自分から行きたいと言っていた習い事や、学校を嫌だと言う子ども。
色々と諭しても反抗的で、ママやパパもついイライラしてしまいますよね。
これってよく聞く「9歳の壁」なのでしょうか。
急に反抗的になったのはなぜ? あまりの態度にこちらもイライラ
これまで素直だった子どもが「学校や習い事が嫌!」と言ったり、急に反抗的な態度を取りはじめたりすると「どうしてうちの子だけ?」と思うかも知れませんが、実は多くのママとパパが抱えている悩みの一つです。
学校や習い事を嫌だと主張した場合、「本人が嫌だと言っているのに、無理やり行かせてよいのだろうか?」と悩んだり、「休ませてあげたいけれど、甘やかしすぎもよくないのでは?」と不安になったり。
どのように対処するのがよいか迷うことも増えていきます。
また反抗的な子どもに対し「できる限り気持ちを受け止めたい」と思っていても、目に余る態度や口答えが続くと、イライラしてしまうのは当然ですよね。
自分と友達を比較して、子どもは不安や劣等感を抱いている
脳の発達とともにギャングエイジと呼ばれる成長段階に入る7~10歳頃の子どもたち。
“9歳の壁”とも呼ばれ、成長の過程で多くの子どもに起きる現象です。
7~10歳頃の子どもは、学校や習い事などの集団生活の中で「他者」を認識し、他の子どもと自分を比べるようになります。
これまで感じていなかった「他者」と「自分」の違いに気づくことで、不安や劣等感を持ち、気持ちを消化できずにいる子どもが多くいます。
その不安がイライラの原因になっているのです。
子どもたちは集団生活の中では不安やイライラを我慢していますが、家庭など甘えられる場所では我慢していた気持ちが爆発し、ママやパパに当たってしまうことがあるのです。
聞いて、受け止め、尊重を。ときには親の素直な気持ちを伝えてみて
子どもが反抗的な態度を取ったり、「行きたくない、やりたくない」と言ったりするときは、心の不安を抱えているサインです。
反抗的な態度や「やりたくない」という言葉の裏にある、子どもの本当の気持ちを聞くことが大切。
7歳~10歳頃は、子どもが自分と向き合うことを応援する時期です。
ママやパパは子どもの心の声を聞き、子どもが他者を意識しはじめ、それを受けとめていることを理解しましょう。
なかなか本音を話してくれないかもしれませんが、子どもの言葉を「そんな理由じゃないでしょ」などと否定すると、大切な親から認めてもらえない自分はダメな子なのだと思ってしまいます。
ママとパパが子どもの気持ちを 「そうだね」「そうだったのね」と受け止めてあげることで、子どもは自信をつけ、自己肯定感を高めることができるのです。
親から見たら「反抗」でも、子どもにとっては「自己主張」なのです。
お互いを知るうえで、うまく話す方法を学ぶチャンスと思ってくださいね。
もし親子で言い合いになってしまったら、一度距離を置き、落ち着いたところで再度向き合いましょう。
「さっきはイライラしてごめんね。ちゃんと話をしよう」と謝るのです。
子どもはママやパパの行動から「うまくいかなくても、きちんと認めること」「間違ってもいいんだということ」「謝ること」を学べます。
ママやパパが判断に迷うときは、自分の率直な気持ちを伝えてみましょう。
例えば、「こういう理由で◯◯してほしいと思っているけど、あなたはどう思う?」など。
急がせずに子どもの気持ちを十分に聞いて、パパやママの気持ちもしっかり伝えることも大切です。
それでも子どもが嫌だというなら、受け入れることも必要です。
親の価値観を押し付けるのではなく、子どもとしっかり話し合いましょう。
親子で見つけた解決策であれば、どんな選択もそれが正解なのです。
他者と比べるのではなく、他者を認め「自分は自分でいい」という「自己肯定感」を高めてあげるといいですね。
監修:榎本可世子
第37期認定子育てアドバイザー(保育士、幼稚園教諭・元保育園園長、子育てアドバイザー養成講座講師)
文:tomomi
イラスト:Ryoko Ishiyama