赤ちゃんの洋服やタオルなどを買ったとき、使用する前に洗うことを水通しといいます。
なんとなく新しい洋服は洗っているという方もいるかもしれませんが、実は大切な意味があることをご存知でしょうか。水通しをする理由や正しいやり方などを解説します。
この記事のもくじ
なぜ水通しをするの?
ベビー服を始め、タオルやブランケットなど赤ちゃんの肌に触れるものは水通しをしたほうがよいとされています。なぜ赤ちゃんが使用するものは水通しが必要なのでしょうか?
吸水性を高めるため
買ったばかりの服には糊がついており、生地がごわごわしているうえに吸水性が悪くなっています
。水通しをすることで糊の加工が落ち、生地の吸水性を高めることができます。赤ちゃんは代謝が活発で汗をかきやすいので、しっかり汗を吸水し快適に着られるようにしましょう。
また洗うことで肌触りも柔らかくなり、赤ちゃんのデリケートな肌にも負担なく着せられるようになります。
ホルムアルデヒドを落とすため
買ったばかりの服はきれいなイメージですが、実は布製品の繊維のなかにはホルムアルデヒドが含まれています。
ホルムアルデヒドとは有機化合物の一種で、衣類の繊維の縮みやシワを予防する目的で多くの布製品に使用されています。一方で粘膜を刺激する毒性のある物質のため、高い濃度の衣服を身に付けているとアレルギーや発疹といった皮膚障害を引き起こす可能性がある ともいわれています。
赤ちゃんは大人よりも皮膚が薄くデリケートなので、ベビー用品のホルムアルデヒドの基準は厳しく設定されていますが、やはり影響が心配です。水通しで落としておきましょう。
余分な染料を落とすため
濃い色の洋服には、染料が多く使われています。この染料が肌への刺激となり、赤ちゃんがアレルギー反応や皮膚炎を引き起こすことがあります。
しかし、水通しをすることで余分な染料を落とせます。また染料を落としておくと、次回以降の洗濯時の色移りも防げます。
水通しをしたほうがよいもの
ベビーグッズを揃えるなかで、どこまで水通しをするべきなのか迷うかもしれません。次のような赤ちゃんが直接触れる布製品は水通しをしたほうがよいでしょう。
- 肌着やカバーオールなどの衣類
- スタイ
- 靴下
- パジャマ
- ガーゼ
- おくるみ
- 寝具(シーツ、掛け布団カバー、枕、キルトパッドなど)
- ぬいぐるみなど布製のおもちゃ
- ブランケット
- タオル類
- 抱っこ紐
- 帽子
- 授乳クッションカバー
- ベビーカーやベビーラックのクッション
水通しの方法
水通しの方法は洗濯機と手洗いがありますが、洗濯表示に従って行ってください。肌着など紐がついているものは、まんべんなく水が通るよう洗う前にほどいておきましょう。
洗濯機で洗う場合
洗濯槽はカビや雑菌が繁殖しやすく、案外汚れているもの。洗濯機で洗う場合は洗濯槽クリーナーを使用して、事前に洗濯槽をきれいにしておくと安心です。
水通しでは洗剤は不要ですが、気になるようであればベビー用洗剤を使ってもよいでしょう。
衣類は形崩れしたり生地が傷んだりしないよう、洗濯ネットに入れて洗います。洗濯表示を確認しながら「弱コース」を選ぶなどして、優しく洗うよう気を付けましょう。
洗濯が終わったらベビー服サイズのハンガーにかけ、形を整えて干してください。
手洗いの場合
洗濯表示に手洗いのマークがある場合は、手洗いで水通しをします。清潔な洗面器などの容器に、水(もしくはぬるま湯)と、気になる場合はベビー用洗剤を入れます。
優しくもみ洗いをしたあとは流水でしっかりとすすぎ、水気を絞りましょう。手で絞るとシワになりやすいので、洗濯ネットに入れて洗濯機の脱水コースで短時間の脱水をするのがおすすめです。
水通しで注意することは?
水通しをするうえで、注意したいポイントをご紹介します。
大人用の衣類と分けて洗う
水通しでは、大人の衣類とは分けて洗いましょう。大人の衣類には赤ちゃんの衣類とは異なる基準値の化学成分が含まれているため、一緒に洗うとその化学成分が移ってしまう可能性があります。また大人用の洗濯洗剤には赤ちゃんの肌に刺激となる化学成分が含まれているので、肌トラブルを招くおそれがあります。
水通しだけでなく、今後も赤ちゃんの衣類を洗濯するときは赤ちゃん用の洗剤を使用し、分けて洗うことをおすすめします。
布製品の洗濯表示をよく確認する
デリケートな素材の衣服、布製のおもちゃ、クッション類などは、洗濯機で洗うと形崩れしたり、生地が縮んでしまったりすることがあります。手洗い表示があるか、必ず洗濯表示を確認したうえで水通しをしてください。
洗ったらすぐに乾かす
水通しが終わったら、すぐにハンガーにかけて干しましょう。洗った衣類を長時間放置してしまうと、雑菌が繁殖し生乾き臭のようないやなにおいが発生します。天日干しで日光にしっかり当て乾かすのがおすすめです。
部屋干しをする場合は生乾きにならないよう、日光が当たる窓際に干したり、扇風機などで風を当てたりして、しっかり乾かすようにしましょう。
乾燥機は生地が縮んだり傷んだりするおそれがあるため、使用しないほうが安心です。
水通し後の保管方法
水通しをしたあとの衣類は、大人の衣類と一緒に保管しないこともポイントです。
水通しでホルムアルデヒドを落としても、ほかの衣類からのホルムアルデヒドが再び移ってしまう可能性があるためです。ホルムアルデヒドの再付着を防ぐためには大人の衣類とは分け、ベビー専用の棚にしまっておく、ジッパー付きの袋に入れておく、などの方法で保管しましょう。
水通しをするタイミングは?いつまでやるの?
赤ちゃんが大きくなってくると、「いつまで水通しをしたほうがよいのだろう」と疑問に思う人もいるかもしれません。水通しはどのタイミングで、いつまでするとよいのでしょうか。
臨月に入る前に水通しをしよう
水通しをするタイミングは特に決まってはいませんが、一般的には妊娠8~9か月(妊娠28週~35週)頃にする人が多いようです。出産予定日が近づいてきた頃にすることで、「もうすぐ赤ちゃんに会える」という実感も湧きやすくなるかもしれません。
しかしあまりにも予定日が近くなってから行うことは避けましょう。妊娠36週目以降は臨月とも呼ばれ、さらに妊娠37週目以降は、いつ陣痛がきてもおかしくない時期になります。陣痛がきてしまうと、水通しをする前に出産となることもあるため、余裕をもってしておきたいですね。
産休がある人は、出産予定日の6週間前(双子など多胎の場合は14週間前)から産前休暇が始まります。産休に入るタイミングを目安に水通しをするのもよいでしょう。
新生児~2歳頃までを目安に、赤ちゃんの様子で判断しよう
ベビー服に設定されているホルムアルデヒドの厳しい基準は、生後24か月以内までとされています。そのため「2歳を過ぎる頃」が、水通しをやめるひとつの目安になるでしょう。
一方で肌がデリケートであったり、ホルムアルデヒドの影響が心配であったりする場合は、2歳を過ぎても続けて大丈夫です。水通しをやめる判断は家庭によってもさまざま。赤ちゃんの様子を見ながら判断するとよいでしょう。
赤ちゃんが快適に過ごせるように
水通しをすることで肌着がふわふわになり、赤ちゃんが快適に着られるようになります。洗濯機でも洗面器でも水通しは簡単にできるので、ぜひお天気のよい日にやってみてくださいね。
ライター:山村智子
男女双子と男の子の3児の母。ドタバタ育児の合間にライターをしています。
せっかちでおっちょこちょいな性格なので失敗も多いですが、目標は「肝っ玉母ちゃん」。
笑って過ごす日々を心がけています。