。
数値だけで判断するのではなく、目で物を追う、顔を見つめる、見たものに手を伸ばすといった、月齢に応じた赤ちゃんの反応や発達の様子をあわせて見守ることが大切です。
新生児(0~1か月)の視力
新生児の視力は0.01から0.02程度で、色の区別も黒、白、グレー程度にしかつきません。生後1か月くらいで赤色が見分けられるようになると言われています。
この時期には、「明るい」「暗い」といった区別はつくものの、ものを見分けるのはまだ難しいです。
また、まぶしさに弱いので直射日光やスマートフォンの光、カメラのフラッシュなどは注意しましょう。
2~3か月頃の視力
生後2〜3か月くらいから視力はさらに発達し、0.02から0.05程度になります。
ぼやけていながらも、相手の口や目、鼻など顔のパーツが見分けられるようになるのがこの時期。また、動くものを目で追うようにもなります。
生後3か月くらいになると、赤以外にもいろいろな色を認識できるようになってきます。
4~6か月頃の視力
生後4か月〜6か月くらいになると、見えたものを手でつかもうとするようになります。視力は0.03から0.08程度で、見え方はより鮮明になり、眼球もこれまでより早く動かせるようになります。
おもちゃや自分の手足などにも興味をもち、じっと眺めていることも。ママやパパの手を握ったり、顔のパーツを触ったりして喜んだりもします。
いろいろなものがよく見えるようになり、世界が広がっていく時期です。
7~12か月頃の視力
この時期になると、視力は0.1から0.2程度まで上がります。
人の顔を覚えられるようになり、声など視覚以外からの情報と組み合わせて、ママやパパとほかの大人を見分けられるようになります。
赤ちゃんと目が合わない原因は?
赤ちゃんと目が合わないと、不安になることもあるかもしれません。ここでは、赤ちゃんと目が合わないときに想定される原因をいくつかご紹介します。
発達の個人差がある
先に述べた月齢別の赤ちゃんの視力の発達はあくまでも目安です。
ハイハイをしたり、歩き始めたりするのが早い子もいればゆっくりな子もいるように、視力の発達にも個人差があります。
一般的には生後1か月くらいから徐々に目が合い始めるとされますが、発達のスピードはそれぞれの赤ちゃんによって異なります。
ほかのことが気になっている
赤ちゃんはカラフルなものや動くものなど、いろいろなものに興味を示します。
大人が赤ちゃんを見ていても、赤ちゃんの興味関心はほかのものに向いていることも。
また、キョロキョロと視線が動き、視点が一点に集中しないのは赤ちゃんの特徴でもあります。
いろいろなものに興味をもち、内面が成長している証でもあります。
弱視や斜視の可能性がある
成長が進んでも、赤ちゃんの視線がどこにも合わない感じがしたり、片目だけ動きがおかしい感じがしたり、両目の動き自体に明らかな異常が感じられたりするケースもあるでしょう。
このような場合には、目の向きが左右で合わない斜視や、視力の発達が阻害されている状態の弱視などの可能性が考えられます。
また、中には先天性白内障や網膜芽細胞腫といった病気が隠れていることもあります。
視線が合いにくい、目の動きに違和感がある、目が白く光って見える、まぶしがりが強いなど、ママやパパが「何かおかしい」と感じる場合には、健診を待たずに眼科を受診することをおすすめします。
赤ちゃんの視力の発達を支える関わり方
視力は「生まれつき」ではなく「育つもの」です。
日々の関わり方を工夫することで、赤ちゃんの視力の発達を支えることができます。では、ママやパパにできることを見ていきましょう。
赤ちゃんに顔を近づけて話す
赤ちゃんの顔から20cmから30cm程度が、赤ちゃんにとって一番認識しやすい距離だとされています。
赤ちゃんと話すときは、赤ちゃんが見やすい距離まで顔を近づけて話すようにしましょう。
色彩のはっきりしたおもちゃを選ぶ
色彩がはっきりしたものを使って毎日コミュニケーションを取ることにより、赤ちゃんの視覚に刺激を与えられます。
おもちゃや絵本は、白黒模様のものや鮮やかな赤色など、はっきりとした色使いのものを選びましょう。
目で追わせる遊びを取り入れる
おもちゃを目で追わせる遊びを取り入れることでも、視覚に刺激を与えられます。なお、おもちゃはゆっくり動かすよう心がけましょう。
赤ちゃんの視力に関するよくある質問
赤ちゃんの視力やデジタルメディアとの付き合い方に関する疑問の中から、多く見られるものを2つご紹介します。
親の視力は子どもに遺伝する?
近視は遺伝すると思われがちですが、軽度の近視であればあまり関係ないとされています。
成長していく中での生活習慣のほうが、遺伝的要素よりも大きく影響すると考えてよいでしょう。
テレビやスマートフォンはいつから見せてもいい?
テレビやスマートフォン、タブレットなどを子どもだけで長時間見ていると、コミュニケーションがおろそかになったり、身体を使った外遊びの機会が減ったりしがちです。その結果、発達に影響をおよぼすことが懸念されています。
日本小児科学会が2004年に公表した見解では、2歳くらいまではテレビ・ビデオの視聴をできるだけ控えることを推奨しています。
食事の支度などで手が離せないときにテレビなどを見せることもあるでしょうが、視聴時間を短くしたり、乳幼児向けの番組を選ぶなど、視聴環境を工夫しましょう。
テレビやスマートフォンをどのくらい見せるのは問題ない?
近年はスマートフォンやタブレットを長時間利用するケースが増えています。
たとえば、泣いたときにスマートフォンをわたす、ベビーカーでずっと動画を見ている、タブレット端末を目の前に置いて食事をするなどです。
スマートフォンやタブレットは、顔との距離が近くなりやすく、1人で長時間見続けてしまいがちです。
WHO(世界保健機関)が2019年に発表したガイドラインでは、0歳児・1歳児のスクリーンタイムは推奨されないとしており、2歳~4歳でも1日1時間以内にするべきで、少ないほどよいとしています。
テレビやスマートフォン、タブレットなどのデジタルメディアは、年齢にかかわらず長時間見続けることは避け、できるだけ利用時間を短くするよう心がけましょう。
途中で休憩を挟むことも大切です。また、子どもだけで見せるのではなく、ママやパパと会話をしながら一緒に視聴するとよいでしょう。
あわせて、外遊びや体を動かす時間、十分な睡眠も大切にしてください。
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心配な場合は専門家に相談しましょう!
視力の発達は身長や体重と異なり、目に見えないだけに不安になりやすいかもしれません。
だからこそ、普段の生活の中で「赤ちゃんの目線」や「目の向き」などをよく観察し、少しでも不安な要素があるのなら、乳児健診や3歳児健診を待たずに、眼科を受診し専門家に見てもらいましょう。
視力は「育つ」もの。受診の結果、病気やトラブルが見つかったとしても、発見が早ければ早いほど治療やリハビリを通して視力の発達を助けられます。
赤ちゃんの視力の発達がどのように進むのか理解し、赤ちゃんの様子をしっかり観察しながら、成長を見守りましょう。
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