子どもが食事中にスプーンやフォークを放り投げたり、テーブルに上がってみたり。
「してはダメ」と何度注意しても繰り返して言うことを聞かず、ついイライラして怒ってしまいますよね。
どう伝えたら子どもは理解してくれるのでしょうか。
なぜ理解してくれないの?子どもの「しつけ」に四苦八苦
1~2歳頃の子どもに「してはいけないこと」を教えるのはとても大変。
上手な叱り方について試行錯誤している人も多いのではないでしょうか。
一方で「注意などせずに、子どもの好きにさせた方がよいのかな」と感じるママやパパもいることでしょう。
子育てに正解はないからこそ、どうしたらよいのか悩んでしまいます。
投げたり、落としたり。子どもにはすべての反応がおもしろい!
赤ちゃんから幼児へと成長した1~2歳頃は、色々なことができるようになり、好奇心も旺盛で、そのすべてがおもしろく感じて学習しています。
例えば、物を投げたり落としたりするのも、「こんなことをすると、こんな音がするんだ」とか「こっちに投げると、こんな転がり方をするぞ!」など、発見と驚きの連続なのです。
また、注意したことを何度も繰り返すのは、ママやパパを困らせようとしているのではなく、自分の行動に対してリアクションしてくれるのがうれしいこともあります。
大人にとっては「してはいけないこと」も、実は子どもにとっては「楽しくてうれしいこと」の場合があるのです。
子どもの好奇心をまずは受け止め、ママやパパの「してほしいこと」を伝えて
子どもにはママやパパを喜ばせたいという気持ちがあります。
子どもにとって唯一、心から安心できる大切な存在だからです。
そのため「ダメでしょ」「何回言ったら分かるの!」と怒るだけでなく、「でもね、ママはそんなことをしたら嫌なんだ。こうしてくれたらうれしいな」と気持ちを伝え、「してほしいこと」を提案してみましょう。
否定されるとモチベーションが下がるのは子どもも同じです。
大好きなママやパパからの提案であれば、その願いを達成したいと子どもはきっと思ってくれます。
では、どんなときに「ダメ」と言わなければならないのでしょうか。
道路に飛び出そうとしたり、熱いものを触ろうとしたり、ベランダの柵に登ろうとするときなどです。
子どもの命の危険に関わることは、真剣な表情と短い言葉で、多少強めに「ダメ!」と伝えてください。
そしてときには、ささやき声で注意するのも効果的です。
「今、大事なお話をしているから静かにしてね」と耳元でそっとささやくと、「これはいつもと違うぞ」と子どもも感じて言うことを聞いてくれることもあります。
ママやパパの反応がおもしろくて繰り返しているように感じたら、注意するのをやめて、しばらく干渉せずに様子を見てみましょう。
次第につまらなくなって、自然とやめることもあります。
子どもの「やりたい気持ち」と、ママやパパの「やめてほしい気持ち」をすり合わせていきましょう。
コミュニケーションをとりながら、お互いにとってよい着地点を見つけることも、子育ての楽しみのひとつだと考えてみるのもよいでしょう。
偉人の子ども時代を読み解くと、エジソンやアインシュタインはとても自由奔放で、食事中にテーブルの上でいきなり字を書きだしたり、庭に出て生き物をずっと観察して、いろいろな生き物を家中に置いたりしたなどの逸話がたくさんあります。
共通点は、親はその行為を愛情深く見守っていたということです。
監修:信野 操
第8期認定子育てアドバイザー(看護師・千葉市幕張本郷子育てリラックス館リーダー)
文:おおすかさとみ
イラスト:Ryoko Ishiyama